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追放監査官、魔王城財務長官になる

第12話です。王都側の不正と魔王領再建がつながり始めます。

魔王城の玉座は、まだない。


 代わりに、長机が置かれている。


 リゼリアは机の前に立ち、紙を掲げた。


「我が名はリゼリア。第七十二代魔王。ここに宣言する」


 僕は背筋を伸ばす。


「ルカを、魔王城財務長官とする」


 黒狼部隊が一斉に尻尾を振った。なぜか拍手の代わりらしい。


 リゼリアは小声で続ける。


「金は、まだない」


「はい」


「だが、赤字の構造は見えた」


「はい」


 魔王は深呼吸し、堂々と言い切った。


「ならば、我が城は立て直せる」


 僕は契約書に署名した。


 勇者に追放された監査官が、魔王城の財務を握る。


 世界の常識からすれば滑稽だろう。


 けれど帳簿の常識では、最も合理的だ。


 誰より赤字を嫌う者が、金を扱う。

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