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華ちゃんとのテレビゲーム

才花の家に遊びに行った週末の午後。前回の出会いから数日後、俺はまた才花の家に呼ばれていた。

リビングに入ると、才花はまだ部活で帰ってきていなかった。代わりに、ソファにちょこんと座っていたのは華ちゃんだった。

「あ……お、おはよう……じゃなくて、こんにちは……」

華ちゃんは黒髪のセミロングを耳にかけて、いつものように少し縮こまっている。今日は淡いピンクの長袖シャツに膝丈のスカート姿で、膝の上にクッションを抱きしめていた。

「才花はまだ帰ってこないみたいだけど……いいかな?」

「……うん……お姉ちゃんから……聞いてる……一緒にゲーム……するって……」

華ちゃんは小さな声でそう言うと、テレビの前に置いてあったコントローラーをそっと差し出してきた。顔はすでに少し赤い。

俺が隣に座ると、華ちゃんはクッションをぎゅっと抱きしめたまま、身体を少しだけ離して座り直した。

「どんなゲームやる? 華ちゃんが得意なの、ある?」

「……えっと……ボク……アクションとか……苦手で……パズルゲームとか……協力プレイのやつが……いいかも……」

華ちゃんはコントローラーを両手で持ちながら、目を伏せて答える。指先が少し震えているのが可愛い。

俺がおすすめの協力型パズルゲームを起動すると、華ちゃんは真剣な顔で画面を見つめた。

ゲームが始まると、華ちゃんは意外と集中力が高かった。でもミスをするたびに、

「……あ……ごめん……ボクのせい……」

と小さく謝ってくる。

「大丈夫だよ、華ちゃん。次は一緒にやろう」

「……うん……ありがとう……」

華ちゃんはほんのり微笑みながら、俺のタイミングに合わせてボタンを押す。二人で同じ画面を見て、タイミングを合わせるたびに、華ちゃんの肩が少しずつ俺のほうに近づいてくる。

難しいステージで二人同時に失敗したとき、華ちゃんは小さく笑った。

「……ふふ……ボクたち……息が合わないね……」

その笑顔がとても可愛くて、俺は思わず華ちゃんの頭を軽く撫でてしまった。

「わっ……!」

華ちゃんはびっくりして身体を硬くし、耳まで真っ赤になった。

「……頭……撫でるなんて……急に……ボク……そういうの……まだ慣れてなくて……」

「ごめん、つい。華ちゃん、頑張ってる姿が可愛かったから」

「……か、可愛い……なんて……言わないで……ボク……お姉ちゃんみたいにかっこよくないし……」

華ちゃんはクッションに顔を半分埋めてモジモジしている。でも、口元は少し嬉しそうに緩んでいた。

ゲームを続けていると、だんだん華ちゃんの緊張が解けてきた。成功したステージでは、

「……やった……! ボクたち……勝ったよ……!」

と小さな声で喜び、俺のほうをチラチラ見ながら微笑むようになった。

あるステージで華ちゃんが上手く操作してくれたとき、俺が自然に「華ちゃん、すごい!」と褒めると、

「……えへへ……ありがとう……ボク……お姉ちゃんの足を引っ張らないように……がんばってるんだ……」

と、照れながらも少し自信を持ったような表情を見せてくれた。

そのとき玄関の鍵が開く音がして、才花の声が聞こえた。

「ただいまー! おい、華! あいつ来てるか?」

華ちゃんは慌ててクッションをぎゅっと抱き直し、いつもの引っ込み思案モードに戻った。

「……お姉ちゃん……帰ってきた……ボク……ちょっと……お茶入れてくるね……」

華ちゃんは立ち上がる前に、俺の袖をそっと指で摘まんで小さな声で言った。

「……また……ゲーム……しようね……?ボク……今日は……楽しかった……」

そう言って、華ちゃんは恥ずかしそうにキッチンのほうへ小走りで去っていった。

才花がリビングに入ってきて、俺を見てニヤッと笑った。

「どうだ? 華、意外と可愛いだろ?お前、妹にまで手ぇ出したら、オレが許さねぇぞ?」

俺はただ笑って肩をすくめた。

華ちゃんとのゲームタイムは、才花の元気な世界とは少し違う、静かで優しい時間が流れていた。


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