才花の妹・華ちゃんとの出会い
週末の午後、才花の家に遊びに行った俺は、リビングで才花とゲームをしていた。
「よし、次はオレの勝ちだな! へへっ、弱い弱い♪」
才花はショートカットを振り乱しながらコントローラーを握り、いつもの王子様スマイルで俺をからかう。褐色の肌が健康的で、今日もタンクトップに短パンというラフな格好だ。
ゲームが一段落したところで、才花がキッチンのほうをチラッと見て言った。
「そういや、今日妹がいるんだけど……会う?」
「え、才花に妹がいたの?」
「まあな。名前は華っていうんだけど……お前、びっくりするかもよ?」
才花がニヤッと笑った直後、廊下のほうから小さな足音が聞こえてきた。
「ねえ……お姉ちゃん……」
声がとても小さくて、控えめ。リビングの入り口に現れたのは、才花とは雰囲気が全く違う女の子だった。
華ちゃんは才花より少し背が低めで、黒髪のセミロングを耳にかけるようにしている。肌は才花ほど日焼けしておらず、ほんのり白くて柔らかそうな印象。服装も地味めな長袖のシャツに膝丈のスカートで、胸元を少し隠すように腕を組んでいる。
「お、お邪魔します……」
華ちゃんは俺の顔を見ると、すぐに視線を逸らして頰を赤らめた。引っ込み思案なのが一目でわかる。
才花が笑いながら華ちゃんの肩を軽く叩いた。
「ほら華、挨拶しろよ。この子、俺の……まあ、よく遊んでるヤツだ」
「う、うん……はじめまして……華です……お姉ちゃんの妹……です……」
華ちゃんは小さな声でそう言うと、またすぐにうつむいてしまった。指先をスカートの裾でいじいじと弄っている姿が、すごく可愛らしい。
俺が「よろしくね」と微笑むと、華ちゃんはさらに顔を赤くして、
「……よろしく……お願いします……」
と、ほとんど蚊の鳴くような声で返してきた。
才花が呆れたようにため息をつく。
「ったく、華はいつもこうなんだよ。学校でもほとんど喋らねぇし、家でもオレにしか心を開かねぇタイプ。お前みたいなのに会うの、初めてじゃね?」
華ちゃんは恥ずかしそうに才花の後ろに少し隠れながら、チラチラと俺のほうを盗み見ている。
「華ちゃん、才花とは全然タイプが違うんだね。お姉ちゃんみたいに元気じゃないんだ」
「……うん……お姉ちゃんは……かっこよくて……みんなの中心にいるけど……ボクは……いつも隅っこにいるから……」
華ちゃんはそう言って、少し寂しそうな笑みを浮かべた。
才花が華ちゃんの頭を軽く撫でながら言った。
「まあ、華は内気だけど、優しい子だぞ。料理とか得意だし、静かに本読んでる姿は結構かわいいんだぜ?」
「……お姉ちゃん……余計なこと言わないで……」
華ちゃんは耳まで真っ赤になって、才花の腕を軽く叩いた。その仕草がまたとても可愛くて、俺は思わず笑ってしまった。
「華ちゃん、もしよかったら今度一緒にゲームとかしない?才花と三人で」
「……え……本当に……? ボク……下手だけど……いいの……?」
華ちゃんの青い瞳が少しだけ輝いたように見えた。
才花がニヤニヤしながら俺の肩を小突いた。
「ほら、華が珍しく乗り気じゃん。お前、妹にまで手ぇ出す気か?」
「……お姉ちゃん! 変なこと言わないでよ……!」
華ちゃんが慌てて才花を止めようとする姿を見て、俺はなんだかほっこりした。
この貞操逆転世界で、ボーイッシュで積極的な才花とは正反対の、引っ込み思案で可愛らしい華ちゃん。今日の出会いは、きっとこれからの日常に少しだけ新しい色を加えてくれそうな予感がした。
才花が最後に笑って言った。
「まあ、今日はゆっくりしてけよ。華も、たまには外に出てみるといいぜ?」
華ちゃんは小さく頷きながら、俺のほうをもう一度チラッと見て、恥ずかしそうに微笑んだ。
「……また……来てくれると……嬉しい……です……」




