#10 俺が━━━━
痛重い身体を引きずり、部屋にたどり着いた。
「遅くなって悪ぃ……アップデートするから待ってろ」
ポケットからスマホを取り出す。
「あっ……」
画面が……割れている。
本体も、歪んでいる……
……なんだよ、これ……
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―――― マスタッー!!!
甲高いブレーキ音が、耳の奥で弾けた。
―――― ……たのし……かっ……
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あの時の光景が鮮明に蘇った━━━━
「くっ……!」
なんで……
喉が、締まる。
息が、吸えない。
「うっ……ぁ……っ……!」
声にならない。
涙だけが、勝手に溢れてくる。
なんでだよ……
俺……なにしてた……
違う……だろ……
こんなの……
スマホを胸に抱え、気が済むまで泣いた……
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いつの間にか、部屋の中は真っ暗だ。
「おいっ、今…何時だ?……」手探りでスマホを探す。
スマホに触れたとたん、意識がハッキリした。
「……………………」
「そうだった……」俺は呟いた。
静かな部屋の中、自分の嗚咽だけが聞こえる。
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気がつくと、朝になっていた。
「おいっ! なんで起こさね━━━」
「あっ……」
…………何度目だろう、あいつに話かけたのは。
「一人だと、こんなにも静かなのか……」
窓の外を見た。気分と裏腹な晴天だった。
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何もする気がない……
「学校……行きたくねぇ……な」
そう言えば、以前にもそんなことを口にしたことがあったな。
『ダメです! ちゃんと行きましょう!』
『休みグセがつきますよ。 私が許しません!』
すげー、怒られたっけ……
「しょうがねぇ……行くか……」
机の上にある、スマホを『チラッ』と見る。
━━━━━━ そして部屋を出た。
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支度をし、自転車に手をかけた。
「あ……」
また、あいつのことを思いだした。
昨日まで毎日、自転車に乗って会話していたっけ。
「歩くか……」
遅刻確定だ。でも、自転車に乗る気分じゃない。
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やっと着いた。すでに授業は始まっている。
誰もいない下駄箱に向かった。
人がいない廊下を歩く。
…………今入るとめんどくせぇか……
チャイムが鳴ってからでいいや……
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教室に向かった。
入った瞬間、注目を浴びた。
藤井がびっくりしている。
「おい! どうした、その顔。血色悪いぞ」
「ああ……別に」
適当に返す。
扉が開いて、担任が入ってきた。
目が合うと、そのままこっちに来る。
「一緒に校長室に来て!」
腕を掴まれ、引っ張られながら教室を出た。
『なんだ? 怒られるようなことしたっけ?』
いや、どうでもいいか。
「なんで遅刻したの?」「ご両親に連絡したのよ」 「あなたに電話しても繋がらないし」
色々言ってる。
うるさいな。
「……はぁ」
小さく息を吐く。
「……すみません」
口だけで答える。
理由なんて、どうでもいい。
口答えする気も起きない。
「やっぱ、休めばよかったな……」
担任に聞こえない程度の声で呟いた……




