↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/63

第55話 黒と白

(まったく、これが「最低限——」だと?)


 魔王は内心で微笑んでいた。


 王女は国のために身を捧げる覚悟を持ち、冒険者はその王女を命がけで守ろうとする。


 打算も策略もない、ただ真っ直ぐな意志。


 人間は弱いくせに、狡猾で信用ならぬ存在だと思っていたが——




 城の外、天空には魔王の姿が投射されている。

 声も拡声の魔道具を使っているのか。


 空を飛んでいる目玉に羽の生えたような魔物がカメラになっているらしい。


 魔王軍全軍の前で魔王は宣言した。


「皆のものよく聞け、王国より和睦の使者が来た。我らに婚姻同盟を持ちかけてきたのだ。まさしく我々は戦うまでもなく勝利したも同然である」


「うおおおおおおおおおおお!」


 魔王軍たちは意気揚々と勝利宣言する魔王に歓喜の声をあげた。


「しかし戦わずして勝利を得るなどということは誇りある魔族の流儀ではない」


 脳筋宣言。

 草しか生えない。


「人間の使者はたった二人。死地を越え、魔王城にまでたどり着き我に謁見を求めてきた。人間風情にしては剛毅な者たちである。よって我はこの者たちにチャンスを与えたい」


 天空にリョージたちの映像が投射された。

 魔王軍、観客の歓声が感心したという声に変わる。


「人間代表はリョージ。魔族代表は当然私だ」


 一瞬、魔王軍の群衆は静まり返った。

 その後、あちこちからブーイングの嵐。


 どんだけ戦いたいんだよキミら。


「ここにいる王国息女ルシアンナ・ディア=ルミナセリオンは最後の皇帝、第七代ディアボルス=マグヌス・ヴァル=ソラエルの皇太子アウレリウス=ノクス・ヴァル=アザエル殿下の血を受け継ぎし人間よ。古代魔帝の血縁を紡がぬ我を、裏では簒奪者と謗り王権を認めぬ者たちも、古代皇帝の血を受け継ぎし妃を迎え、その子を王位に据えるのならば納得できよう。妻には娶った上で同盟を結ぶか、戦勝の証として質草に据えるか——」


 ひでぇ、どちらにしてもルーシーは人身御供か。


「さて、リョージ。地の利、人の和、そしてルミナス・ハートのもたらす天の時は我の圧倒的優位だが。この状況で天命をひっくり返すことができるのか? 異端の冒険者リョージよ」



 リョージたちは城の外に出た。

 周囲は軍に囲まれ、当然逃げることなどできない。

 魔王とリョージの戦いは天空へ投影されるようだ。


「戦いに巻き込まれ泣きを入れる魔族などおらん、遠慮するなよリョージ」


 どこまで本気か知らないが、当然リョージも空気なんて読まない。


「我とリョージで一騎打ちを行う。我が勝てばルシアンナ姫を人質とし、予定通り人間領への侵攻を開始する。リョージが勝てば同盟を受け入れ侵攻は中止となる。なおその場合、魔王の名においてリョージの望みを何でも一つ叶えてやろう。このままではリョージ自身は勝っても何も旨みがないからな」


 これは——。

 魔王陛下、さすがに懐は深かった。

 ルーシーの魔王妃ルートを回避するには。

 リョージが魔王に勝ち、ルーシーを娶ると望むしかない。


 ルーシーの顔色が悪い。

 自分と王国の命運がリョージの双肩にかかっているのだから無理もない。


 胸の奥が熱くなる。

 俺、魔王に勝ったら、ルーシーにプロポーズするんだ。


「さてと、リョージ。一介の人間の冒険者風情に魔王が遮二無二かかるというのも見苦しい。前途ある人間の若者に一発逆転のチャンスを与えたいと思うが、魔族の皆はどう思うか?」


「うおおおおおおおおおおお!」


 相変わらず周囲から怒涛の歓声が響き渡る。

 魔王は耳に片手を当て、群衆の声に耳を傾ける仕草。


「うむ、そうだろう。そうだろう。魔族最強たるもの、それが魔王だ。リョージよ先に一発殴らせてやろう。もしそれを受け止め切れなかったらば私の負けで良い」


「うおおおおおおおおおおお!」


 またもや歓声が上がる。

 もはや賛否など分かろうはずもない。

 まぁリョージとしては、舐め切ってもらってありがたいことこの上ない訳だが。


「本気の全力で行きます、後悔しないでくださいよ」

「もちろんだとも」


 よほど自信があるのだろう。

 しめしめ。

 魔王は微笑みを崩さず腰に軽く手を添えている。


 瞬着!


 いきなりノクス・アルマトゥーラを起動。


「ふぉおおおおおおおおおおおおお!」


 黒い鎧の右の拳に、ありったけの魔力を一点集中。


「! ちょっと待て! リョージ! その強化鎧殻は古代魔太子の——」


 魔王ヴァルゼノスが何か叫んでいる。

 はぁ? 聞こえんなぁ〜


 ノクス・アルマトゥーラ!

 魔力臨界120%!

 いったれや!


 ダッシュで魔王の懐に飛び込み。


「うぉおおおおおおおおおおおおお! スーパーノクス・インパクト!」


 ドゴン!


 魔王のボディに渾身の右パンチを叩き込んだった。


 ——みしり。


 右拳に確固たる手応えを感じる。

 取った!

 どぉ——


 そのまま振り抜——


 ——けなかった。


 ダッシュの余波で城の床が削れ、周囲に土煙がもうもうと立ち込める中。


 ギリッ


 ノクス・アルマトゥーラの漆黒の拳は、純白の輝きを放つ掌に受け止められていた。

 インパクトの瞬間、確かに周囲の空間が歪んだ。


「やれやれ、まさかアウレリウス殿下の鎧殻アルマトゥーラが人間に受け継がれていたとはな」


 少し高揚した魔王の声が響いた。


 ——まさか。


 ノクス・アルマトゥーラの超臨界パンチが効かない?!


「ジョーエンやボルガが勝てぬわけだ——だがな、リョージ」


 宙舞う埃が次第に晴れ、姿を現した魔王の全身は純白の鎧に包まれていた。


 その鎧は色を除いては夜鎧殻ノクス・アルマトゥーラとそっくりだった。


「魔太子殿下の鎧殻アルマトゥーラは所詮、皇帝用の鎧殻アルマトゥーラの試作品にすぎん。完成形である皇帝の鎧殻。煌鎧殻こうがいかくルクス・アルマトゥーラには及ばない!」

「くっ……!」


 掴まれた拳を振りほどこうと力を込めるが魔王の掌はびくともしない。

 魔王が軽く腕を振るった。


「ぬっ——!」


 リョージの体が宙を舞う。

 背中から地面に叩きつけられ、肺から空気が抜けた。


「ごふうっ!」


 ゴロゴロと自分から転がり、魔王から距離を取ってようやく体勢を立て直す。


(速い! ノクス・アルマトゥーラの機動力を上回ってる!)


 魔王はゆったりとした足取りでリョージに近づいてくる。

 涼しげな表情だ。


「さて、次は私の番だ」


 瞬間、魔王の姿が消えた。


「——っ!」


 本能が警鐘を鳴らす。左側から!

 咄嗟に腕でガードを固める。


 ドガァン!


 魔王の拳がリョージの左腕を捉えた。ノクス・アルマトゥーラの装甲が軋む。


「がはっ!」


 吹き飛ばされる。

 数十メートル後方に弾き飛ばされ、地面を転がった。


(腕が、……!)


 左半身の感覚が……ない。

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.3.2.1νἀⅲ〉:緊急事態観測


 アルマトゥーラの防御値が相殺されます

 絶対回避推奨

 Lv.178

 HP:12,956/17,800

 MP:12,092/17,800

____________________

 神チートの警告が遅い?!


 魔王の一撃は装甲も越えてダメージを伝えている。


「立て、リョージ。まだ終わらんぞ」

お読みいただきありがとうございます。


お気に召しましたら☆☆☆☆☆、いいね、ブックマーク。いただけると大変嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。