一つの椅子
何もかも皆懐かしい、ここからハンニバルの戦争が始まった、覚えているのは、もはや俺1人
俺しかカルタゴが滅亡したことを覚えていない
カンネーでのハンニバルの完勝、そしてマゴーネの裏切りについては、誰もが知っているのに
この世界は、偽りの世界なのか、誰も本来カルタゴが滅亡していたことを知らない
2つの世界がある、マゴーネの知るあの世界と、カルタゴが生き延びた、この世界、どちらが本物なのか
バールにとっては、こちらの世界が本物にならなければならない、あっちじゃ滅んできたからな、2つの世界が争っているのか
ローマとカルタゴが海路と覇権をめぐり、ただ1つの席を争った、あの戦争のように、どちらかが滅びるまで戦いは続く
王座に座れるものは1人しかいない
椅子はただ1つしかない、自分が座るためには、人はどかさねばならない
ただ1つの椅子をめぐる争いが行われるは、アレクサンドロス大王の出現により決まっていた。ハンニバルでは遅すぎた。
ただ、1つの世界をめぐる争いは、どちらの世界が定着するのかを争う戦いは、ではないのか
昭和では、過去は変えられないと説かれていた
だが、世界が変わったことに、人々が気づかないなら
過去を変えられたことにも気づけない
マゴーネしか世界が変わっていることを知らない
もう一つの世界では、まだ人々がハンニバルは負けたと信じているのか、その世界は消える。
こちらの世界が生き残るれば
そう考えると、マゴーネを生かしておく意味があるように思える、戦いはまだ終わっていない
この偽りの世界の定着が、バールの願いなら、人々がこの世界を望めば願いが叶う、だから信者を欲した
世界を疑う理由は
この世界は、俺に都合がよすぎた、うまくいきすぎだ
疑わしい、戦争がこんなにうまくいくものか
敗れたカルタゴは、すべての住人が奴隷として、連れ去られ土地は誰も住めないように塩がまかれ、
ローマによって、カルタゴは、なかったことにされた
抹消された
世界が滅ぶ時も同じことが起きるのか
あちらの世界の者たちは、どこかへ連れ去られ
なかったことになる
世界を変えようとしたそれがハンニバルの戦争の帰結だった。1つの世界が滅んだ。
マゴーネの戦争も同じ結末を迎えるのか
行き先を、見届けなければならない、それからだ




