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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第4章

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第60話 リベンジマッチ

「もう決着はついたはずだがな、リョージ」


 リョージの目の前に降り立った魔王ヴァルゼノス。

 不敵な笑みを浮かべていた。


「お父様——」


 ゼノヴィアはヴァルゼノスに語り掛ける。


「ゼノヴィア——」


 どこか冷めた目で娘を見つめる魔王ヴァルゼノス。


「ここは危険だ、それに魔王四天王の二人もが敵勢力と共に立つというのも士気にかかわる、全員を連れて城に戻りなさい」


 ゼノヴィアはにこやかに微笑みを返した。


「いえ、お父様。これは私の戦いです——以前おっしゃいましたよね。『魔族なら力で我をねじ伏せ、従えて見せろ——』と」


 一点の曇りもない瞳でヴァルゼノスを見据えている。


 魔王ヴァルゼノスはリョージへと視線を戻した。


「なるほど、リョージがお前の剣。という訳か」


「それに——」

 

 リョージが答えた。


「僕の生まれた所ではリベンジマッチという風習があります」

「リベンジマッチ?」


「ええ、戦いに敗れた者は勝者に再挑戦して、恥をすすぐ機会が与えられます」

「——なるほど、面白い」


 にやりと魔王の口元が笑った。


「ゼノヴィアは我を斃し、王権をもって魔族と人間の戦を止めることを欲っし。リョージはその剣となりて闘い、先の敗戦の恥をすすぐことを望むか」


 ごきり。

 握りしめた拳が鳴る。


「魔王軍の進軍は止めん。両軍衝突までに決着がつかなければ、どの道停戦は無理だ」

「お父様」


 ゼノヴィアが悲しそうな顔で言った。


「すみません、これは王権への挑戦でなく——」


 ドぎゅん。


 クレインクイン・ボウガンの矢を、魔王は首だけ傾けて躱した。

 女狩人は涼しい顔で次弾を装填している。


「——反逆です」


 ゼノヴィアの言葉を待たず、女騎士エレナは乗騎にムチを打ち馬上槍を繰り出す。


「ふんっ」


 片手でいなす魔王。

 次の攻撃に備え体勢を立て直すが女騎士はそのまま通り過ぎて行った。


 ぞくっ。


 首筋に殺気を感じた。

 腰を落として後ろから振り降ろされたアダマス・ヴァルトの剣線を躱す。


「リョージ! 流石に1対11は酷くはないか?」


 言葉とは裏腹に魔王の悲鳴は歓喜の色に彩られていた。


「勝てば官軍!」


 リョージは叫ぶ。

 身も蓋もない。


《魔弾》


 ザーラとサラの方向へ向けた魔王の右手の魔法陣から、鋭く尖った魔力の欠片が射出される。


「戦場に非戦闘員を連れてくるのはいかがなものか?」


《氷盾》


 中空に舞い上がる円形の魔法陣が氷の盾となり、魔弾を相殺し砕け散る。


「魔王陛下。仲間は守らせていただきます」


 フリーゼとアグレシアが前に出で、何枚もの魔法盾を展開する。


「出でよ!」


 襤褸布のようなローブに身を包んだ黒エルフ。

 シャンドゥが叫ぶ。


 大地に禍々しき黒光が走りる。

 紡がれた巨大な魔法陣からのっそりと浮かびき上がる白い影。


「魔王サマ! ボクは元よりゼノヴィア様の下僕なんだよ! 覚悟して!」


 魔方陣から現れた巨大な白骨は、竜の形を模っている。


「ドラゴン・ボーン・ゴーレムだと?!」


 全長二十メートルはある巨体。

 鋭い牙、頭蓋骨の目の奥が赤く光っている。


 ブォンッ!


 巨大な尻尾が振られ、魔王ヴァルゼノスを襲う。


「ふざけるな! シャンドゥ! こんなに新しいドラゴンの骨格があってたまるか!」

「いい出物があった。お金はこういうときに使うもの。丸ごとゴーレム化した」


 多分リベルタ産かと思う。


「瞬着!」


 魔王が白銀の輝きに包まれる。


 煌鎧殻こうがいかくルクス・アルマトゥーラに包まれた魔王の右手は。

 真上に出現し、落ちながら切りかかってきたリョージのアダマス・ヴァルトを捌く。


 左手は逆サイドから突進してくる女騎士の馬上槍を掴み、握り潰しへし折った。

 背中に突き刺さるボウガンの矢は装甲に任せて弾く。


 攻撃の能力を全く持たなかったゼノヴィアは転移能力を駆使。

 リョージをはじめとした仲間たちを魔王の死角へ次々と送り込む。

 ヒットアンドアウェイによる多方向からの連続攻撃で魔王を飽和状態に追い込んだ。




「死セヨテンプス・モリアトゥル


 魔王の脳天に振り下ろされんとしていたドラゴン・ボーン・ゴーレムの尻尾が空中で静止した。


「まさか、古代魔族の秘宝。煌鎧殻こうがいかくルクス・アルマトゥーラの秘匿能力をこんなところで使う羽目になるとは——」


 みるみると減っていく魔力ゲージを横目に死地を脱する。


 魔王ヴァルゼノスは己の娘に相対した。


「ゼノヴィア、戦闘力を持たぬお前を侮っていたのは我の不明であった」


 しかし、歴代煌鎧殻こうがいかくルクス・アルマトゥーラの使用者しか知り得なかった時間停止能力で紙一重で逆転した。


「すまんが、ここで魔族を路頭に迷わせる訳にはいかん。この戦術の要であるお前の命を絶つ」


 目線の合わぬ娘の頬に手のひらでそっと触れた。


 両の目から熱いものが零れ落ちる。


「お前にはずっと生きていてほしかった、形はどうあれ愛していたよゼノヴィア」


 魔王は魔力を込めた拳を振り上げた。

お読みいただきありがとうございます。


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