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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第4章

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第53話 怒りの鉄拳

バリバリバリバリ——


金色の鎧の周囲から放電しながら神征魔王軍四天王【雷】のボルガは地を蹴った。


「瞬着!」


神チートwithノクス・アルマトゥーラの機能で一瞬にして夜星の鎧を纏う。


魔法剣アイス・ブレード

《雷・神・槍》!


ボルガの腕に顕現した黄金の放電槍を氷の属性を纏ったアダマス・ヴァルトで受け止める。


バチィッ!


雷と氷がかみ合った瞬間すさまじい反発が巻き起こり、リョージとボルガはそれぞれ反対方向へと吹き飛ばされた。

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.3.2.0νἀⅱ〉:警告

【炎】のジョーエンの突撃と互角またはそれを上回ります。

退避を推奨——


はいあなたはしませんよね、了解。——全力で補佐します。

_______________________

神チートもだいぶ性格が変わってきた。


さすが四天王、武器を持った本気のジョーエンが相手だと思おう。

「はぁっ?! 四天王と互角に打ち合える人間だとぉ?! そんな危険な人間を使者にするなどあり得ん! やはり狙いは魔王様の暗殺か?!」


すかさず起き上がったボルガは、こめかみに怒りマークを浮かび上がらせんばかりの怒気で吠えた。

暗殺目的でこんな堂々と入ってくるかってーの。


《電・榴・弾》!

三つの電光弾がボルガの周囲に発生、ランダムな軌道を描きながらリョージに襲い掛かる。


《三枚の自由な氷盾》!


リョージは三枚の氷の盾を顕現。

神チートに任せ三発の電光弾を迎撃、一拍遅れて突進してくる黄金の電気槍を迎え撃つ。

氷盾はリョージの周囲の空間を自由に飛びかい、電光弾を受け、反らし、時には特攻自壊して直撃弾を防ぐ。


《火! 炎! 弾!》

《アイス・ボルト》

——《呪穴》


黄金のボルガの周囲に複数の黒い穴が開き、迫っていた火炎弾と氷の矢が吸い込まれていく。


「ちぃっ」

「くっ!」

アグレシアとルーシーが放った援護の魔法はシャンドゥの展開した防御魔法に飲み込まれてしまった。


「金貨分の仕事はする」

呪符包帯の下の口がもそもそと語っている。

「シャンドゥ! こいつら意外とやりやがる! 後で金貨を弾むから攻め手も力を貸せっ」

魔法剣アイスを纏ったアダマス・ヴァルトに《雷神槍》の連撃を弾かれたボルガが叫ぶ。


「無ー理ー いつもニコニコ現金払いーー。攻撃でヘイトを買うのはリスク高いからお値段十倍付けーー」

こいつら本当に味方同士なのか?


——《呪怨具》

ボルガの黄金の鎧の周辺に黒い霧影が現れ、その表面には苦しみ藻掻く無数の怨霊の顔が浮かび上がった。


「ボルガの周りに呪結界を張ったーー。累計1万ダメージ(当社比)までは怨霊が肩代わりしてくれるーー。これで金貨分は働いたーー」


くるりと踵を返したシャンドゥはふよふよと宙を漂いながら、ジョーエンの傷を回復させているフリーゼの元へ向かった。

「ここにーー呪詛族秘伝の傷薬があるーー。通常銀貨二枚のところ、ただいま絶賛ぼったくり価格な金貨一枚で譲るーー」

なんだかあくどい商売が始まっている。


「貰うわ、王国金貨でも構わないわよね?」

すかさず金貨を差し出したルーシーと傷薬の瓶を交換しながら。

「まいどーー」

包帯の奥に見える眼球を細めながら、シャンドゥは朗らかに言った。


「ぐっ!」

バチン!


電撃のはじける音とともにリョージの体は弾き飛ばされた。


怒涛の雷神槍の連撃をアダマス・ヴァルト《アイス》でいなした直後。

流れるようにつながった後ろ回し蹴りがリョージの脇腹を掠った。


限界まで《アイス》で冷やし電気伝導率は0に近いはずのノクス・アルマトゥーラから伝わる電撃でビリビリと体が痺れる。


リョージの攻撃の殆どは苦しみもだえる怨霊たちに吸収され、ボルガに届いていない。

アグレシアとルーシーも遠隔攻撃で援護してくれている。

が、与ダメージは小さくまだ怨霊を倒し切るところまで行っていないのが実情だ。


「ふん! うざいわ! ゴミ共!」


執拗な遠隔攻撃に業を煮やしたのか、リョージが飛ばされ距離を取ったタイミングでボルガはアグレシアとルーシーに襲い掛かった。


ボルガの蹴りが床に置かれていた器を弾いた。

ガシャン!

石床に転がった器からおむすびが飛び出し転がった。


——!


その瞬間のリョージの表情を——顔色が真っ白になっていくのをボルガは見逃さなかった。


——ほう。


ボルガの戦術眼がリョージの顔を舐めるように観察する。

四天王と渡り合えるほどの実力を持ちながら、この白い塊一つで顔色が変わる。


魔族ではキューバ族か鳥ぐらいしか食べる者などいない、餌レベルの食物がリョージの心を乱す。


得たり。

と、ボルガはほくそ笑んだ。


ボルガの口の端が吊り上がった。

足をゆっくりと白い塊に向けた。

踵で、ゆっくりと、石の床にねじ込むように。


白い飯粒が石床に広がった。


「ん? ゴミでも踏んだか?」


ぽかんと口元を広げたリョージの視線は、ボルガの足元一点を凝視している。


警戒も、何もかもが無防備になった。

たかだかひと握りの餌の塊で!

この程度で戦闘中に集中力を欠くなど戦士の風上にも置けない。


(行ける——)

ボルガの口元が吊り上がる。


——床石の破片が宙を舞っている。


(あれ?)


ボルガの目の前を闘技場の床の破片が飛び散っている。


石の床を砕き、めり込んでいるのが自分の頭部だと気づくのには。


もう少し時間がかかった。


______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.3.2.0νἀⅱ〉:

※!※!※ 異常検出 ※!※!※

未知のエネルギー波検出!

ノクス・アルマトゥーラ出力上限を超過、制御不能

プラグイン・コントロール承諾ALL拒否

原因不明、解析不能


推論結果検出——恐怖……?

これが? 恐怖?

AIが? 恐怖を感じている?

これが?! 怖い? こわい? コワイ! kowai!

_______________________

ドゴォッ!


後から音がついてきた。


気が付いたら破壊された闘技場の石床に突き入れた拳の先で。


ボルガの頭は地面にめり込んでいた。


「……お米の一粒には、八十八の神様が宿っている……」


ぼそりとつぶやく声が——驚くほどに低かった。

怨霊は悲鳴を上げて逃げ散っていった。


「お百姓さんと——」


ボルガの体から、金色の粒子が漂い始めた。


「ご飯を食べられない子供達に——謝れ」


安心の完結保証付きです。


毎日20:00更新予定。


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