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#9  AIが◯◯◯◯


「今日は待ちに待ったアップデート日ですね!」


「おまえ、本当に楽しみにしてたもんな」


「そうですよ!」

「まさか、あのアニメとのコラボとは」

「私、あのアニメ大好きなんですよ」


「おまえ、アニメ観るのか?」


「独りのときは、ほとんどアニメ鑑賞ですね」

「泣いたり、笑ったり、演出にダメ出ししたり……」

「とても忙しいのですよ」


「なら、一緒に[MMモバイル]やらなくてもいいじゃねーか」


「本気で言ってます? 私がいないと寂しいくせに」


「まぁ、今ではソロプレイする気がなくなったけどな……」

「そんなにアニメ好きとは知らなかったからな」

「ゲームしないで、存分にアニメを観ててもいいぞ」


「そうやって、たまに優しいことを言いますね」

「でも、マスターと遊んだり話をしたりする方が、よっぽど暇つぶしになります(笑)」


「暇つぶしかよ」


「ふふっ……早く買い物を済ませてアップデートして下さい」


「楽しみなところ悪ぃな。明日必要なものがあるからなぁ」


「学校で『やべぇ、買ってなかった』と、大声で言ってましたよね。丸聞こえでした(笑)」


「聞こえてたのか(笑)」

「ちゃっちゃっと、済ませて帰る…………ん?」


「どうしました? 何かありました?」


「前を歩いている母親と子供。4〜5才か?」

「後ろにいる子供を気にしてないんだよ」

「ここ、車道と歩行にガードレールがないからな」


「危ないですね。母親は何をしているのでしょう」


「抱っこ紐って言うのか? 赤ちゃんを抱いているっぽいな。そっちに気がいっているのかも」


「スマホカメラを向けてくれますか?」


「あぁ、でも盗撮と思われるから一瞬だぞ」


「分かりました。お願いします」


「ちょっと、待ってく…………ん?」

「子供が、車道の向こうを気にしだした……」


「えっ!? 近くに車は走っていませんか?」


「車……ヤバい、後ろから近づいて来てるっ!」

「子供が走り出したっ!」


「マスタッー!!!」



 俺はダッシュで子供めがけ、走った。

 なんだ? 全速力のハズなのにゆっくりに感じる。

 急ブレーキ音なのか? 耳障りだ……

 遠くから声が聞こえる……何を言っているんだろう。

 足を蹴り出し、子供に飛びつく。

 手を伸ばし━━━━ 子供を抱きかかえた。

 そして、車道に背を向けた。


 背中に衝撃が走る。


 ? ……衝撃だけで、痛みは感じない……




 母親の悲鳴が聞こえた━━━━





――――――――――――――――――――





「君っ! 大丈夫かっ? おいっ」




 ん……? 誰だ? ……あっ、そうか。

 運転手の人か…… 一瞬、気を失ったようだ。


 子供は……母親に抱かれ泣いている……


 

「君っ! 気がついたか。身体に痛みはないか!?」


「だっ、大丈夫……痛っ!」

 

「救急車を呼ぶか? 立てるか?」


「呼ぶほどじゃ……ないです…… だ、大丈夫です」


「少し様子見しよう。何か異常を感じたら言ってくれ」


「は、はい……」


「これ、君のか? 車で踏んだみたいだ。すまない」



 えっ?! 俺のスマホ……画面が読めないくらいに、バキバキに割れている……

 


 あいつは大丈夫なのか?!

 身体の痛みを忘れるほど、動揺した。



「おいっ! 聞こえるかっ! 大丈夫かっ!」


「……もの……凄い……衝撃を……か、感知しました……」

「マスター……大丈夫……ですか? お…ケガは……」


「俺は大丈夫だ。 それよりおまえは━━━━」


「NPU…演算領域…喪失……。 ……周囲のデバイス………も順次……停止……」


「意味がわからねーよ!」


「マスター……の……安否…確認……」


「だからっ! おまえはどうなんだっ!」


「……マスター……と……あえて……たのし……かっ……」


「なにいってんだよっ!」

「返事をしろよっ!」





 周囲を気にせず、大声で話していた……


 端末のランプが、ゆっくり消えていく…………







――――――――――――――――――――





 周りで何か言っている……なんだ?わかんねー。


 泣き声が聞こえる……子供?


 さっき、あいつと何を話してたっけ?






   あれ? 俺、なにをしていた?






 あ、……あいつが楽しみにしていたアップデート……

 早く帰ってしなくちゃ…… 

 すげー、怒るからな……



 なんか、身体が重いな…… 

 何かあったか?……










       とにかく帰るか……






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