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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第4章

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第43話 森の番人

木々がなぎ倒され、ミノタウロスは姿を現した。


身の丈三メートル超の巨大な筋肉の塊。

片手に巨大な斧を掲げている。


「グオオオオ!!」

「リョージ! さっさと逃げよう」

「なっ! キューバ族が居れば抜けられるんじゃねぇのか?」

オーガの非難めいた声が聞こえる。

「キューバ族だけなら幻影魔法で切り抜けられるからな、他の奴は知らん。勝手についてきたのはお前だ」

涼しい顔で応えるリリア。辛辣ぅ。


ブォン。

巨大な斧が唸り周囲の木々の枝がバッサリと刈り取られる。

「うひぃいい!」

立派なガタイのオーガがへっぴり腰で逃げ出した。

逃げ出したオーガをミノタウロスが追う。やっぱり逃げるやつを追うのは野生の本能らしい。


《アーズ・トリップ》

「あっ!」

地面がわずかに隆起し、蹴躓いたオーガは。

ザシュッ!

巨大な斧の餌食になった、南無南無。

オーガも鳴かずば討たれまいに。成仏してクレメンス。

映像版ならモザイクものの吹き出す血しぶきをしり目にリリアに伺った。


「幻影魔法を、早く……!」

そんなことを言っている間にミノタウロスはこちらにのしりのしりと向かってくる。

「いや……最初からやってるけど、興奮して無差別攻撃モードになっちゃってて……本能で動いてる奴に幻像が効いていない。それに……」

リリアが顔真っ赤にして目を伏せた。


何という事でしょう!

股間にこれまたモザイク必須なブツがそそり立つ……ご立派。

「……多分私を女だと認識してしまって、発情しちゃってる……こうなったら満足するまで止まらないんだよ! こいつは」

な、なんですとぉ?


「グオオオオ!!」

ミノタウロスの咆哮が森を震わせる。巨大な斧が振り下ろされた。

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.3.0.3νἀ〉:緊急回避推奨

次善:νόξ・ἀρματούρα起動(非推奨)

_______________________

いつかは試さなきゃならなかったんだ。

まだ余裕がある今のタイミングの方が都合いい。


「νόξ・ ἀρματούρα  ἀκτιβάτιο!(ノクス・アルマトゥーラ 起動!)」

スキル言語理解の恩恵。古代魔族語での起動詠唱に黒き闇の奔流がリョージを包み込む。


ガキィン!

おおお!


三メートルの大牛男が渾身で叩きつけた両手斧。

それを右手一本で受け止めた。

手のひらには闇色に輝く魔法陣が出現している。


夜鎧殻やがいかくノクス・アルマトゥーラは、ノルトヴァルト辺境伯に代々伝わっているという古代魔族の鎧なのだそうだ。


使用に莫大な魔力を必要とすることから実質人間には使用不可能。

そのため現代まで封印されて来た。

今回、魔王と相対するリョージに辺境伯が贈ってくれたものだ。

別名、在庫整理とか厄介払いともいうかもしれない。


エレナの記憶によれば古代魔族皇帝の皇子、アウレリウス=ノクス・ヴァル=アザエルが用いた鎧なのだそうな。

ノルトヴァルト辺境伯のご先祖が城の地下から掘り出すまで、数百年ルミナス・ハートの中でこの鎧に包まれたまま眠っていたらしい。

コールドスリープ状態だったってことか。

起動して装着するだけで一五〇〇〇あったMPの半分近くを持っていかれた。

二○倍界○拳こと《オーバードライブ》MAXより燃費は悪そうだ。グダグダはしていられない。


「ふんっ!」


魔法陣で受け止めた大斧の刃を掴み、そのまま横なぎに振り払う。

ミノタウロスの巨体が宙を舞った。あ、軽い。


「グオオッ!?」


三メートル超の筋肉の塊が、まるで木の葉のように吹き飛ばされる。

そのまま激突した巨木はおもちゃのように砕け散り、メキメキと音を立てて森に倒れた。

改めて夜鎧殻ノクス・アルマトゥーラを纏ったリョージは自分の手足を眺めた。


全身を覆う闇色の外骨格はどこぞの変身ヒーローのようだ。

色から言うと悪役側だけど。


「グルルル……!」

ミノタウロスが立ち上がる。さすがに一撃では倒れないか。

そう来なくちゃ。

「来いや、ミノ太郎。相手してやる」

くいくいと挑発するように手招きすると、ミノタウロスは咆哮を上げて突進してきた。


「グオオオオ!!」

再び巨大な斧が唸りを上げて振り下ろされる。

遅いし、軌道がさっきと同じだぞ?

ノクス・ビジョン(命名リョージ)を通したリョージの目には、その動きがスローモーションのように見える。


右に一歩踏み込み、斧の軌道から外れる。風圧が頬を撫でた。見切りも完璧。


「はっ!」


ミノタウロスの懐に潜り込み、魔法陣が浮かぶ左拳を腹部に叩き込む。


ドゴォッ!


「グゲッ!?」

衝撃波で周囲の空間が一瞬歪む、ミノタウロスの身体が「く」の字に折れ曲がった。

追撃。右の掌底を顎に打ち上げる。


ガキィン!


闇色の魔法陣が閃光を放ち、ミノタウロスの巨体が浮き上がる。


しゃらららん!

腰に下げたアダマス・ヴァルトを引き抜く。

「Ἀδάμας Βάλτ – Νόξ Ἀρματούρα Ἰμπέτους(アダマス・ヴァルト ― ノクス・アルマトゥーラ・インペトゥス)」


古代魔族語の詠唱と共に、アダマス・ヴァルトの銀色の刃に漆黒の闇色が滲むように染まっていく。

浮き上がったミノタウロスの巨体を闇の刃が真横に一閃。


「Νόξ Ἀρματούρα Κατακλυσμός( ノクス・アルマトゥーラ・カタクリュスムス)」


新品のカッターでA4コピー紙を横薙ぎに切り裂いたような感触。

海外力士のようなど太い身体が、上下真っ二つに分かれ地面に崩れ落ちた。

ごっつあんです。


ズシン、ズシンと二度、大地が揺れた。

「……」


あまりにもあっけない勝利に、リョージは沈黙するしかなかった。

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.3.0.xνἀ〉:※※※ 警告緊急再起動推奨 ※※※

結果:ミノタウロス(Lv.180)撃破

経験値:180,000獲得

レベルアップ:Lv.140 → Lv.142

HP:14,000/14,000 → 14,200/14,200

MP:14,000/14,000 → 14,200/14,200


※νόξ・ἀρματούραによるファイル破損

※再起動が必要です(推定5分)

○今すぐ再起動する

○再起動スケジュール

(セキュリティパッチ〈KB25340062〉〈20876.228〉)

_______________________

その代償はこれだ。

強力な代わりに神チートスキルの一部に干渉してしまうらしい。


バージョンを上げれば抑え込めると神チートAIは判断しているけれど。

そのたびに一度全システムを再起動しないとならないらしく、使いどころに気を遣う。

恐るべし、古代魔族の技術。


間違えて肝心なところで詰まないようにしないとならない。

「さすがに声が出ないね……」

リリアも絶句から解放されたみたいだ。


通常ならミノタウロスを撃破するのには、魔族でも軍隊をもってするそうな。

森の守護者を倒してしまって少しヤバミかなとも思った。けれどサキュバス族の中でも数年に一人ほど、ミノ太郎に襲われて亡くなっている方がいるんだそうだ。


だからプラスマイナスで言うとややプラスなんだとか。

よし、気にしないことに決めた。


そのままリョージは迷いの森を進む、リリアさんのプリプリしたお尻を眺めながら。でへ。

昨夜も楽しかったけれど今夜も楽しみ……でなくて魔力補給頑張らねば。


◇◆◇


「もう少しだよ」

リリアの声にリョージが目線を上げれば、なんだか森の木々の間隔がまばらになってきたような気がする。

木の切り株も目立ってきた、魔族が住んでいるところが近いのだろう。


程なくして森の向こうに、木造の建物がいくつか見えて来た。

どことなくグリーンフィールド村を思い出させるが、キューバスの村なのだそうだ。

森を抜けるとすぐに何人かの女村人と出会った。

当然サキュバスなのだろうが、こちらに気が付くと慌てて駆け寄ってきた。

「リリア! なぜこんなところに帰ってきた! 早く戻れ!」


二人のサキュバスは慌てたように声を殺して言う。二人ともリリアに負けず劣らず超美人だ。

「母様が閉じ込められていると聞きました、助けに来たのです」

リリアが二人に話していると。

「そこの貴様らぁ! 何者だ! 動くな!」

男の——多分はインキュバスの声が響いた。

安心の完結保証付きです。


毎日20:00更新予定。


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