表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽園の祈り  作者: 大拓 陽
第二章 ミラグロス帝国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/105

【第二章 - 間章4】貴方の親を殺裏切ったのはーー

「ー被告人ルミナを死刑と処す」

 ルミナはすぐに捕えられた。それから留置所に入れられー今日に至る。

 その判決を聞いた民衆達は「親が殺されたのに泣かなかった心の無い奴が死刑になるなんて当たり前だ」と、言っていた。


 見た目も、もうボロボロだった。黒く短い髪はボサボサで、赤黒い瞳には光が灯っていない。

 今回の死刑は単なる斬首系ではない。

 まだ幼いことを考慮してなのか分からないが、三大賢者との決闘となったのだ。


 本音を言うのならさっさとギロチンに斬られて死にたかった。

 三大賢者から選ばれたのは『彗星の魔術師』彼は、ただの顔が良い男なんかじゃない。

 三大賢者の中では珍しく、真面目な彼はセイシスト・リオンの次期候補と言われるぐらい強かった。

 魔術の発動スピードがあまりにも早すぎる。


 それはつまり、頭の回転がとてつもなく早いことを意味する。戦闘において最強の武器だ。

 間違いなくルミナは死ぬ。だから、死刑という名目で執り行われることになったのだ。

 刑は2日後ー。後も無いので、ルミナは刑務所ではなく処刑場の近くにある拘置所に入れられた。


 最後の場所だからだろうか、思ったよりも良い場所だ。中には礼拝室や本が沢山並んだ図書館の様な場所があった。

 ここは、セイシスト教会が管理しているだけあって、どことなく孤児院と似ていた。だからだろうか、どこか安心感がある。


「お嬢ちゃん。どうしたの?」

 ルミナが後ろを振り向くと、紺色に黒い目をした女性がこちらをじっと見つめて来た。


「はじめまして。明後日処されるので、それを待っているんです」

「貴方。死ぬのが怖く無いのね」

「えぇ」

 ルミナがそう返すと、女性の目から光がなくなり、蔑むように微笑んだ。

「私と、同じなのね」


 ルミナは素っ気なくその場を後にし、図書館へと足を踏み入れた。

 高い天井から光が降り注ぎ、教会のような静謐がルミナを包み込む。


 天を仰ぐように突き抜けた図書館の中にはずらりと沢山の本が並べられていた。

 図書館の中央には、木で出来た楽譜立てのような見た目の魔道具が置かれていた。

 これはルミナがいつも借りている、孤児院の一角の図書室にも置かれていた。


 ルミナは指先に魔力を込め「戦闘魔法」と描く。空中に浮いたその文字を魔道具に滑らせた。

 光輝く魔導処が譜面台に現れた。ルミナはそれを手にとり、それを何回か繰り返す。

 それから、用意された部屋にその本を全て置いた。


 本当はさっさと死ぬつもりだったが『彗星の魔術師』との戦い。最後ぐらい必死に争ってみたいと思った。

「あら、魔導書なんてよんでいるの」

 誰かが言った。


「あなたは私と違うみたい。死ぬのがこわいんだ、悔しいんだ、親が殺されて悲しいんだ」

 ルミナはあえて顔を上げなかった。

「それがどうしたのですか。私は心底どうでもいいですよ」


「あら、知らないの?貴方の親は『彗星の魔術師』に裏切られたのよ」

 その時、ルミナの背筋が凍った。やはり顔を上げられない…、なんだろう、私の中に閉じ込められていた何かが悲鳴を上げている。


「あら、何も聞かないのね。でも良いわ?これは想定内だもの。もし、復讐したいと思うのなら、私を手伝ってちょうだい」

 話によれば、ルミナの親は『彗星の魔術師』に憎まれていて、親を殺す計画を立てたらしい。


 殺された、子供の泣きっ面をみたかったのに、ルミナは何も感じなかった。だからこそ、次こそはとルミナとの決闘裁判に名乗り出た。

 心の底から何かあついものが沸いてきた。その時ールミナは本気で『彗星の魔術師』を殺すと心の底から決心した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ