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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第1章

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第6話 森の脅威

 ドォォォォォン!


 地響きとともに。

 巨大な影が現れた。


 体長は10メートルを超えるか?

 灰色の巨木。


 太い幹の両側から、2本の腕が生えている。


「エルダー・トレント! こんなところに? なぜ?!」


 リナの顔から血の気が引いた。


「リョージ、逃げて! エルダー・トレントは普通の人間じゃ勝てない! 領主様の軍隊を呼ばないと!」


 叫びもむなしく、エルダー・トレントはすでにリョージたちを敵として捕捉していた。


「ギャァァァァァオ!」


 怒声とともに巨大な両腕を振り上げ地面へ叩きつけた。


 ドガァァァン!


 衝撃で地面が割れ、砕けた大地の破片が飛び散る。

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.0.2.1β〉:友好関係者保護を推奨。

____________________


「くそっ!」


 考えるより先に、立ちすくんでいるリナにリョージは飛びついた。

 地面を転がりながら、飛んでくる石片を防具で受け止める。


「! リョージ!」


 我に返ったリナはすかさず立ち上がる。

 ボウガンを構えて矢を放った。


 カィン


 だが、ボウガンの矢は、エルダー・トレントの樹皮で弾かれ、虚しく乾いた音を立てた。


「効かない——」

「こいつ、樹皮が硬い!」


 エルダー・トレントは咆哮しながら突進。

 リョージを狙って枝状の腕を振り下ろす。


____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.0.2.1β〉:最善対応 回避

 友好関係者への被弾確率76%上昇のため 非推奨

 次善対応 防御 推奨

____________________


 リョージは一歩踏み込んだ。

 敢えて腕の防具で受け止める。


 ズンっ。

 重い衝撃が加わりメキリと体が沈む。


 衝撃と圧力を逃がすように後方へ飛ぶ。

 そのまま背中から立ち木にぶつかった。


「ぐっ――!」


 神チートの鉄壁防御に守られて痛みはない。

 が、衝撃で息が詰まり、頭の奥が痺れる。


「くそったれ!」


 思わず罵声が漏れた。

 砕けた木々の残骸から、身を起こしたとき――


 エルダー・トレントの視線は、リナに向いていた。


「リナ、危ない!」


 エルダー・トレントが地を蹴った。

 リナに向かって突進する。


 リナはボウガンを捨て、後ろに向かって走り出した。

 思い切りがいいが、それは悪手だ。


 突っ込んでくる相手と、同じ方向に逃げては駄目だ。

 横か斜めに逃げないと。


「きゃあぁぁぁぁぁあっ!」


 リーチも瞬発力も、エルダー・トレントの方がはるかに上だ。


 当然、リナは追い詰められていく。


 エルダー・トレントは腕を振り上げた。


「リナァァァァ!」


 リョージの中で何かが弾けた。


____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.0.2.1β〉:最優先目標を捕捉。

 全機能を優先解放します。


 目標:対象リナの保護

____________________


 リョージの体が光に包まれた。


 視界がスローモーションになる。


 エルダー・トレントの動き、リナの表情、全てがゆっくりと見える。


 思うより先に体が動いた。


 エルダー・トレントとリナの間に割り込んでいた。

 振り下ろされる腕を静かに見つめていた。


 ずんっ!


 素手で受け止めた。


「ギ……!」


 エルダー・トレントの表情が驚愕に染まる。


「ぉおおおおおおおおおおおおおおお――――!」


 その腕ごと、エルダー・トレントを掴んでぶん回し――


「りやぁあああああああああああああ――――!」


 後ろへ投げ飛ばした。


 ドゴォォォォォン!


 地面が大きくえぐれ、周囲の木々が根こそぎ吹き飛ぶ。


 リョージの体から光が消えた。

 どうやら終わったらしい。

____________________

【スキル発動完了】

 神チート〈ver.0.2.1β〉:強敵を撃破しました。

 結果:エルダー・トレント(Lv.350)撃破

 経験値:150,000獲得

 レベルアップ:Lv.48 → Lv.56

 HP:4,782/4,800 → 5,600/5,600

 MP:4,800/4,800 → 5,600/5,600


【新スキル獲得】

《感情共鳴》:大切な存在への強い想いが力に変換されます


 新称号獲得:【魔樹殺し】

____________________


 よろよろと立ち上がる。


 見れば、エルダー・トレントの頭は地面に埋まりピクリとも動かない。

 まるでマンガの世界だ。


「はぁ、はぁ――」


 息を整えながら振り向いた。


「リナ、大丈夫か?」


 リナは、呆然とリョージを見つめていた。


「リョージ、今の……」

「ごめん、驚かせた。でも、リナを守りたくて」


 リナの目から、涙が一筋こぼれた。


「……あ」


 やっと感情が戻ってきたのか、両目から大河のようにとめどなく涙があふれだした。

 リナは崩れるように、その場にへたり込んでしまった。


「ありがとう。あたし、ここで死ぬのかと――」


 リョージは肩を抱きしめてやる。


「大丈夫、リナは絶対に俺が守る」


 リナはリョージに縋りつき、胸に顔を埋めて泣いた。


「リョージ、あたし……」


 その震える声が、胸に沁み入る。

 リナの体温を全身で感じながら、リョージはあることを決心した。


 リナを両手で抱きかかえながら、帰り着いた時。

 村は一時騒然となった。


「少し足を滑らせて挫いただけだから――」


 リナの説明に、村長もペータも胸をなでおろしていた。

 リナを抱きかかえて帰ってきたリョージに、心からの感謝の言葉を伝えてくれた。


 それだけで十二分に胸がいっぱいだ。

 エルダー・トレントを倒したことは、リナと二人だけの秘密にした。


 もう排除された危険で、村人たちに要らない不安を与えないため。

 それに、言っても信じてもらえないだろうし。

 巨大なエルダー・トレントを、バックドロップ一発で倒したなんて誰が信じる?

 俺なら信じない。


 リナはエルダー・トレントの討伐部位を知らなかった。

 とりあえず、まるごと無限収納に収めた。


 なので証拠として魔核を見せることもできない。

 無限収納は一応村人にも秘密にしておこうと思う。

 だからやっぱり、死骸も見せられない。


 それ以外の収穫だけでも、村長たちは十分に満足してくれた。

 村長宅で皆と夕食を囲んだ時。

 昼間、決心したことを村長に告げた。


「村長、もう一日魔物を狩ったら、明後日には村を出ます」

お読みいただきありがとうございます。


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