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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第4章

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第47話 夜中に森で……

 セットした神チートアラームで、リョージは目を覚ました。


 最初は交代での睡眠を提案された。

 けれど『敵が近づけば察知できるスキル』があることを伝えた。

 無限収納から引っ張り出した毛布で、二人くるまって寝た。


 夜のとばりが降りる頃。


 短時間の睡眠だったが寝覚めはばっちりだ。

 ゼルカ茶のおかげか。


 どきっ


 ふと見れば。

 頬に体温を感じられる距離。

 ルーシーの薄桃色の唇が緩やかな寝息を立てていた。


 どきどきどき


 いや、さすがにそれはあかんやろ。


 悪魔と天使のせめぎあいに悩む。


「んっ——ぅうん」


 ルーシーも目を覚ましたようだ。

 よかった。


 軽く身支度を整え夜間行軍を開始した。

 ルーシーも《ダークビジョン》は履修済みだ。


 ときおり野生動物たちが二人の気配を感じ取り、暗闇の中を逃げていく。


 数時間ほども進んだころか。


 すん?

 鼻腔にいやな臭いが漂ってきた。


 ルーシーも気が付いたようだ。

 リョージに顔を寄せ小声でつぶやいた。


「近くに死体があるみたいだな」


 そうだ、親戚の爺ちゃんの葬儀の時に嗅いだ臭いだ。

 死を司る独特の臭い。


 ガサッ


 遠くの草むらが音を立てた。


 グゥゥゥ——。


 地の底から響くようなうなり声が、森の闇の中に響く。


「ダレダ、生ケルモノノ、忌々シイ臭イガスル」


 かすれしわがれた声が誰何の声を上げる。

 それに呼応するかのように。


 ガサリ。

 また、ゴソリ。


 森の中のあちらこちらから音が聞こえる。

 そのたびにうなる響きの数が増えていく。


「まずい」


 ルーシーの声が固まっている。


「ここは、死霊の巣だ」


 死霊!

 ゾンビか!


「ウ……ア゛、ア゛、ア゛」


 周囲が怨嗟の声に包まれていく。


「リョージ! 走るぞ、やつらは走れない」


 ルーシーの声に二人は駆け出した。


「イ゛、居ダゾ~~」


 後ろから野太い声が聞こえてくる。


「ヴ、、、オ゛、オ゛、オ゛」


 前のほうからもゾンビどもの声が聞こえてきた。

 こいつら森の至る所にいやがるのか。


「リョージ! こっちだ」


 ルーシーのほうへ走る。


「——! 危ない! ルーシー!」


 正面の大木の幹がぼうっと青白く滲んだ。

 その樹皮の中から、半透明のヒトガタがぬるりと抜け出してくる。


「クケケッ! ケケ——」


 高笑いとともに青白いヒトガタは宙を飛びながら襲い掛かってきた。


「っく! ゴーストかっ」


 振り回されたゴーストの爪を、身を反らして躱す。

 ルーシーは腰の細身の剣を抜いた。


魔法剣ホーリー!」


 剣身を指でなぞる。

 拭い上げるように走った指先の跡から刃に白い光が宿った。


「リョージ! 死霊には聖属性か炎属性の攻撃じゃないと効かない」


 叫びながらゴーストを剣で払う。

 今度はゴーストが身を引いて躱した。


 くっ、ここへきて属性敵かよ。

 森の中で炎系を使うは二次災害がヤバい。


「「「クケケケケ!」」」


 けたたましい叫び声があがる。

 太いの、細いの、ちっちゃいの。

 ゴーストの集団がわらわらと集まってきた。


 神チート! なんとかしろ!

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.3.1.2νἀ〉:対死霊要求受領

 こんなこともあろうかと対抗魔法取得済

《ホーリー・レイ》使用推奨

____________________

 それだ


《ホーリー・レイ》!


 青白きゴーストに向けて手のひらを突き出す。

 空間に浮き上がった白い魔方陣からあふれた光が弾ける。


 拡がった光は瞬時に収束。

 一本の光線となってゴーストの群れを貫いた。


「「「「グギャッ!」」」」


 聖なる光に貫かれたゴースト達は、悲鳴を上げながら地面に落ち、しわしわと消え去っていく。


「すごいな、リョージ。《ホーリー・ライト》の上位魔法か?」

「えーと。多分そう」


 よくわからんが笑ってやり過ごす。


「うらうらうらうらぁあ!」


 いきなりでかい声が聞こえたと思ったら。


「うわぁああ! よけろっルーシー!」


 ボボボボボ——


 唸りを上げて、直径一メートルはあろう火球が飛んで来た!


 あかーん! 何とかして神チート!


 火球が視界いっぱいに膨れ上がる。

 熱風があたりの空気を焦がす。

 やばい、近い。

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.3.1.2νἀ〉:危険事象検知

 緊急対処候補提示

《アイス・シールド》展開推奨→緊急起動します

____________________


 トリガーワード詠唱前に神チートが巨大な氷の盾を空中に出現させた。

 ぱぱらぱ~


 バキィッ


 青白い魔方陣の盾。

 真っ赤な炎の塊を巻き込みながら砕け散る。

 対消滅だ。


「ほほぉ~やってくれるじゃねぇか!」


 でかくがなる女の声。


「ゾンビの親玉かっ」

「んあっ? ゾンビぃ?」


 森の暗闇から赤と青の鎧に身を包んだ猛々しい女戦士が現れた。


 深紅のミディアム髪に濃紺のインナー。

 左目が青右目が赤のオッドアイ。

 額から生える角も青と赤だ。


「なんのことだかわからねぇが、てめぇら人間だな? これ以上魔王城には近寄らせねぇぜ」


 青いガントレットをはめた左手から氷の剣が生え、赤いガントレットの右手から炎の剣が噴出した。


「うおりゃっ!」


 無造作に突っ込んできて炎の剣を叩きつけてきた。


「おおっ?」


 ほとんど反射的にアダマス・ヴァルトを抜き、受ける。


 ガキィッ!


 うおぅっ!

 一瞬刀身がたわんだ?

 自動修復魔方陣が光りクルクルと回転している。

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.3.1.2νἀ〉:警告

 アダマス・ヴァルトの耐久値を超えています。

 追加効果ファイアを相殺するために魔法剣アイスの使用を強く推奨します

____________________


 属性追加効果があるのか。


 見よう見まねでアダマス・ヴァルトに《アイス》の属性を添付してみた。


 それを察知したのか赤と青の娘は、牙のような歯をむき出して嘲笑った。


「判断は早いが、甘いなぁ!」


 ぶんっ


 左手の氷の剣が真横から迫る。


 ガァンッ


 神チートが自動展開した《フォース・シールド》が、かろうじて氷の剣をはじいた。

 赤青娘がそのまま右手の炎の剣で切りかかろうと前へ出ようとしたとき。


「邪魔だァ!!」


 リョージに掴みかかろうとしたゾンビが剣線の内側に入った。


「ギィイイ——」


 虫のような唸り声をあげてゾンビが炎の剣に両断され地面を転がった。


「こらぁ! アグレシア! 吾輩の下僕に何たることを!」


 背後の暗闇からボボオーッと金色の光が立ち上がり。

 その中からぼろぼろの闇色のローブを纏った黄金の骸骨が現れた。

 眼の奥には薄緑の燐光がボーッと瞬いている。


「けっ! ライオネルト! ここいらはアタイのトレーニング場さぁ! こっちの縄張りで出しゃばるな!」

「なっ、何をっ! 小娘が! ここは魔王様に認められた緩衝地! どちらのものでもないわ!」


 あれ?

 なんだこれ?

 仲間割れ?


「お前だって勝手に死霊どもを入れてるじゃねぇか! ジジィ!」

「阿呆か! 小娘。人間共の侵入に備え警戒を怠るなとの通達を聞いていないのか?!」

「通達あったからこうやってアタイがパトロールして手柄首を見つけたんじゃねぇか! 去ねや! ジジィ!」

「なんじゃと?! 先に侵入者を発見したのは吾輩の下僕である! 小娘こそ下がりおろ——!」


《ホーリー・レイ》


 アグレシアの剣戟を受けながら、リョージは黄金どくろジジィ(推定リッチ)のライオネルトに《ホーリー・レイ》をかましたった。


 ギィン!


 甲高い金属音が森に響いた。

 白い光線は、黄金の骸骨の胸元で弾かれていた。

 ライオネルトの前方に、黒く濁った半透明の渦が広がっている。


「人が話しているときに仕掛けるとは躾がなっていないようだな? ニンゲン!」


 少しむっとした口調で苦情を申し立てるリッチ・ライオネルト。


「うるせぇ! 家帰ってクソして寝てろ! 骸骨ジジィ!」


 口が悪すぎるぞアグレシア。


お読みいただきありがとうございます。


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