第13話 鑑定額はおいくら万円?
「えっと……村がドラゴンに襲われまして」
リョージは正直に答えた。
「それで、村を守るために戦ったら……こうなりました」
「……こうなった、ねえ」
ガルドは腕を組み、黒竜を見上げた。
「お前、このドラゴンをどうやって倒した?」
「いえ、俺は大したことは……村の人たちと協力して?」
「……村人と、ドラゴンを」
ガルドは深く息を吐いた。
「村がドラゴンに襲われたら大概全滅するんだがな」
「親友がバリスタで仕留めてくれたんです。俺はただ……ドラゴンが動かないように……気を引いてただけで?」
「囮か……?」
ガルドの目が鋭くなった。
「お前、ドラゴンを相手に囮役をやったのか?」
「えっと、まあ……」
リョージは曖昧に笑った。
神チートなスキルで余裕だったとは言えない。
「……」
ガルドとサラが、無言で顔を見合わせる。
「……お前、グリーン・フィールド村の人間か?」
「はい」
リョージは頷いた。
村長が許してくれたしね。故郷と呼んでいいって。
「そうか……」
ガルドは何か納得したように頷いた。
「なら、村を守るために戦うのも当然か」
「はい」
サラが、じっとリョージを見つめている。
その眼鏡の奥の瞳が、わずかに潤んでいるように見えた。
「……きゅん」
小さく、呟くように。
「え?」
「いえ……何でもありません」
サラは顔を背けた。
ガルドは黒竜とエルダー・トレントを見渡した。
「で、これ……どうすんだ?」
「買い取っていただけますか? あ、ドラゴン分はグリーン・フィールド村へ送ってください、みんなで倒したんで」
嘘じゃない。
「……村へ、送金するのか」
ガルドが眉を上げた。
「はい。俺一人の手柄じゃないですし」
「……」
サラの目が、ますます潤む。
彼女は慌てて眼鏡を外し、レンズを拭き始めた。
「……サラちゃん?」
「す、すみません。埃が……」
どこか声が湿っぽい。
「……お前、面白い奴だな」
ガルドがゆっくりと笑った。
「普通の冒険者なら、全部自分のものにするぞ」
「でも、それは……」
「分かってる。お前の言う通りだ」
ガルドは頷いた。
「サラちゃん、手配できるか?」
「はい……」
サラは眼鏡をかけ直し、震える手で手帳を取り出した。
「グリーン・フィールド村への送金ですね。ギルド経由で手配いたします」
ページをめくり、何かを確認している。
その横顔を見ていると、サラの目がリョージを一瞬チラリと見た。
すぐに手帳に視線を戻すが、頬がわずかに赤く染まっている。
「ドラゴンの素材は……鱗、牙、爪、翼膜、心臓部の魔核……全て最高級品です」
「で、いくらになる?」
「この街には竜専門の解体職人がおりますので、保存状態次第ですが……金貨50枚以上かと」
「……金貨50枚」
ガルドが低く呻いた。
「エルダー・トレントは?」
「こちらは金貨10枚程度です」
「けっこうお高いんですね」
「エルダー・トレントはトレントより熟成された美味しい煮汁が出るんです、このサイズでしたらすぐに引き合いがあるかと」
……美味しい煮汁……
グリーン・フィールド村でいただいた、どこかカツオブシ風味のスープを思い出してしまった。
無限収納の中にまだ折れた枝が2、3本残っている。後で削ってスープにしてみよう。
「エルダー・トレントは俺が倒したんで、こっちだけいただけますか」
「かしこまりました」
サラが手帳にメモを取る。
「では、ドラゴン分の金貨50枚はグリーン・フィールド村へ。エルダー・トレント分の金貨10枚はリョージ様へ、ということで」
「お願いします」
「ただし」
サラが言葉を継いだ。
「解体と査定には数日かかります。全額のお支払いは、それからになりますが……」
「それで構いません」
リョージは頷いた。
「かしこまりました。では、ギルドで買い取らせていただきます」
「他の魔物素材も含めて、順次査定を進めます」
「お願いします」
「では、こちらで預からせていただきます」
サラは一礼した。
「リョージ様。ギルドカードの発行手続きを済ませましょう。受付カウンターへ」
「分かりました」
リョージはサラの後について、倉庫を出た。
◆◇◆
受付カウンターに戻ると、サラは金属製のプレートを持ってきた。
「こちらがギルドカードです」
銀色に輝くプレート。表面には、リョージの名前とランクが刻まれている。
////////////////////////
【冒険者ギルドカード】
名前:リョージ
ランク:D級
登録番号:R-3847
////////////////////////
「このカードで、ギルドの依頼を受けることができます。また、ギルド加盟店での割引も受けられます」
「ありがとうございます」
リョージはカードを受け取った。
「D級は新人の方としては異例の高ランクです」
サラが説明を続ける。
「通常、ランクアップには実績が必要ですが……ガルド試験官から、C級昇格時の実技試験は免除との推薦をいただいております」
「そうなんですか」
「はい。ですので、依頼をいくつかこなして実績を積めば、すぐにC級へ昇格できるかと」
「分かりました」
「あの、リョージ様」
サラが声を潜めた。
「はい?」
「今後、大型の討伐をされた場合……できれば、事前にギルドへご相談ください」
「何かまずいことが?」
「いえ、まずいというわけでは……」
サラは言葉を選ぶように続けた。
「ただ、あまりに規格外の討伐が続くと……目立ちます」
「目立つ……」
サラは眼鏡の奥の瞳で、じっとリョージを見つめた。
「リョージ様は、おそらく……」
彼女は言葉を切った。
「……いえ、何でもありません」
だが、その目は何かを確信しているようだった。
「気をつけます」
「……お願いします」
サラは安堵したように微笑んだ。
「それから……今夜のお宿ですが」
「あ、はい」
「ギルドと提携している『銀月亭』という宿をご紹介できます。清潔で、お食事も美味しいと評判です」
サラが羊皮紙に地図を書き、印をつける。
「こちらです。ギルドカードを見せれば、割引も適用されます」
「ありがとうございます」
「それと……」
サラは小さな革袋を取り出した。
「査定前ですが、小金貨10枚を前払いさせていただきます。当座の費用としてお使いください」
「助かります」
リョージは革袋を受け取った。
小金貨10枚。多分相当な金額? だよな?
_______________________
【解説】
神チート〈ver.0.3.4β〉:小金貨一枚は日本円にして約10万円
※神チートはAIなため(以下略
_______________________
100万……! 当面は問題ないな。ってか、略すな!
「では明日以降、査定が終わり次第ご連絡いたします。ギルド内の掲示板に、リョージ様宛のメッセージを掲示しますので」
「分かりました」
「本日はありがとうございました。またのご来訪をお待ちしております」
サラが深く一礼する。
その仕草が、妙に丁寧で……少しだけ名残惜しそうに見えた。
「こちらこそ、ありがとうございました」
リョージは頭を下げ、ギルドを後にした。
「えっと……村がドラゴンに襲われまして」
リョージは正直に答えた。
「それで、村を守るために戦ったら……こうなりました」
「……こうなった、ねえ」
ガルドは腕を組み、黒竜を見上げた。
「お前、このドラゴンをどうやって倒した?」
「いえ、俺は大したことは……村の人たちと協力して?」
「……村人と、ドラゴンを」
ガルドは深く息を吐いた。
「村がドラゴンに襲われたら大概全滅するんだがな」
「親友がバリスタで仕留めてくれたんです。俺はただ……ドラゴンが動かないように……気を引いてただけで?」
「囮か……?」
ガルドの目が鋭くなった。
「お前、ドラゴンを相手に囮役をやったのか?」
「えっと、まあ……」
リョージは曖昧に笑った。
神チートなスキルで余裕だったとは言えない。
「……」
ガルドとサラが、無言で顔を見合わせる。
「……お前、グリーン・フィールド村の人間か?」
「はい」
リョージは頷いた。
村長が許してくれたしね。故郷と呼んでいいって。
「そうか……」
ガルドは何か納得したように頷いた。
「なら、村を守るために戦うのも当然か」
「はい」
サラが、じっとリョージを見つめている。
その眼鏡の奥の瞳が、わずかに潤んでいるように見えた。
「……きゅん」
小さく、呟くように。
「え?」
「いえ……何でもありません」
サラは顔を背けた。
ガルドは黒竜とエルダー・トレントを見渡した。
「で、これ……どうすんだ?」
「買い取っていただけますか? あ、ドラゴン分はグリーン・フィールド村へ送ってください、みんなで倒したんで」
嘘じゃない。
「……村へ、送金するのか」
ガルドが眉を上げた。
「はい。俺一人の手柄じゃないですし」
「……」
サラの目が、ますます潤む。
彼女は慌てて眼鏡を外し、レンズを拭き始めた。
「……サラちゃん?」
「す、すみません。埃が……」
どこか声が湿っぽい。
「……お前、面白い奴だな」
ガルドがゆっくりと笑った。
「普通の冒険者なら、全部自分のものにするぞ」
「でも、それは……」
「分かってる。お前の言う通りだ」
ガルドは頷いた。
「サラちゃん、手配できるか?」
「はい……」
サラは眼鏡をかけ直し、震える手で手帳を取り出した。
「グリーン・フィールド村への送金ですね。ギルド経由で手配いたします」
ページをめくり、何かを確認している。
その横顔を見ていると、サラの目がリョージを一瞬チラリと見た。
すぐに手帳に視線を戻すが、頬がわずかに赤く染まっている。
「ドラゴンの素材は……鱗、牙、爪、翼膜、心臓部の魔核……全て最高級品です」
「で、いくらになる?」
「この街には竜専門の解体職人がおりますので、保存状態次第ですが……金貨50枚以上かと」
「……金貨50枚」
ガルドが低く呻いた。
金貨50枚。多分相当な金額? だよな?
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【解説】
神チート〈ver.0.3.4β〉:金貨一枚は日本円にして約100万円
※神チートはAIなため(以下略
_______________________
100万円×50枚=5,000万円……! ってか、そこ略すな!
「エルダー・トレントは?」
「こちらは金貨10枚程度です」
「けっこうお高いんですね」
「エルダー・トレントはトレントより熟成された美味しい煮汁が出るんです、このサイズでしたらすぐに引き合いがあるかと」
……美味しい煮汁……
グリーン・フィールド村でいただいた、どこかカツオブシ風味のスープを思い出してしまった。
無限収納の中に折れた枝がまだ2、3本残ってるな。後で削ってスープにしてみよう。
「エルダー・トレントは俺が倒したんで、こっちだけいただけますか」
1,000万円もあれば資金としては十分だろう。
「かしこまりました」
サラが手帳にメモを取る。
「では、ドラゴン分の金貨50枚はグリーン・フィールド村へ。エルダー・トレント分の金貨10枚はリョージ様へ、ということで」
「お願いします」
「ただし」
サラが言葉を継いだ。
「解体と査定には数日かかります。全額のお支払いは、それからになりますが……」
「それで構いません」
リョージは頷いた。
「かしこまりました。では、ギルドで買い取らせていただきます」
「他の魔物素材も含めて、順次査定を進めます」
「お願いします」
「では、こちらで預からせていただきます」
サラは一礼した。
「リョージ様。ギルドカードの発行手続きを済ませましょう。受付カウンターへ」
「分かりました」
リョージはサラの後について、倉庫を出た。
◆◇◆
受付カウンターに戻ると、サラは金属製のプレートを持ってきた。
「こちらがギルドカードです」
銀色に輝くプレート。表面には、リョージの名前とランクが刻まれている。
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【冒険者ギルドカード】
名前:リョージ
ランク:D級
登録番号:R-3847
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「このカードで、ギルドの依頼を受けることができます。また、ギルド加盟店での割引も受けられます」
「ありがとうございます」
リョージはカードを受け取った。
「D級は新人の方としては異例の高ランクです」
サラが説明を続ける。
「通常、ランクアップには実績が必要ですが……ガルド試験官から、C級昇格時の実技試験は免除との推薦をいただいております」
「そうなんですか」
「はい。ですので、依頼をいくつかこなして実績を積めば、すぐにC級へ昇格できるかと」
「分かりました」
「あの、リョージ様」
サラが声を潜めた。
「はい?」
「今後、大型の討伐をされた場合……できれば、事前にギルドへご相談ください」
「何かまずいことが?」
「いえ、まずいというわけでは……」
サラは言葉を選ぶように続けた。
「ただ、あまりに規格外の討伐が続くと……目立ちます」
「目立つ……」
サラは眼鏡の奥の瞳で、じっとリョージを見つめた。
「リョージ様は、おそらく……」
彼女は言葉を切った。
「……いえ、何でもありません」
だが、その目は何かを確信しているようだった。
「気をつけます」
「……お願いします」
サラは安堵したように微笑んだ。
「それから……今夜のお宿ですが」
「あ、はい」
「ギルドと提携している『銀月亭』という宿をご紹介できます。清潔で、お食事も美味しいと評判です」
サラが羊皮紙に地図を書き、印をつける。
「こちらです。ギルドカードを見せれば、割引も適用されます」
「ありがとうございます」
「それと……」
サラは小さな革袋を取り出した。
「査定前ですが、小金貨10枚を前払いさせていただきます。当座の費用としてお使いください」
「助かります」
リョージは革袋を受け取った。
小金貨10枚。多分相当な金額? だよな?
_______________________
【解説】
神チート〈ver.0.3.4β〉:小金貨一枚は日本円にして約10万円
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100万……! 当面は問題ないな。
「では明日以降、査定が終わり次第ご連絡いたします。ギルド内の掲示板に、リョージ様宛のメッセージを掲示しますので」
「分かりました」
「本日はありがとうございました。またのご来訪をお待ちしております」
サラが深く一礼する。
その仕草が、妙に丁寧で……少しだけ名残惜しそうに見えた。
「こちらこそ、ありがとうございました」
リョージは頭を下げ、ギルドを後にした。
外に出ると、すでに夕暮れが近づいていた。
「銀月亭、か」
サラが書いてくれた地図を頼りに、宿へ向かうことにした。
外に出ると、すでに夕暮れが近づいていた。
「銀月亭、か」
サラが書いてくれた地図を頼りに、宿へ向かうことにした。
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21日(木)8:00 12:00 20:00
22日(金)8:00 12:00 20:00
23日(水)8:00 12:00 20:00
24日(木)8:00 20:00
25日(金)8:00 20:00
以降20:00更新予定




