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黒狼部隊、干し肉予算で士気が上がる

第3話です。予算は士気にも効きます。

 黒狼部隊の離職率は、魔王城で最も高かった。


 理由を尋ねると、隊長の黒狼が前足で食堂の扉を叩いた。


「食事ですか」


 リゼリアが気まずそうに目をそらす。


「魔王軍たるもの、飢えにも耐えるべきで」


「耐えた結果、みんな隣国の牧場警備に転職しています」


 僕は給与台帳を見た。黒狼部隊の給餌費は、儀式用黒蝋燭費の十分の一。つまり城は、部隊より雰囲気を優先していた。


「蝋燭を半分にして、干し肉を増やします」


「玉座の迫力が減らぬか」


「玉座は戦いません」


 翌朝、黒狼部隊には干し肉が配られた。彼らは尻尾を振り、見回り速度が二倍になった。さらに、余った骨を加工して警報笛にする案まで出た。


 隊長は僕の前に座り、肉球で契約書に印を押した。


『半年契約更新』


 リゼリアが小さく笑う。


「金とは、忠誠も買うのだな」


「いいえ。正しく払えば、忠誠が逃げないだけです」


 その夜、魔王城の廊下から遠吠えが聞こえた。


 それは不満ではなく、久しぶりの点呼だった。

次回、勇者パーティ側の補給契約が動きます。

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