【第二章 - 13】セレディア
会場を見渡すと、会場の奥のほうでワインを飲みながら、リフレイトと話しているお母さんの姿を発見した。
「甘猫、リフレイトってどう思う?あんまり話したことないんだよね…… 」
「れいり様、私も話したことありませんよ……。ですが、こないだ三大賢者について調べていた時に、だいたいの経歴は見ましたね」
〈リフレイト〉
異名:狡猾な魔術師
属性:音♢3 風♢
魔力:732M
武器種:特に無し
「まぁ、ざっとこんな感じでした。魔力量負けてたのは結構悔しかったですけど…」
こんな高い魔力量で競り合おうとしている甘猫をみて、ただでさえ誤魔化している456Mという魔力量がなんだか恥ずかしくなってくる。
多分、いや絶対に甘猫とリフレイトの魔力量がおかしいだけだ。
何故なら、リフレイトの魔力量は長寿種でない生物の歴代最高魔力量なのである。
普通に、三大賢者でもなくまだ若い甘猫がリフレイトと競り合ってる時点で何かがおかしいのだ。
「どうしたのですか?そんな落ち込んだ顔をして…」
れいりは、焦って平然な顔をする。
「いや、何でも無いよ。何でも……」
ここ最近一緒に暮らしはじめて、甘猫に色々と技術を身につけさせていたのだが、その成長スピードは目を見張るもので、自分も負けてしまうのではないかと、最近不安になってきていた。
なんだか、昔みたいに上手く魔力を操れなくなってしまったのだ。
こんなことを言っているが、上手く魔力を操れた記憶が全く無い。でも、昔書いた論文を読む限りそうであったことは間違いない。
やはり、どこかで記憶の改変と喪失が起きているのだろうか。
手に少し魔力を込めて、それを見つめて見ていると、甘猫が話かけてきた。
「時間みたいですよ?」
そう言ったと同時に、さっきよりも重い空気を放つ圧倒的なオーラを感じる。
何人もの騎士を連れ、玉座側の扉から入って来たのは、皇帝クレイズ・レナーテ。
れいり的には、もっと年老いた男性が入ってくるのかと思っていたのだが、どちらかといえば王子なのかと思ってしまうくらいに若々しい人であった。
漆黒なのにどこか惹かれる長い髪に、吸い込まれる赤黒い目はまさに皇帝の威厳の源という感じだ。
皇帝が玉座に着くと、それに続いてエリーナもやって来る。
そして、もう一人白く長い髪を青い飾り紐で後ろで結んだ女の子がやってきた。
アクアブルーの瞳、それは人を一瞬で魅了させられる不思議な力を持ち、この場において圧倒的なオーラを放っていた。
そして、手を振りながら入ってきたのはルーチェ。なんだか、玉座の周りで一番ゆるキャラ感があって可愛い。
全員が椅子に着くと、皇帝の右腕らしき人が少し前にでて口を開く。
「本日はお集まり誠に頂き誠にありがとうございます。帝国外から来られた方もいらっしゃると思います。必要ないかもしれませんが、最初に皇族の紹介をさせて頂きます」
一度お辞儀をしてから、その人は続けた。
「まず、エリーナ様。次期女帝候補である彼女は、莫大な実績を持つ方であり、現皇族ながら次期女帝候補として名を上ておられます」
ミラグロス帝国の皇帝精度は少し特殊だ。
まず、ミラグロス帝国には全員が皇帝、もしくは女帝になる資格があるのだ。
とはいえ、皇帝の任期は死ぬまでなので、基本的に長寿族が皇帝になることは特例を除いて認められていない。
毎回皇帝は、実績、実力、政治力、強運を兼ね備えた者から選ばれる。
そして、その血筋を持っている、つまり親族と呼ばれる人たちは同時に絶対的な権力を手にする。
それが、甘猫がいじめられた原因でもあるのだろう。ちなみに、その選び方は、占いと民衆からの支持である。
それを占うのがそう、セレディア。
「そして、カーロ様。占いが得意なセレディアと崇められ、その瞳は人をいつも見透かしていると呼ばれる、レディアを受け継ぎし者です」
セレディアとは、まぁ簡単にいえば預言者だ。
先ほど、エリーナが言っていた通り、政治とは運的要素もかなり強い。
毎年皇帝や女帝が授かる子、それも決まって長女は必ずセレディアと呼ばれる能力を持って生まれるのだ。
そう、人を見透かす目。
それは、人の才覚を確実に見抜くことができる。
もし、長女が生まれなかったら、帝国一の占術師を毎年雇っているが、セレディアには叶わない。
セレディアの占い、目これが皇帝、女帝を決める大事な要素になっている。
「皇后、ルーチェ様。皆から愛される人気者でございます」
そういえば、いつのまにか変装を解いてたルーチェ。
なんだか、紹介が短すぎるので少し補足しておこうか。
ルーチェは元々女帝候補だった、しかしあまりにも威厳がなさすぎるため残念ながら女帝になることは出来なかった。
しかし、女帝候補に選出されるほど彼女の実力はかなり高いもので。
例えば、外と交流を持とうとしなかった帝国に、帝国外との交易を提案したのも彼女だし、それも上手くいって最近はレグラス島嶼国とか、エウロギア王国とも仲良くやっているらしい。
でも、ミラグロス全土の八割型をミラグロス帝国が支配しているため、向こうは土地を奪われるのではないかとまだ心配している様子で、ルーチェも悩んでいるそう。
私もいつか、ミラグロス帝国外に行ってみたいものだ。
「そして、皇帝アトラス様です。言わずもがなアトラス様は現皇帝ーー」




