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帳簿が暴く、本当の敵

第10話です。王都側の不正と魔王領再建がつながり始めます。

夜、僕は勇者側の“研磨費”を逆算した。


 聖剣研磨費が相場の十倍。研磨職人が十倍稼げるなら、職人は今ごろ王都で豪邸に住んでいる。


 だが現実は違う。


 差額は、どこかへ流れている。


「武具ギルドだ」


 僕が言うと、リゼリアは眉をひそめた。


「人間の組織か」


「ええ。武器の供給を握っている。戦争が長引けば儲かる」


 魔王領にも同じ構造がある。罠の豪華化。不要な儀式。呪いの新聞。……支出を膨らませる仕組みは、敵味方で似る。


 僕は地図の上に線を引いた。


「王都からここへ来る道。橋。市場。武具の流通。税」


 線の交点に、同じ印が重なる。


 “仲介商会”。


 戦争の敵は、勇者でも魔王でもない。


 戦争が続くことで、赤字が増えることで、得をする者だ。


「潰すか」


 リゼリアは静かに言った。


「潰します。ただし、剣ではなく帳簿で」


 僕は覚悟を決めた。


 次の決算書は、敵味方の両方を切る。

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