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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第2章

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第23話 魔人死すべし

 リョージは――深く、息を吸った。


 巨大なホールに、ダイアウルフが103体。

 全てがリョージを睨んでいる。


 ——これが俺の牙だ。

 貴様一人で、これを相手にできるか?


「できる」


 リョージは双剣を構えた。


「来い」


 ダイアウルフたちが一斉に飛びかかってきた。


 最初の一体がリョージの喉元を狙って跳躍する。

 ダイアウルフの牙が、リョージのいた空間を噛み砕く。

 次の二体が左右から挟み撃ち。


 ガキン!


 爪を左剣で受け流し。

 右の剣で斬りつける。

 ダイアウルフが悲鳴を上げて倒れる。


 剣で戦うには――いや、単純に数が多すぎる。

 次のダイアウルフが飛びかかってくる。


 リョージは後退しながらクルクルと舞い、剣を振るう。

 一体、また一体と血しぶきをあげ倒れていく。

 きりがない。


 この後、魔族と戦わなければならない。

 ここで時間をかけるわけにはいかない。


 四方八方から、ダイアウルフの牙と爪が迫る。


 仕方ない。


 神チート! 広範囲全滅魔法!


____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.0.5.5β〉:推奨、獄炎魔法インフェルノ・ノヴァ

 効果:地獄の炎を召喚し広範囲を焼き尽くす。

 消費MP:8000


 最適魔法発動します


 ※アップデートの準備ができました。今すぐアップデートしますか?(Y/N)

____________________


《インフェルノ・ノヴァ》!


 リョージの身体を中心に、赤光に輝く魔法陣が出現した。

 ホール全体に灼熱の地獄が爆散した。


 ダイアウルフたちは、焼け焦げた毛の臭いだけを残した。

 鳴声すら上げる間もなく、百を超える魔獣が灰になったのだ。


 あまりの威力にリョージは唖然とした。


 この魔法は威力がありすぎる。

 狭い場所で使えば周囲まで巻き込む。

____________________

【スキル発動完了】

 神チート〈ver.0.5.5β〉:魔物殲滅完了

 結果:ダイアウルフ103体撃破

 獲得経験値:30,600

 レベルアップ:Lv.85 → Lv.89

 HP:8,500/8,500 → 8,900/8,900

 MP:216/8,500 → 8,900/8,900


 ※アップデートの準備ができました。今すぐアップデートしますか?(Y/N)

____________________


 レベルアップで全回復する仕様で助かった。


 まだ灼熱の空気が漂うホールを突っ切り。

 リョージは魔族の男を追いかけた。


 次の部屋に魔族の男が立っていた。


 男は――もう、笑っていなかった。

 その目は、赤く光っていた。


「貴様、よくも――」


 魔族の声が低く響く。


「貴様は何者だ」

「通りすがりの冒険者だ」

「ふざけるな!」


 怒号と共に魔族の身体が、膨れ上がった。

 服が破れ、全身から黒い毛が伸びる。

 爪が伸び、牙が生える。


 その姿は――


 黒い巨大な狼の姿に変わった。

 いや、狼というより、人と狼の中間。


 人狼だ。


 身長は三メートルを超え、筋肉が隆起している。

 鋭い爪、牙。

 赤く光る目が鋭くリョージを睨む。

 ダイアウルフの群れを従えられた理由は、これか!


「血祭りにしてやる」


 人狼が笑う。


「だが、その前に――」


 人狼が後ろへ跳躍した。


 その背後には、檻がある部屋。

 中に、ザーラとサラが縛られている。

 二人とも猿ぐつわをされ、衣服が破れている。


 リョージは静かに呟いた。


「来い」


 人狼が檻の前に立つ。


 人質か。

 魔族ってのはずいぶんと用心深いんだな。


 リョージは双剣を構えた。

 人狼が地面を蹴った。


 岩の床が砕け、爆音と共に巨体が突進してくる。

 爪がリョージのいた空間を切り裂く。

 風圧で頬が痛い。


 人狼の赤い目がリョージを追う。

 再び跳躍。

 上から。


 リョージは地を転がり、すぐに立ち上がる。

 人狼の拳が地面に叩きつけられ、岩盤に大きな亀裂が走る。


 チート様、魔法は使えるか?

____________________

【回答】

 神チート〈ver.0.5.5β〉:単発魔法は照準捕捉困難。

 対象の移動速度が詠唱完了時の予測範囲を超過。

 命中率:12%


 ※アップデートの準備ができました。今すぐアップデートしますか?(Y/N)

____________________

 範囲魔法は?

____________________

【回答】

 神チート〈ver.0.5.5β〉:範囲魔法使用可能。

 ただし、後方15メートル以内に友好関係者を検知。

 巻き込み確率:34%

 推奨:使用見送り


 ※アップデートの準備ができました。今すぐアップデートしますか?(Y/N)

____________________


 くそっ、やっぱり剣で戦うしかないか。


 人狼は再び突進。


「貴様」


 人狼の声が低く響く。


「よくも、俺の真の仲間を殺してくれたな」

「……」

「103頭、全て、俺の掛け替えのない仲間だった」


 人狼の目が赤く光る。


「人間どもは駒だ。使い捨てのゴミだ。だが、ウルフたちは違う」


 人狼の声が震える。


「俺が子供の頃から共に生きてきた、家族だった」


 人狼は咆哮した。


「貴様を殺す! 八つ裂きにして、奴らの墓前に捧げてやる!」


 リョージは黙って剣を構えた。


「貴様の死ももう意味はないがな!」


 人狼が笑った。


「我の使命はすでに達成された」


 笑いながら、人狼が地面を蹴った。

 隙を突いた突進。爪がリョージに迫る。


 速い!


 リョージは剣で受けようとしたが、間に合わない。


「くっ……!」

____________________

【スキル発動】

 神チート〈ver.0.5.5β〉:致命傷を検知。防御を実行します。

 結果:ダメージ軽減

 HP:8,600 →7,828


 ※アップデートの準備ができました。今すぐアップデートしますか?(Y/N)

____________________


 服が裂ける。

 だが、HPは減ったが傷はない。


「こういう仕様、か――」


「なに?」

「貴様、今の一撃を……!」


 人狼の目が信じられないという表情になる。


「馬鹿な、俺の爪が、届いていない……?」


 人狼が憤る。


「ふざけるな!」


 爪! 爪! 爪!!


 リョージは双剣で必死に受ける。


 ガキン、ガキン、ガキン。


 だが、人狼の速度が速すぎる。


 何発か食らい、HPは無常に減っていく。

 攻撃が激しい。

 だが、リョージも負けられない。

 人狼背後の檻にちらりと視線を投げる。


 ——絶対に負けん!


 息もつかせぬ攻防は永遠かと思われた。


 そして、とうとう――


《インフェルノ・ノヴァ》単発マシマシ!



 位置は確認した。

 今、ザーラやサラはリョージの後ろだ。

 何度も攻撃を受けて位置をずらしてやったからな。

 攻めに夢中になって背後の盾から離れたお前の負けだ。


 灼熱の地獄炎柱が爆発的に立ち昇る。

 広範囲魔法を無理やりに絞った上にドンドコスコスコ魔力注入!

 地獄から吹きあがる炎柱は人狼だけを包み込む。


「ぐあああああああっ!」


 人狼は地獄の炎に包まれた。


「ば……馬鹿な……」


 全身が焼け焦げた人狼は、信じられないという表情でリョージを見あげていた。


「俺が……人間ごときに……負ける……?」

「……」

「そんな……はずが……」


 人狼の目が焦点を失っていく。


「だが……魔王軍は……もうルミナス・ゲートに——手遅れだ、ニンゲン」


 息絶える瞬間、人狼の口元に浮かんでいたのは勝利の笑みだった。

 ムカツク。


 リョージは檻へ走った。

 檻の鍵を《アイスボルト》で破壊し、中へ入る。


 サラは気を失っている。

 まず、意識のあるザーラの猿ぐつわを外した。


「すまない、俺のせいでひどい目に合わせてしまった」


 ザーラの目には涙が溜まっていた。

 リョージの胸に顔を埋めるザーラ。


「怖かったよぉ……本当に怖かったぁ……」

「もう大丈夫だ」


 リョージはザーラの背中に手を回し——

お読みいただきありがとうございます。


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