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最強コーチは戦わない ~人工魔法競技~  作者: たなお
2章 タッグバトル編
76/102

76話 ※祐乃視点

「う、うええぇえぇ……」


 心の傷が心からあふれ出す。

 涙が止まらなくなっていた。


「お、おい。祐乃!どうしたんだ!?」

「うわああああああん…!うえぇあああん!」


 コーチとハヤトくんは驚いて、ボクの元に駆け寄ってきた。

 ボクは情けなく、コーチの腹部に抱きつき、さらに涙を流した。


「…何かあったのか?」

「うえぇ…え…えええ…ん…」


 心のうちを明かしたかった。

 けれど感情がまとまらない。

 ボクが泣く姿を見て、ハヤトくんは困惑していた。


「オレ、何か言っちゃダメなこと言ったすかッ?」

「…違う…違う…違う…よ…ごめんね…」

「オレのせいじゃなかったなら良かったっすけど…」


 ハヤトくんは動揺し、頬をぽりぽりと掻く。

 ボクはコーチの胸元で顔を隠し、問いかけた。 


「コーチは…怒らない…ボクが負けても…ダメな子でも…怒らない…?」

「…? 怒らねーよ」


 コーチは首を傾げると、何かに気付いたのか小さく…そして優しく笑った。


「わかったぜ、祐乃。お前、怒られるのが怖いんだろ?」


――やっぱり、この人はすごい。

 ボクが望んでいる言葉、ボクが言って欲しかった言葉を全部言い当てる。


「どうやったら成長できるか、それを考えるのがコーチの仕事だぜ」

「…う…うん…ありがと…う…」


 コーチの腹部から離れると、腕で涙をぬぐう。


『大丈夫だ。負けてもいいぜ』


 あの言葉が、ここまで刺さるとは思わなかった。 

 無能なボクを否定しない。

 ダメなボクを怒らない。

 

 愛那ちゃんがコーチのことを好きな理由、わかった気がする。 


「あの~お話の途中でわるいんすけど」

「どうした、ハヤト?」

「この様子だと練習試合は無理っすよね?」


 コーチはボクの腫れた目を見て、ぽんぽんと軽く頭を叩いた。 


「…そうだな。また別の日にしよう」

「しゃーないっすね」


 ハヤトくんは両目を瞑って肩を落とした。

 楽しみにしていたのだろう。


 ボクは申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、ハヤトくんはニコッと笑い口を開いた。


「まあいいっすよ。今日の分は、来週の試合で埋め合わせしてもらうんで」


 含みがある言い方だった。

 言葉の意図を知るために、コーチは聞き返す。

 

「来週の試合、オレとカレンがペアを組むんすよ」

「そーいうことか」

「絶対勝つっすからね」

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