表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したが神のスキルが使いづらい【完結保証】  作者: Darjack
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/16

第11話 冒険者、はじめます

「よし、冒険者ギルドへ行こう!」

リョージは立ち上がり、神チートのナビに従って街の中心部へ向かった。

街の中央、大通りに面した立派な建物。

重厚な木製の扉の上には、剣と盾が交差した紋章が掲げられている。

「冒険者ギルド リベルタ支部……」

リョージは深呼吸をひとつして、扉を押し開いた。


広い。

吹き抜けのロビーに、複数の受付カウンターが並んでいる。

壁一面の依頼掲示板には、羊皮紙がびっしりと貼られていた。

テーブル席では、武装した冒険者たちが地図を広げて何やら相談している。

おおう、これこれ。

異世界の冒険者ギルドってのはこうでなくちゃあ。

リョージは空いている受付カウンターへと向かった。

そこに座っていたのは、栗色の髪を後ろで結んだ、眼鏡をかけた女性だった。

真剣な表情で書類に目を通している。

「あの……」

声をかけると、彼女が顔を上げた。

「はい、いらっしゃいませ。冒険者ギルドへようこそ」

優しい笑顔。

だが、その眼鏡の奥の瞳は冷静にリョージを観察している。

「初めての方ですか?」

「はい。冒険者登録をしたいんですが、それと魔物の討伐部位と魔核の換金もお願いしたくて」

門で衛兵から預かった盗賊退治の証明書を取り出して、そっとカウンターに置いた。

彼女の目が、わずかに見開かれる。

証明書に視線を落としたまま、彼女は眼鏡を指で押し上げた。

「……かしこまりました」

顔を上げ、改めてリョージをじっと見つめる。

数秒の沈黙。

「失礼しました。私、こちらで受付を担当しておりますサラと申します」

「リョージです」

「リョージ様ですね。魔物の討伐部位を買い取る場合、冒険者登録をされていた方が査定額が上がります。実技試験がございますが、本日お受けになりますか?」

「はい、お願いします」

「かしこまりました。では登録を進めさせていただきます。こちらにご記入をお願いします」

渡された申請書に、名前、年齢、出身地、使用可能魔法の系統——と書き込んでいく。

魔法適性の欄、リョージは少し迷ってから「全属性」と書き込んだ。

サラはそれを受け取ると、内容に目を通した。

視線が、止まる。

彼女は顔を上げ、無言でリョージを見つめた。

沈黙の後。

小さく息を吐いて、受付職員の欄にサラサラとサインした。

「では、実技試験の説明をさせていただきますね」

彼女は羊皮紙の束から一枚を取り出し、カウンターに広げた。

ギルドの建物の見取り図だ。

「試験場はこの建物の裏手にございます。内容は、魔力測定と実戦形式の模擬戦闘です」

「模擬戦闘……って、誰かと戦うんですか?」

「はい。ギルド所属の試験官とですね」

サラの声は落ち着いている。

だが、その指先が見取り図の端を小刻みに叩いていた。

「ランクはG級からS級まで。試験の結果で初期ランクが決まります。通常、新人の方はG級かF級からのスタートになりますが……」

彼女はじっとリョージを見つめた。

目の奥は神秘的な色に輝き、吸い込まれてしまいそうだ。

「もう少し上からスタートできるかもしれませんね」

「そうなんですか」

「ええ。では、試験場へご案内します」

サラが立ち上がる。

隣の受付カウンターにいた年配の女性受付嬢に「少し席を外します」と声をかけ、カウンターから出てきた。

「こちらへどうぞ」


彼女の後ろについて、ロビーを横切る。

「おいおい、サラちゃん直々に案内かよ」

声がした。

テーブル席に座っていた冒険者——茶髪の男が、ニヤニヤと笑いながらこちらを見ている。

来た来た! テンプレ。初心者イビリ来た!

茶髪の冒険者は武装は整っているが、その顔には油断と余裕が浮かんでいた。

「新人のガキが、随分と優遇されてんなあ」

「レオン様。ギルド内でのトラブルは……」

サラの声が、わずかに冷たくなる。

「おっと、怖い怖い」

レオンと呼ばれた男は両手を上げて見せたが、その目はリョージを値踏みするように見ていた。

「なあ坊主。サラちゃんに案内してもらえるなんて、お前相当ラッキーだぞ?

俺なんて登録の時、おっさん受付だったからな」

「レオン様……」

「分かってるって。ただな——」

レオンは椅子から立ち上がり、リョージの前に歩み寄った。

「新人が調子に乗るなよ、って話だ」

その目に、明らかな敵意が宿っている。

「冒険者ってのは命懸けの仕事だ。ガキが甘っちょろい気持ちで来るとこじゃねえんだよ」

「……行きましょう、リョージ様」

サラがリョージの袖を軽く引いた。

「おいおい、逃げんのか?」

「いや、これから裏で試験受けるんで……」

リョージはすっとぼけて答えた。

レオンの眉がピクリと動く。

「……ハッ、なめてんのか? 小僧」

「レオン様……それ以上は」

サラの声は静かだが、芯が通っている。

「分かったよ。

じゃあな坊主、試験頑張れよ。俺も見学させてもらうからさ」

レオンはそう言って、ニヤリと笑った。

「レオン様、申し訳ございませんが」

サラが一歩前に出た。

「魔力測定は個人情報の取り扱いになります。規則により守秘義務を持つギルド職員以外は同席できません」

「はあ? 模擬戦は見れるだろ?」

「はい。模擬戦闘は公開可能ですが、魔力測定は別です」

サラは淡々と答える。

「測定結果は本人の適性判断に関わる機密情報ですので」

「……チッ、面倒くせえな」

レオンは舌打ちをした。

「じゃあ模擬戦から見学させてもらうわ。どうせそっちの方が面白えしな」

「かしこまりました。では模擬戦闘の際にお声がけいたします」

サラは一礼し、リョージを促して建物の裏手へと向かった。

建物の裏手に出ると、広い中庭が広がっていた。

石畳の訓練場。

周囲には木製の人形や的が並び、片隅には武器庫らしき小屋も見える。

「こちらが試験場です」

サラが立ち止まり、訓練場の奥にある小さな建物を指し示した。

「魔力測定はあちらの測定室で行います。試験官がいらっしゃるはずですので」


◇◆◇


扉を開けると、薄暗い部屋の中央に水晶のような球体が設置されていた。

その横に、筋骨隆々とした男が腕組みをして立っている。

顔には古い傷跡、腰には大剣を提げていた。

「ガルド試験官、お願いします」

サラが一礼する。

「おう。また新人か」

ガルドと呼ばれた男が、のっそりと近づいてくる。

その目が、値踏みするようにリョージを見た。

「ふーん。若いな。まあ、やる気があるのはいいこったな」

彼は中央の球体を指差した。

「魔力測定だ。こいつに手を当てろ。魔力量で色が変わる。白、青、紫、赤の順で強くなる。大抵の新人は白か青ってとこだな」

「はい」

リョージは球体に手を当てた。

瞬間、球体が光り始めた。

白い光。

それが次第に強くなり、眩い輝きを放つ。

「……ん?」

ガルドの声が、わずかに変わる。

球体の光は増していく。

白から青へ、青から紫へ、そして——

「おい、ちょっと待て!」

ガルドが慌てて駆け寄り、リョージの手を球体から引き剥がした。

だが、球体の輝きは止まらない。

赤を通り越し、金色の光が部屋中を照らし出す。

ピシッ。

微かな音がした。

球体の表面に、細かなヒビが入っていた。

「……なんだこりゃ」

ガルドは呆然と球体を見つめている。

「測定器が……壊れ……」

サラの声が震えている。

「――。こんなの初めて見たぞ……」

ガルドは額の汗を拭い、改めてリョージを見た。

その目には、明らかな警戒心が宿っている。

「お前……何者だ?」

「いや、その……」

答えようがない。

(通りすがりの神チート使いです? ……言えるわけがないな)

リョージは曖昧に笑ってごまかすしかなかった。

「……まあいい」

ガルドは大きく息を吐き、測定器から視線を外した。

「次は実戦だ。模擬戦闘で実力を見させてもらう」

彼は扉の方へ歩き出した。

「……一体どんな戦い方するのか、楽しみだぜ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ