表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/63

第38話 エレナのためにエンヤコラ

領都城に着いたリョージは、すぐに衛兵隊隊長のダリウスに声をかけた。


「城の地下を掘る。協力してくれ」

「は……?」

ダリウスが目を丸くした。周囲に集まってきた兵士たちもざわめいている。

「正気ですか!?」

「そうだ」


リョージは懐からルートヴィヒの命令書を取り出した。

「ルートヴィヒの命令書だ。エレナが城の地下深くに転送された。今すぐ救出する」

ダリウスは命令書を受け取り、署名を確認した。

「なるほど、たしかにルートヴィヒ様のご署名に間違いなかろう……」

だが、彼の表情は硬いままだった。


「……しかし、魔王軍が押し寄せてきているこの時期に、城郭の基礎を壊すなどという重大な判断を……」

周囲の兵士たちも動揺している。命令書の内容を理解しても、実行には躊躇があるのが当たり前だろう。しかし――。


リリアが小さく息をついた。

「地下の様子がどうなっているのか分かりません、なるべく急いだ方が……」

「分かっている」

リョージは苛立ちを抑えて、ダリウスと向き合った。


その時、城の方から声がかかった。

「――待て」

振り返ると、二人の兵士に肩を借りながらカイルが現れた。

目の下に隈があり、顔色も悪い。立っているのもやっとという様子だ。

「カイザール様……まだお身体が……」

ダリウスが驚きの声を上げる。


カイルは兵士に支えられながらも、中庭の中央まで歩いてきた。

「こんな時にゆったりと療養などしておられんよ」

笑いながらダリウスに語り掛けたカイルはリョージに向き直る。


「リョージ殿……貴殿が帰還したと聞き、いてもたってもいられず恥顔をさらしに参りました、兄上から何か言付かって――」

渡りに船だ。エレナとの人質交換後、療養のために領都城へ移送されていたカイルが——辺境伯代行が来てくれた。


「カイル殿、これを……」

ルートヴィヒの命令書を手渡す。

一通り目を通したカイルは一度眉を顰めた後、リョージの目を見て軽く微笑んだ。

「姉上の危機とあらば、愚弟の取る道は一つしかありません。ダリウス」

「はっ」

「辺境伯代行権限を持って命令する――」

淡々とした声だった。


「リョージ殿の行動を全面的に支援せよ。城の損壊も已む無しとする。責任はすべて私が取る」

――なんだか、最初に会った時に比べたら存在感が段違いだ。

覚悟が決まった男の顔だ。男子三日合わざれば刮目して見るべし。だな。


ダリウスが息を呑んだ。リョージの目には不詳の息子の更生に目を潤ます好々爺の表情に見えた。

一瞬逡巡したものの、やがて深く頭を下げた。

「……承知いたしました」

周囲の兵士たちも、迷いなくダリウスに従う。


カイルは静かにリョージを見て答えた。

「姉上を、頼みます」

目に透明な滴が盛り上がる。

あーあ、為政者が兵たちの前で涙はあかんやろ。

でも嫌いじゃないぞ。


ダリウスも兵士たちも、頼もしくなった辺境伯家次男坊への感慨を隠せないみたいだ。

「まかせろ」

リョージは頷いた。


(チート様、エレナを助けるための最善手は? 速度最優先でよろ)

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.2.0.2〉推奨:魔法取得

 《アース・ブレイク》

効果:土属性への攻撃魔法

推奨:《アダマス・ヴァルト》に付与し石材を切断破壊。

_______________________

了解!

リョージは《アダマス・ヴァルト》を抜いた。

《アース・ブレイク》!

剣が淡い土色の光を纏う。

リョージは中庭の石畳の中心に剣を突き立てた。

まるでバターでも切り裂くように石畳が滑らかに切断されていく。

「なんと……」

ダリウスが呻いた。



リョージは縦横に剣を動かし、人ひとりが通れるくらいの四角い通路穴を切り出した。

「……えーと……そうだ!」

背に腹は代えられない、切り出した角岩を無限収納に放り込むことにした。

リリアが何か"スン"ってなっていた。


少し横へずらして再び四角く通路を切る。地下へ降りる回廊をらせん階段を下りる様に一段一段と切り出していく。


チート様の表示が現れた。

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.2.0.2〉※※※ 警告 ※※※

このまま掘削すると、周囲の土砂が崩落する可能性があります。

推奨:土魔法アース・フォーティファイによる壁面硬化

_______________________

「壁面を固める魔法?」

_______________________

【スキル発動】

神チート〈ver.2.0.2〉魔法取得

《アース・フォーティファイ》

効果:土や砂を硬化させ、岩盤並みの強度を付与する。掘削した壁面への連続使用を推奨。

対象に手をかざし、魔力を流し込むことにより発動。

_______________________

おお、これで城を壊さずに掘り進むことができる。


《アース・フォーティファイ》


使ってみたら土の表面がガラスの様に硬くなっていた。

「なるほど、この術式ならば私も使えます」

リリアが硬化した壁面に触れ、感触を確かめるように言った。

さすがキューバ族、魔法適性が半端ない。

「魔力が足りなくなったら……補給、お願いしますね♡」

おおい、♡が怖いって。サキュバスの魔力補給と言えば……こほん、早く下に掘り進まないと。


リリアがリョージの背後で壁面に手をかざす。

土や砂が岩のように硬化していく。

しばらく掘り進めると周囲はすぐに闇に包まれた。

《ダークビジョン》で視界を確保する。

剣を振るい、岩を割り、少しずつ降りていく。

汗が流れる。MPは問題ないが、物理的な作業量が尋常じゃない。

それでも、手を止めるわけにはいかない。


たまにエレナの呼吸音を確認する。まだ気を失っているみたいだ。むしろ目覚めてしまい早まった判断をしてしまうよりはずっといい。

途中踊り場的な場所を広く作って、以前屋台で買った串焼きやらホットドッグ的スナックを無限収納から取り出して齧りながら空腹を癒す。

時にリリアの魔力を補給して……ごほん、エレナを救うためには必要なことなんだからねっ。けっしてやましい気持ちだけじゃないんだからねっ。


何時間経ったろうか。

剣の先端が、何かに当たった。

土や砂とは違う感触だ。

慎重に周囲を掘り返していくと、石で組まれた壁が出てきた。

リョージは壁面に剣を当て、切り込みを入れ、人が通れるほどの穴を開ける。

穴の向こうに、らせん状に階段が続いていた。


「おそらく、ルミナス・ハートへの通路でしょう。アウレリウス様が地上に出たときに使われたのかも」

二人でらせん階段を下りていくと底の方から蒼白い光が見えてきた。


薄暗い青白い光に包まれただだっ広い空間に出た。

中央に、心臓の形をした巨大な魔導装置が浮かんでいる。


心臓の高さは三メートルほど。

表面には無数の魔法陣が刻まれ、淡く明滅を繰り返している。


どくり……どくり……


規則正しいリズムで、装置全体が収縮と拡張を繰り返していた。

本物の心臓のように、脈打っている。


「これは……遺跡の魔法陣と同じ様式ですね」

リリアが壁に手を触れながら呟いた。


部屋の内壁は精緻な文様を刻んだ石なのか陶器なのか分からない未知の材質で組まれている。たしか遺跡の壁面も同じ材質で作られていた。

慎重に部屋の中心の魔導装置へと向かう。


「これが……ルミナス・ハート……」

心臓型の魔導装置の前でリリアが呟いた。

そして、その装置の中心――。

半透明なカプセルの中に、金色の髪を広げたエレナの姿が見えた。


目を閉じ、まるで眠っているように浮かんでいる。

「エレナ……」

リョージはエレナを包む透明な薄膜に手を伸ばした。柔らかい。

そのまま手を押していくと、僅かな反発の後にすぽっと中に入った。


「おお……」


リョージは両手を突っ込み、エレナの身体を掴んだ。

ゆっくりと引き寄せる。

エレナの身体がカプセルの中から現れ、リョージの腕の中に収まった。

吐息が頬にかかる。

リョージはエレナを抱きしめた。

温かい。

「……よかった」

安心の完結保証付きです。


毎日20:00更新予定。


お気に召しましたら★★★★★、いいね、ブックマーク。いただけると大変嬉しがります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ