第40話 臨界突破
チート様の声が響いた。
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2x〉:敵の能力値異常上昇を検知
ルミナス・ハート起動による魔族強化を確認
強制介入プログラム《デウス・エクス・マキナ》——ユーザーの封印により発動不可
※※※ 緊急アップデート ※※※
代替措置 《オーバードライブ》:魔力消費により身体能力を一時的に向上
消費MP:100/秒
実行します
MP:10,700 / 10,700
《オーバードライブ》稼働開始
稼働可能時間:107秒
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身体が軽くなった。これぐらいのズルは許してくれよイグナート。
視界がクリアになり、グラドの動きが見える。動体視力まで上がった。
魂のクロック周波数が跳ね上がった感じだ。
次の竜爪撃を躱し、懐に踏み込む。
アダマス・ヴァルトを横なぎに振るう。
手応え!
グラドの脇腹に深い傷が走った。
「ぐあっ!」
グラドが後退する。
だが、傷から流れる血が少ない。
再生しているのか。
どくり……どくり……どくり……
ルミナス・ハートの脈動がさらに速くなる。
赤い光が地下室全体を染め始めた。
グラドの傷が逆再生動画のように、みるみる塞がっていく。
「ハハハハハ! 素晴らしい! ルミナス・ハートが我に力を与え続ける限り、貴様ごときに負ける私ではない! アシュレイ様! 我にもっと、もっと力をお与えください!」
ぼごり――
アシュレイから放たれる禍々しきオーラの放出に呼応して、グラドの身体がメキメキと音を立て一回り大きくなった。
鱗がより硬質に変化し、筋肉が盛り上がる。
爪や背中のヒレが鋭く長く伸びる。
(まずいな……このままじゃキリがない)
リョージはアシュレイを睨んだ。
アシュレイもルミナス・ハートに両手を当てたまま、オーラを噴き上げている。
地脈の力を吸い上げ、それを魔力としてさらに注ぎ込んでいるのか。
「もっと……もっとだ! ルミナス・ハート! 我に力を与えたまえ!」
アシュレイの声が響く。
ルミナス・ハートの赤光が、さらに強烈になった。
「ふははははははははははっ!」
大仰に笑うグラドの身体から、さらに強大なオーラが噴き出す。やばい、このままじゃジリ貧になる――
「う゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!」
グラドが咆哮を上げた。まるで本物のドラゴンだ!
その声だけで、地下室の空気が震える。
リョージに向かって無防備で特攻を仕掛けてきた!
速度は、さっきの倍以上?! ま、間に合わない!
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2x〉:※※※ 緊急警告 ※※※
敵対存在急接近
種別:竜魔族
危険:防御被膜突破の可能性大!
推奨:絶対回避→A・↓↑←XYB
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防御被膜突破?! もしかして痛い? 死ぬ? 聞いてないよ!
ギュン! ギュンギュギュン!
チート様の警告で軌道を読み、紙一重で躱す。
耳元を数条の豪風が駆け抜ける。
グラドの巨体がリョージの横を通り過ぎ、壁に激突した。
ドゴン!
ダンプが激突したかのような地響きを上げ、石壁が砕け跳ぶ。
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2x〉:カウントダウン
MP:10,700 → 8,648
稼働可能時間:87秒
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2xx〉:※※※ 緊急警告 ※※※
敵能力値、さらなる上昇を検知
こちらも対応レベルを引き上げます
《オーバードライブ》出力上昇
消費MP:200/秒
稼働可能時間:44秒
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リョージの身体にさらなる力が漲る。きたぜ!三倍○王拳!
グラドが瓦礫の中から立ち上がり、再び襲いかかってくる。
グワギィイン!!
今度は受け止めた。
剣と爪とが激突し、猛烈な火花が散る。
バキリと床石が砕け足首まで埋まった。
アダマス・ヴァルトの魔法陣全開! 剣身に自動修復が走る。やばい、MP吸われるぅーー。
互角。
いや、少しずつリョージが押し始めている。
「馬鹿な……!」
グラドの目に焦りが浮かぶ。
「アシュレイ様! もっと! もっともっと力を! この一戦に次代魔王の座がかかっております!」
「わ……わかって、……いる……」
アシュレイの声が掠れていた。
どくんっ! どくんっ! どくんっ!
空間の脈動が異常な速さに加速していく。
赤い光が脈打つたびに、地下室全体が震え、軋む。
天井からハラハラとホコリが降り注ぐ。
グラドの身体が、さらに巨大化し本物のドラゴンのように変形していく。
くそっ! フ○ーザ様第三形態かよっ!
三メートルを超える巨竜!
「ウ゛コ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」
グラド・ドラゴンのさらなる咆哮。いちいちうるさい!
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2xx〉:カウントダウン
MP:6,176 → 4,278
稼働可能時間:22秒
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——勝てないかもしれない。
そんな弱気が脳裏を過った時——
「リョージぃぃぃ!!」
「負けないでぇぇぇぇ!!」
エレナとリリア、嫁ちゃんたちからの黄色い歓声ンン!
『負けたら村に入れないよぉぉ!』
『無事に帰ってこないと報酬出ませんよ!』
『ぐぉらぁ! クリムゾンドラコ10本奢らせっぞ!』
なんか空耳で声援が聞こえた気がしたぁ!
ふぉおおおおおおおお!
————キィィィタァアアアアアアアア!
ミナギるぅぅぅぅう!
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2※あ・%〉:※※※ 緊急kei——……※※※
《オーバードライブ》臨界突破!
消費MP:∞/秒
稼働可能時間:くぁwせdrftgyふじこlp
※注意! プログラムファイル損傷! 行動終了後《神チート》強制停止します!
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神チート緊急停止?!
――上等! 死んでやらぁ! カモン! 界○拳×二○倍!
反射的にリョージの身体は動いた。
極限まで身体を縮めたクラウチング・スタートから――ヨーイ!
ズドンッ!!!
リョージはアダマス・ヴァルトを弾頭としたミサイルとなった。
一閃。
グラドの右腕が肩から切断され、宙を舞った。
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2♨・$〉:【災厄の竜殺し】発動
効果:竜属性敵に特殊効果(防御力無視)
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「ぐぎゃああああああ!」
グラドが悲鳴を上げる。
だが、すぐに傷口から再生が始まる。
脊髄反射な追撃発動。
脇下から切り上げ左腕を切断。
そのまま、大上段から脳天唐竹割に神速の刃を叩きつけた。
剣先が大地を穿つ。
一拍の間を置いて。
中心からずるりとグラドの巨体がずれた。
どしゃり、と床に倒れ込んだ。
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2&・あ〉:カウントダウン
MP:?,?81 → ?,?42
推定稼働時間:約ⅻ秒?
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「ぐ……う……」
まだ再生しようとしている?!
あかん、しつこすぎる。私のMPのHPはもうゼロよ!!
「――ぅん?」
ルミナス・ハートの光が、不規則な明滅を繰り返し始めていた。
どっ! っどど どっ! どくん!どうどど! どどど――
びくん……びくん……
鼓動が不安定になっている。
不整脈や! 心室細動か?! あなた! AEDを持ってきてください!
「グ……ゾ……」
アシュレイの呻き声が聞こえた。
どしゃり……
魔界公爵子の姿はその場に崩れ落ちた。
両手が、ルミナス・ハートから離れ。
ルミナス・ハートの赤い点滅が急速に弱まっていく。
どくり……どくり……
脈動が元のリズムに戻り始めた。
グラドの再生が完全に止まる。
再生したはずの傷が再び開いた。
「ア゛……ア゛ア゛……」
うめき声も止まり、その身体が、みるみる縮んでいく。
そして――元の姿に戻り、息絶えた。
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【スキル発動】
神チート〈ver.2.0.2€ξ・c〉:カウントダウン
MP:?38 → ?38
推定稼働時間:約θ秒?
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リョージはアシュレイの元に駆け寄った。
青い顔の魔貴族は床に倒れたまま、虚ろな目で天井を見上げている。
「ヴっ……」
若々しく力強かった体は老人のように痩せ細り、髪は白くまばらになっていた。
「ま……さか……」
掠れた声。
「こんな……はず、では……」
リョージは剣を構えた。
「終わりだ、アシュレイ」
「く……」
老人のようなアシュレイの顔がゆがむ。
笑おうとしたのか?
でも顔の筋肉は醜く引き攣るのみ。
「私はぁ……次代の……魔王にぃ……」
その言葉を最後に、アシュレイは力尽きた。
身体は黒い粒子になって崩れていく。
風が吹いたわけでもないのに、粒子は音もなく消え去っていく。
そして――何も残らなかった。
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【スキル発動】
神チート〈ver./ⅲ/./0110......:※※※ 緊急停止 ※※※
《オーバードライブ》停止
MP:※A / 14,20---////////
グラdo(竜魔族・Lv//80)※特殊変異体
アシュ0... 魔族・Lv.450)※特殊変異体
経験値:壱&kome参〇〇zer0獲得
〇レベルアップ
Lv.107 → Lv.140
HP:1,706/10,700 → 14,000/14,000
MP:28/10,700 → 14,000/14,000
〇スキル獲得
《竜鱗鎧》:竜の鱗と同等の防御力を取得
《魔力増幅》:魔法の威力を増幅させMP消費を半減する
〇称号獲得
【災厄の竜殺し】→【竜族無双】:竜族の敵に対して無双効果
【魔樹殺し】【魔狼殺し】→【魔族特効】:魔族全体に対して特別効果
【守護者】【街の英雄】→【ノクトヴァルトの英雄】:ノクトヴァルト住民の好感度アップ
!警告!※※※ 全機能停止中 ※※※!警告!
推定復旧時間:36,000秒
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どくり……どくり……
ルミナス・ハートの脈動が、穏やかに響いている。
「……終わった」
リョージは剣を下ろし。その場で倒れ伏した。
安心の完結保証付きです。
毎日20:00更新予定。
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