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楽園の祈り  作者: 大拓 陽
第二章 ミラグロス帝国

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【第二章 - 28】ルミナスタウンの教会に地下がある理由

「どうしたの。懐かしくなっちゃった…?」

 ルミナが墓石の前で祈っていると、プロソポンは揶揄うようにルミナの頭上に手を乗せた。

「さぁ、なんのことでしょう」

 ルミナは誤魔化した。


 ルミナスタウンの教会に地下がある理由。それは、ここがかつての決闘場であったからである。

 ここで、『彗星の魔術師』は殺された。そして、『彗星の魔術師』の死体はルミナが祈っている墓石のすぐ下に埋葬されていた。ルミナのかつての友カテリーナも…。


「そんな誤魔化さなくても良いのに。僕が君の正体を知らないとでも思ってるの?『彗星の魔術師』を殺した狂人、そうでしょ?」

 そんなのどうでもいいではないか。と、ルミナは心の中で呟いた。


 ーーその時だった。

 地下室の扉が開く。その瞬間地下室に大きな声が響き渡った。

「プロソポン!じゃなくて、サイザー。今日は私の大事なメイドを返してもらうからっ!」


 プロソポンはしゃがみながら後ろを振り向き、声のした方向を見た。

「お久しぶりですね。こんにちは、れいり殿」

 プロソポンは立ち上がって、れいりの方へと歩き出す。


「出来ればもう会いたくないんだけどっ!さっさと降参して」

「でも、貴方は弱いのでしょう?ね『卑怯な剣士』さん」

 煽るようにプロソポンは言う。れいりはその言葉にショックを受ける。

 実に単純である。


「…そうかもしれないけどっ!今日はとびっきりの助っ人『狡猾な魔術師』ことリフレイトを連れてきたから…。まだ勝ち目はあるもん」

「でも、君が僕のことを殺したら、そこの可愛い子猫ちゃんが悲しんじゃうよ、良いの?」


「安心して。私がエリーナに言われたのはプロソポンの暗殺じゃなくて、拘束だから」

 自信満々にれいりがそう言うと、プロソポンは顔をしかめた。

「それは困ったな。僕は殺されるつもりだったのに…」


「殺されるつもりだった……ん?どういうこと」

 ルミナの疑問に答えたのはプロソポンでもルミナでもなくリフレイトだった。


「こいつは、死体を偽装するのが上手いんですよ。だって、プロソポンは何体かいるのでしょう?その中から一人殺すことくらい大したことじゃありません。だからエリーナ様は本物のプロソポンを生身で持ってくるよう命じたのですよ」


「生身とは…随分と君は酷いことを言うんだね。そんなことより、何でさっきから顔を見せてくれないの?」


「僕は、人が嫌いなんですよ…」

 リフレイトは単調な声で答えた。

「あぁ。僕もそれには共感する、人間って傲慢で強欲で本当によく分からない生物だよね」


「僕は共感なんか求めてません」

「あっそ、本当に君はつまらない人だ」

 プロソポンは吐き捨てる様に言い、見下す様な目でリフレイトを見た。

 でも、リフレイトはビクともせずただじっとプロソポンを見た。


 それはただの威嚇なんかじゃない。

 ーー次の瞬間、プロソポンは目を見開きドスンという大きな音を立てて、そのまま床に倒れ込んだ。


「任務は完了です。れいり、帰りましょう」

 リフレイトはそう呟いき、後ろを振り向いた。

「……っちょ。待ってよ……まだ僕何もしてないんだけど……」


 プロソポンは床に手を突き、やっとの思いで上半身を起き上がらせる。

「なんと…。しぶとい奴ですね」

 リフレイトはプロソポンに顔を向けて睨みつけた。


「まぁまぁ。ほら、リフレイト落ち着いて…」

「断ります」

 リフレイトは短く返し、プロソポンの周りに結界を貼った。


「えっ、嘘でしょ!」

 プロそポンは何とか逃げようとするも、結界によって閉じ込められているどころか、体が上手く動かないのか、何とか起き上がらせようと頑張っている。


「220247262233247196262」

 無機質な、まるで風の様な声でリフレイトは数字を紡いだ。

 結界の中で、プロソポンは耳を塞ぐ。しかし、効果は無かったのか、プロソポンはその場に倒れ込む。


「鬱陶しい」

 まもなく、リフレイトはそう言った。

 その前に居たのは、甘猫。


「今まで潜伏していたのですね…。貴方のご主人様がすぐそこにいるというのに、本当に凶暴な猫です」

「私は端かられいり様を傷つける気などございませんが……。プロソポン様に危害を与えた『狡猾な魔術師』様はちょっとお仕置きが必要みたいですっ」


 リフレイトが手を払うと、甘猫は遠くへと飛ばされた。

「僕に勝てるとでもお思いで?」

 リフレイトは甘猫の首元に風の刃を向け、見下す様に言った。


「ちょっと、リフレイトっ」

 その瞬間ーー誰かがれいりの腕を掴む。


「れいり様」

 ルミナだった。しかし、先ほど攻撃された身だ。れいりは腕を振り払って一歩後ろに下がった。


 れいりはいつでも向かい撃てる様魔法陣を前に向けたが、ルミナは何もしてこない。

 ルミナは少し目を瞑った後、口を開いた「問題ありません。甘猫は大丈夫ですから…少し、こちらで話をしませんか?」


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