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自由って素晴らしい!  作者: ミカンかぜ
第三章【私のために貴女に願う編】
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二話:村や町を渡って

 帝都を出て約5日。リスタはロマとメアとともにフロンツ王国へと足を踏み入れ、国境から最も近い村に寄っていた。ここ数日は野宿をしていたが、今日はようやく宿屋のベットで眠れる喜びでリスタは部屋をとったあと、すぐにベットに飛び込んだ。


「んん~!久しぶりのベット……やっぱり一度ぜいたくを覚えるとなかなか忘れられませんね」


 そんなリスタに倣って、ロマもメアもベットの上に飛び込み、リスタの腕の中にすっぽりと納まる。


「ここに来る途中に魔獣に追いかけられたときは助かりました。ありがとうございます」


 そう言ってリスタは自分の腕の中の2匹を撫でる。2匹とも嬉しそうに目を細めるのを見るとついつい笑みがこぼれてしまう。だが、そんな気持ちも睡魔には勝てないようだ。


「ふわぁ……もう今日は寝てしまいましょうか……疲れましたし……」


 そうしてリスタは部屋の電気を消す。暗闇に包まれた部屋はさらにリスタを夢へといざなうのであった。


* * *


 朝になり、村の近くの川でリスタは体を拭いていた。昨日は何もせずに寝てしまったことと、ここ2日は体を洗っていなかったからだ。そろそろ冬ということもあってほとんど汗をかかないが、それでも少し前まではお風呂に毎日入っていた生活だったので体を洗わないことに抵抗感が生まれる。


(旅をするならこれにはなれないと……)


 旅をする場所によっては水の確保も難しい場所がある可能性がある。その可能性があるのにずっとその抵抗感を持っているのは旅人失格だろう。


「よし…体も拭けましたし……これからどうしましょうか……う~ん…私、この国についてよく知らないので、この国について聞いてからこの村を出ますか」


 そうしてロマとメアの入ったカバンを持って1度リスタは村のほうへと戻り、宿屋の主人に話をいくつか聞くことにした。


「すみません、少し話を聞いてもいいですか?」


「ん?なんだい?」


「私、この国について詳しくなくて…だから、この国のことについて教えてくれませんか?」


「わかった。この国についてだけどね、果物がおいしいんだよ。特にブドウがおいしいね。まぁ、この村は隣の帝国に近い気候だから、あまりブドウは取れないけど、もう少し王都に近い方だとおいしいブドウがとれるよ。特に、ツェルンという町のものがおいしいと聞いたことがあるよ。もし王都に行くならこの町も通るだろうから覚えておいてもいいかもしれないね」


「なるほど……他には何かありますか?」


「う~ん……あっ!魔獣じゃない蛇は見つけても殺してはいけないよ。神の使いと言われているからね」


「蛇……」


「そう。あと…白い蛇には特に気を付けて。何をされても追い返してはいけないし、恨んでもいけない」


「な、なぜですか?」


 白い蛇と言われて嫌な汗が噴き出してきそうだ。だが、ひとまず冷静を装ってリスタはそのまま話を聞き続ける。


「ただの蛇は神の使いだけど、白い蛇は神が姿を変えた姿と言われているからね」


「わっ、かりました。ありがとうございます」


「おや、もういいのかい?」


「ええ、大丈夫です。ほかに気になることがあれば自分で調べてみます。自分で調べることも旅の醍醐味ですので」


「そうかい?面白い子だね」


「い、いや、そんなことは……アハハ……あ、ありがとうございました!」


 そう言ってリスタは宿屋を出ていく。白い蛇。その存在が今、リスタのカバンの中にいることがおそらくこの国でもばれてはいけない。


(気を付けましょう……)


 そうしてリスタはその村を出る。初めは歩きで次の町へ向かっていたが、村が完全に見えなくなってからリスタは心器を出して、カバンの中のロマやメアに配慮をしながら走る。そうして十数分ほど走ると、次の町が少し見えてくる。そのタイミングでリスタは心器を戻し、そのまま歩き出した。


* * *


 1度町へ入る前にリスタはカバンの中の2匹の様子を確認する。その時にとあることが気になり、お金を入れている袋にリスタは触れた。


「……ま、まだ……いや、水と食料は……う、う~ん……途中で無くなりそうで怖いですね……とりあえず水と食料……それから1つ依頼を受けましょうか」


 お金が無くなりそうな状況にリスタは少し焦るが、これくらいならまだ何とかなりそうだ。


「Dランクの依頼を受けましょうか……」


 そうしてリスタは水と食料を買い、すぐに冒険者ギルドへと駆け込む。依頼の内容は魔獣の討伐。1人でこれをあまりこなしたことはないが、魔法が使えず、心器は物理攻撃ができないなりに、一応討伐の仕方は考えている。


(案外そこら辺の木とか石とかを使っても倒せるんですよね……)


 そんなことを思いながらリスタは受けた依頼を達成するために町で少し準備をしてから、町の近くの森へと赴く。


「メア、この辺りに何かいますか?」


 リスタはカバンからメアを出し、そう聞いた。すると、メアは1度リスタのほうへと向いてからどこかへと歩いていく。

 それにリスタがついていくとそこには目的の魔獣の群れがいた。その魔獣の名前はガロードン。イノシシ型の魔獣で、普通のイノシシのように畑を荒らしたり、土属性魔法を使ってエサがある場所に目印として盛られた土をいくつも作るので、畑や果樹園がぼこぼこになり困る人が多い。よって駆除のために冒険者ギルドや、国に駆除を要請することもあるのだ。


「……」


 リスタはガロードンをよく見て、その中で一回り体の大きなガロードンに狙いを定め、一つ、準備の際に買っておいたリンゴを投げた。そのリンゴにガロードンはほとんど驚かない。それどころかリンゴを少し匂いを嗅いだ後、すぐにそのリンゴを食べだした。


(あとは待つだけ……)


 ガロードンは体の大きなボスを中心に群れで行動する。ボスは土を盛るために土属性の魔法を扱うのではなく、手下たちに身体強化の魔法をかけるために土属性の魔法を扱うのだ。そのせいでボスを先に討伐しなければ苦戦を強いられる。なので、リスタは今回、少し実験もかねてガロードンのボスを簡単に倒すために一旦眠らせることにした。麻酔薬は現状の全財産を使って野生動物や魔獣でも気付きにくい物を冒険者ギルドで購入し、それをリンゴに塗って食べさせた。気づきにくいと言われてもどれくらいなのかがわからなかったが、鼻が利くガロードンでも気づかないような物なので、これで麻酔薬が効けばかなり有用なものとなる。ただ、これだけはどうなるのかは知らないので、効いても効かなくてもいい。効いてくれればそのまま討伐し、周りのガロードンも楽に討伐できる。効かなければまだ作戦はあるのでそれを実行するまでだ。


 そうしてしばらくリスタはガロードンの群れを見張る。それから10分後。ガロードンのボスの足元がおぼつきだし、ついに地面に突っ伏した。


「よし!ロマ!ガロードンのボスに毒を!メアは私と一緒に他のガロードンを狩りましょう!シェリルオーラの黒鎌!」


 そうしてリスタはシェリルオーラの黒鎌の鎖を使ってボス以外のガロードンを縛りあげる。群れなので鎖を多く操らなければならず、集中力がそがれる感覚と疲労が少しずつあらわになる。だが、そんな状態でも早く処理しなければならい。リスタはナイフを取り出し、ロマが出してくれた毒液をそのナイフに塗る。それからそのナイフをガロードンの子分に突き立てると、あっという間にガロードンの子分たちは動かなくなった。メアもその毒を爪に少しつけてガロードンをひっかく。


(ロマの毒強すぎませんか?!)


 改めて思うが、あの小さい体でこの強力な毒はどのように作られているのだろうか?と、ロマのほうへと目をやると、すでにロマはガロードンのボスを仕留めていた。実はお腹部分以外のほとんどが硬めの毛皮でおおわれているガロードンだが、ロマもメアもきちんと毛皮の柔らかい部分を狙って攻撃している。一方、リスタはというと、そのことを知らずにいたため、ナイフが刺さらないこともあった。リスタが倒せたのはほとんど運と言えるだろう。


「……」


 そのことをまだ知らないリスタは、後に、ロマもメアもきちんと柔らかい部分を狙っていたという事実を知ってさらに2匹のすごさを実感するのであった。

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