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【完結】異世界転生したんだが神から貰った最強スキル【神チート】がクソ仕様  作者: Darjack
第1章

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第2話 グリーン・フィールド村

「そこの男! 止まれっ」


 ところどころに露出している、崩れかけた岩の向こう側。

 凛々しく叫ぶ女性の声が響いた。


 第一村人発見である。


「えーと、旅行者です。怪しい者じゃありません」


 手を上げて怪しさ全開で言ってみた。

 他に言いようがあったら教えてもらいたい。


「手を頭の上に乗せて、その場で回れ、背後に何か隠していないか見せろ!」


 岩陰から、ボウガンを構えた若い女性が半身を見せた。

 その後ろの少し離れた草むらから、ボウガンを構えた青年が姿を現している。


 ゆっくりと近づいてきたのは——。


 栗色の髪を三つ編みにした、可愛らしい顔立ちの少女。

 大きな瞳がキラキラと輝いている。

 年は十七、八歳ぐらいだろうか。


「持っているものを調べる。変な動きを見せたら後ろのボウガンがお前を撃つ」


 少女がリョージの体をあちこち叩いて、何か隠し持っていないかを探る。

 青年は、ボウガンを構えたままじっとこちらを睨んでいた。


「旅人の割には軽装だな。東の村からここまで三日はかかる、水も食料も持っていないのか?」


 とりあえず適当に話を合わせておこう。

 転生した――なんて言って火あぶりはごめんだ。


「えーと、荷物は……この先でドラゴンに襲われて落とした」

「「ドラゴン?!」」


 少女も、少し離れた位置にいた青年も、一瞬にして顔が険しくなった。


 やば、過剰反応だ。

 ドラゴンは言いすぎたか?


「そ、それで。ドラゴンはどっちに行った!」


 青年は噛みつくように叫んだ。

 ボウガンは二挺とも明後日の方を向いている。


「えーと、あっちの方へ逃げて行った……かな」


 ワンパンで粉々になりました。

 なんて言えない。

 リョージは自分が歩いて来た方向を指さした。


「そのドラゴン、どんな奴だった?」


 少女がジトっとした目つきで聞いてきた。

 さすがに嘘くさいかな?


「黒いやつだ、そうだな体長は二十メートルくらい」

「間違いない、《災厄のドラゴン》だ!」


 青年が食い気味に言った。


「《災厄のドラゴン》に襲われて逃げきった? 一人で見つかれば、大概は食われるのに」


 少女は疑心暗鬼を隠さない。


「落とした荷物に干し肉がたくさん入ってたんだ。それを食べて満足したのかも」


 ペロッと嘘をついてみた。

 少女はまだ訝しげな表情を崩していなかった。

 しかし、青年の方は納得したのか、表情を緩めボウガンを下ろした。


「運が良かったな」


 片手を差し出しながら青年は名乗った。


「俺はグリーン・フィールド村のペータ。こっちは妹のリナだ」


 手を握り返す。

 よかった。

 握手で。


「俺はリョージ、ニホン——遠いところから来た。道に迷って困ってた、村で水を貰えたらありがたい」

「わかった。武器もないし、困っている者を見捨てる訳にはいかない。ついてこい」


 ペータはボウガンを肩に担ぎ歩き出した。


 後ろについたリナは、まだ少し疑わしそうにリョージを見ている。


 髪が日差しを透かし、金色に輝いていた。


「本当に、ドラゴンから逃げられたの?」

「運が良かったんだと思う。隠れるのにちょうどいい岩場もあったし」


 道中の風景を思い出しながら言い繕ってみた。

 決定的なポカにはなっていないはずだ。


「……そう」


 リナは、まだ納得していないような様子だった。


「許してやってくれリョージ。リナの幼馴染は先月、ドラゴンに——」


 いきなりな話ぶっ込んでくるな。


「やめて! ペータ」


 怒ったような泣いているような声が、背後から聞こえてきた。


「……そうか。なんか、すまん」


 なんとなく、謝らないといけない気持ちになったので謝ってみた。


「もう、終わった事だから」


 何かをこらえるようなリナの声に、胸が締め付けられた。




 二十分ほど歩くと、柵に囲まれた家々が見えてきた。


「リョージ。グリーン・フィールド村へようこそ」


 振り向いたペータがおどけたポーズをとった。


 小さな村だ。

 家は数十軒ほど。

 畑が広がり、井戸があって、中央には小さな広場がある。


 一見してのどかな風景だ。

 広場に設置された巨大な弩を除けば。


 ペータとリナに挟まれる形で村に入る。

 村人たちが集まってきた。


「ペータ、リナ、爆発音の正体は判ったのか?」


 マッチョなおっさんはリョージにいぶかしげな視線を向けながら、二人に話しかけた。

 さすがにあの爆発音は村まで響いたか。


「崩れ岩のところまで行ったけど判らなかったよ、ダンさん。こっちのリョージがドラゴンから逃げ切った、東の方へ飛んで行ったってさ」


「俺の落とした干し肉を食べて満足したのかもしれない」


 ペータの話に割り込んで補足した。


「爆発音もなにかドラゴンがらみだと思うけど」


 おお、ペータ正解。


 一通りペータの推測を聞いていたダンと呼ばれたおっさん。

 とりあえずは納得したのか、リョージの方に視線を向けた。


「ところでその男は?」


 どーも、通りすがりの神チート使い(チーター)です。


「彼はリョージ。ニホンていう遠いところから来た旅人だ。災厄のドラゴンから逃げきったラッキーマンだよ」


 なんか雑に紹介された。


「ドラゴンから逃げるときに荷物を全部なくした、できたら村でしばらく働いて装備を整えたいんだが」


 うん、自然な流れだよな。

 手ぶらの言い訳にもなるし。


「《災厄のドラゴン》から逃げきったのか!?」

「信じられん」

「本当なのか?」


 ダンさんの後ろに集まってきていた村人たちが、熱い視線でリョージを見る。

 うーん、暑苦しい。


「運が良かったんだな、生きてることに感謝してるよ」


「そうか、それは大変じゃったな」


 一人の老人が、前に出てきた。

 白髪で杖をついている。


「じいちゃん!」


 リナが声を上げた。


「わしが、この村の村長じゃ。リョージと言ったか?」

「はい」


「善良な旅人は歓迎する、この村に宿屋はない、ワシの家に泊るといい。ゆっくりしていきなさい」

お読みいただきありがとうございます。


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