【第三章 - 2】食事会
「三大賢者、心虹れいり殿。良くお越しくださいました」
砂漠の中にある、大理石で出来た大きな聖堂。
その前に、立っていたのは…そう、デゼルダ孤児院の施設長だった。姿勢は正しく、スーツを着ている。
甘猫は、その男に微笑みかける。
「はじめまして。私は、れいり様の専属メイドの甘猫です」
「どうぞこちらへ…」
案内されたのは孤児院2階の一角にある部屋。
ソファーを差し出されたれいりは、そのまま腰掛け、甘猫はその後に立った。
「今回れいり様にお越しいただき、とても光栄に思います」
「こちらこそ…」
れいりは、座ったまま軽くお辞儀をした。
「それでは、早速本題に入りましょうか…。今回の要件は確か、セレディアでしたよね…」
れいりは頷く。
「そこで、今回はうちの保有する孤児院をいくつか回ってもらいたいと思ってまして…」
「いくつか…とは?」
本当は知っていたが、れいりはあえてそう質問する。
「私たちの孤児院では、教育レベルや、トラブル対応のためにいくつかの孤児院を保有しているのです…。検討はついておりますので、明日からそこを周ることになるかと…。そこで、今日はお食事会でもしませんか?」
本当は断りたかった。しかし、先日エリーナからの社交教育でれいりは学んだのだった。人間関係がどれだけ自分の人生を左右するのか、信頼関係はどれだけ人を利用できるのか。
「分かりました」
そうして案内されたのは庭と言った所だろうか…そこは施設の職員達で賑わっていた。
それに、砂漠なだけあってかなり寒い。それによく星が見える。
グラスを渡されたれいりはシャンパンをグラスに注いだ。これだって、本当は飲みたいわけじゃ無い。エリーナの教育はどうやら成功しているらしい…。
甘猫はまだ15歳なのでお酒は飲めない、だからリンゴジュースを飲んでいた。
「今日は、星が良く見えますね」
その施設長はれいりに近寄り、そう言った。
「本当ですね。天文学にはお詳しいのですか?」
「はい。昔、大学で天文学の授業を受けていたんですよ。今、この孤児院の施設長になったのもそのおかげですね。星が良く見えるこの地で働きたかったのです。れいり様はどうなのですか?」
「私は、あまり詳しくないんですよ…。機会があれば、是非教えていただきたいものです…」
「それなら、是非。今度教えて差し上げますよ」
施設長は、れいりに微笑みかけた。
天文学はとても難しい分野の一つだ。帝国最難関と言ったって過言ではない。
しかし、それだけ難しいのもあって、かなり役に立つことは多い。
例えば『星占い』なんかもそうだろう。まさに、セレディアの仕事の一環であり、絶対に外してはならない。
帝国には、こんな話もあるくらいだ。
ーー星は空に貼られた結界が映し出しているデータである。
この言葉は誰もが知っている。小学生で習うのは勿論だが、空に浮かぶ一等星の一つは『ゼータ』と呼ばれている。その名前の由来は、データ。そのままである。
「れいり様の運勢は…そうですね、難しい…。きっと、貴方は世界を良い意味でメチャクチャにするのでしょうか…」




