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Ep.5 釣り好き自衛官、領主になる

日が昇り始めた頃、両陣営は戦闘体形を取り太鼓のリズムで前進を開始した。

湖畔の戦場は昨日夜の到着だったため気づかなかったが、湖と平原をぐるりと小高い山が覆っている。きっと昔は大きな山があり噴火か山崩れで今のような地形になったのだろう。さらにわかりやすく説明すらなら、箱根の芦ノ湖をもっと巨大にした感じの地形だ。


「にしてもこの広い戦場から離れて、ぐるっとまわって敵本陣を奇襲するとは良く考えるもんだな」

エリゼは俺の肩を叩きながら言う。


「大軍どうしの戦いになるとこういった戦法を取るのは難しいからな」

俺の小隊は右翼を包囲する騎兵隊が動き始めた頃全速力でそのさらに右側面を大回り、敵本陣を後方まで迫った。

予想通り、騎兵隊たちは包囲しようと回り込むがそれを敵の予備兵たちが囲い込む。主戦場は大混乱に陥り味方にかなりの犠牲が出始めた頃、敵の総大将は勝利を確信したのか横断幕の貼られた本陣から姿を現した。


完全に油断していた、周囲には侍従と数人の兵しかいない。俺たちは一斉に駆け出し、本陣に騎馬突撃を敢行した。意表を疲れた敵の大将は慌てその場に倒れ込み、騎兵の薙刀を奇跡的に交わす。先頭を走る3人が次々と空振りをし、俺の番が迫ってきた。


正直俺は人を殺したくないし、銃で撃ちたくもない。殺したら殺したで寝覚めが悪くなりそうだし、化けて出で来てもらうのも困る。俺は速度の乗った馬から飛び降りてそのまま相手を押し潰し、結束バンドで両手を固定。総大将の確保に成功した。


敵の総大将を捕縛し、重臣はそのまま敗走。後に彼らは山中で農民たちに襲われ首を狩られたと聞く。兎にも角にも、戦闘が始まって30分もしないうちに敵軍は総崩れとなり敗走。これほど早く戦闘が終わったのは歴史に残るほどの偉業だった。


「オーデン殿、貴殿の奇策が戦の決め手になると革新しておりました。いやぁ、本当にありがとうございます」

グロディーは嬉しそうに駆け寄り、今回のMVPはあなただと俺の手を握る。グロディーいわく、俺が捕縛したのは異民族の族長で何度戦で破っても再び軍を立ち上げ、向かってくることから不滅の王と呼ばれていたらしく、討ち取った者は子爵級の待遇を与えられるほどの相手だったらしい。


2日後、俺は南部にある連邦王国王都に召喚させられた。王は謁見するやいなや、これで世継ぎも安泰だとか仰られていたが訳がわからない。

混乱して理解の追いつかない頭でも、取りあえず莫大な報償金と爵位、オルデン湖畔一帯の領地が与えられた事はわかった。


(あれ?湖畔一帯が俺の領地ってことはキングサーモンの聖地が俺の所領になったって事か??)


そうだ。あのへん一帯が俺の土地って事は、威張り散らかす知らないおっさんや迷惑系釣り人と揉めることなく悠々自適に釣り活ができるってことだ!!!


俺は感動し王の手に近いのキスを何度もした。

王様はドン引き従者は俺を引き剝がす。

謁見の間から出るとエリゼが外で待っていた。

隣にはグロディーもいる。


「今日から私達、あなたの所領でお世話になるからよろしくね!」

「私もお供します。王様からの御命令もありますが面白そうなので是非」


かなり乗り気の2人、ちょっと図々しさも感じるがキングサーモンへのチャンスを与えてくれた2人を邪険にし追い払うつもりはない。というか寧ろ感謝を伝え恩返しをしなければ罰が当たるだろ。


キングサーモン!あぁキングサーモンにトライするまたとない機会を作ってくれた彼女らに感謝と祝福あれ!!


「わかった!2人は今日から俺のファミリーだ。よろしく頼んだぞ!」

「はーい領主様!」


謁見を終え午前の予定を終了した俺たち3人は王宮を出た。王宮からのびるメインストリートには南方都市のありとあらゆる商品を扱う露店街が続く、折角報奨金が入ったのでお高くて丈夫そうなルアーとリールを2組ずつセットで購入。

2人にもお小遣いを渡し、一緒に洋服店や食料店を周り、王都で過ごす午後のショッピングを楽しんだのだった。

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