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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第1章

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第7話 湖畔で

 おちゃらけた話をしていたペータの口が止まった。


 ぱたり。


 リナが千切りかけのパンを落とした。


「そうか、いつかはこの日が来ると思っていた。明日も今日と同じ成果なら、普通の冒険者の一か月分かの。十分じゃのう」


 どこか達観したような村長の言葉だった。


「旅支度を用意しよう。討伐部位と魔核も持っていくがいい、街のギルドで交換すれば銀貨になる。それで残りの支度を整えるとええ」


「いや、それじゃ貰いすぎなんじゃ?」


 村の儲けがないんだが?


「魔物を狩って村の安全を守ってくれたことで十分助かっとる、干し肉は狩ってくれた動物の肉で補填する、オークの肉まで振舞ってもらったんじゃ、村中感謝しておる。当然じゃろう」


 にこにこしながら村長は語った。


「おいリョージ、お前はリナが気に入らないっていうのか?」


 ぶっきらぼうにペータが口を挟んできた。


「や、やめてよペータ」


 リナの制止の声を無視して、ペータは続けた。


「オレはお前がリナと結婚して、次の村長になってくれたらいいと思ってる」


 おい、ペータ。

 ……あ、リナの風呂を覗かせたのって、もしかしてそういうことか?!


「やめて、ペータ! リョージとあたしはそんなんじゃ――!」


 リナの声も次第に大きくなっていく。


「ごめん、ペータ。俺は自分が何にも知らないことに気づいたんだ。この国を旅して、いろいろと勉強して、強くなって必ず戻って来るよ」


 リョージは真剣な気持ちで、ペータと向き合った。

 ペータは斜め下に目をそらす。


「……そう言って村を出て行った奴らは、一人も帰ってこない。父さんも母さんも、オレたちを守るために出て行って帰ってこなかった」


 ガタリ。


 席を立ったペータは、振り向きもせず食卓を出て行った。


「すまんの、リョージ。ペータも普段はおどけて明るく振る舞っているがの、両親を失ったことがかなり堪えているのじゃよ」

「大丈夫です、わかっていますから」


 そう答えるしかなかった。




 次の朝。

 リナに案内してもらい、森の奥で魔物を狩る。

 浅い区域は狩りつくさないように気を配った。


 魔気の濃さに注意しながら、森奥ギリギリを攻めていく。

 今日も大漁だよ、おっ母さん。


 無人の野を行くがごとく森を練り歩いた。

 エルダー・トレントはめったに出てこない天災のような魔物で、そこまで気を張らなくてもよさそうだ。



 リナと二人で、森の奥の湖畔に辿り着いた。

 透き通った水面に、青空が映っている。

 周囲には色とりどりの花が咲き乱れていた。


 心が洗われるような風景にどこかホッとする。

 時間的にも昼時だし、狩りの成果も上々だ。


 二人ともピクニック気分で昼食にした。

 ブドウ酒とハムチーズを挟んだパンは、最高に旨かった。


 満腹になり少しお酒も入り、まったりとした空気が流れる。


「ここ、幼馴染と二人だけの秘密の場所だったんだ――」


 リナが湖を見つめながら言った。


 幼馴染って——ドラゴンに……。

 リョージは、どう返せばいいのか分からなかった。


「綺麗な場所だな」

「うん……だから、リョージに見せたかったんだ」

「……」


「……結婚の約束もしてたんだ」


 男だったのか、なんか勝手に女の子かと思い込んでた。


「一生、一緒に居ようねって約束してたのに」


 リナがリョージの方を向いた。


 その目には、涙が浮かんでいた。


「リョージ、明日行っちゃうのね」

「リナ……」


「リョージが絶対に守るって言ってくれて、すっごく嬉しかった。あたし忘れない」


 リナの言葉に、リョージの胸が熱くなった。


「俺も、リナと離れたくはないよ。でも……」

「分かってる。リョージは旅に出て、いろいろと勉強したいんだよね」


 リナはリョージに体を寄せた。

 吐息が熱い。


「お願いがあるの」


 真正面から見つめるリナの視線がまぶしい。


「どれだけ時間がかかっても、あたし待ってるから」

「約束するよ。必ず戻ってくる。リナを忘れることは、絶対にない」

「うん。信じてる、だから——」


 ぶわっとリナの体温が上がる。

 顔が朱く染まった。


 なんだ!?

 どうしたらいいんだ?


 分からない、『だから——』の後ろ何だ?

 理解不能! 助けて神チート。


____________________

……【スキル発動】


 神チート〈ver.0.2.2β〉:【システム対応外案件】

 対女性経験値大幅不足

 チート補正不可能


 ※10秒後に自動アップデート開始します

 更新予定時間3600秒

____________________


 逃げた?!


 リナは、リョージの首に体を預けるように腕を回した。

 潤む目で、真正面からじっとリョージを見据えている。


「リョージ——」

「リナ——」


 リナの熱い吐息を感じる。


 リナの腕に引かれるまま。

 覆いかぶさるように寝ころんだ。


 リョージの唇はリナの唇に重なった。


 湖畔の静けさの中。



 二人は共にはじめてだったけれど――

 互いの体温と吐息は静かに、そして激しく重なり合っていった。

お読みいただきありがとうございます。


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