chapter.6
「船上」は、すでに「戦場」と化していた。
船と船の間に板を渡し乗り込んでくるのは、『ジャッカル』の男たちである。
すでに、小さな船の上のそこかしこで戦闘が起きていた。
瑞華と椿は銃を手にし、詩苑は日本刀を抜き放って応戦している。
ズガガンッ!
瑞華の二丁拳銃、『ブルーローズ』がうなる。
揺れる船の上、薄暗闇の中で、遠方の敵を撃ち落としていく瑞華の腕には恐ろしいものがある。しかも、狙い違わず男たちの足を撃ち抜き、戦闘不能にしていた。
ガガンッ!
自分の周りにいたあらかたの敵をねじ伏せた瑞華は、新たに向かってきた男に銃を向けて放つ。
しかし。
ヒュンッ
その弾が、避けられた。
瑞華はわずかに眉根をよせる。
「会いたかったぜぇ?“神の御手”」
「……何アンタ」
油断なく銃を構えながら、瑞華は目の前の男に問いかけた。下卑た笑いを浮かべていたが、銃の弾を避けられるのは大したものだ。 「俺はアンタと勝負したくて来たもんだぜ?」
すると男は、腰のガンホルダーから拳銃を取り出す。どうやらその男は、瑞華と同じ二丁拳銃使いのようだ。
「お手合わせ願うぜ」
「……」
瑞華は面倒くさそうにため息をつく。
「いくぜ!」
そんな様子に気づいた風もなく、男は突然弾を乱射し始めた。
「……めんどくさい」
言いながら、瑞華は軽々とその弾の嵐を避けていく。
そりゃあもう、常人では考えられないくらいのスピードで。
「なにぃ!? 俺様の弾丸嵐が……っ」
それがその銃乱射攻撃の名前なのか、男がかなり間抜けな言葉を叫ぶ。
「……ウザッ」
心底嫌そうに瑞華が言って、その目をすっと細めた。
そして急に立ち止まったかと思うと、瑞華も銃を乱射し始める。
しかし、やたらめったら撃ちまくる男とは、何かが違った。
それに気づいた男が、驚愕の声をあげる。
「なっ、バカな……っっ!」
瑞華が撃った弾丸は、見事に、飛び散る男の弾を相殺していた。 向き合った二人の中央で、弾丸がぶつかり合って火花が散る。
そして。
がちんっ
「! しまった!!」
男が躍起になって乱射したせいで、彼の拳銃は弾切れになってしまった。
「……おあいにくさま」
静かに笑う瑞華の目が、紫がかった光を放つ。
「相手が悪かったわね?」
「……っ」
異様な威圧感を放っている瑞華に、『ブルーローズ』を向けられた男は、思わず悪寒を感じて動けなくなってしまった。
「ダーイ」
瑞華の唇がゆっくりと動き、そして彼女は、その引き金を引いた。
パァンッ!
「……」
瑞華は、男に向けていた銃口を軽く吹くと、それを下ろして頬をかく。
「……う~ん……。ちょっと効果的すぎたかな~?」
戦いの喧騒の中でも、彼女は暢気にそう呟き、右手の拳銃を見た。
その銃身の先では、バネ仕掛けのひよこの人形がピヨピヨと動いている。
「……大した相手じゃなかったから、“瑞華ちゃん特製、ひよこちゃん弾”にすり変えといたんだけど……」
目の前で泡を噴いて気絶している男を見下ろしながら、瑞華は人差し指で銃をくるくると弄んでいた。
どうやら彼女は、いつの間にやら弾丸を殺傷性のないものに変えていたらしい。
「……ま、いっか☆」
早々に悩むのを止めて、瑞華は視線を男から外す。そして再び、他の3人の援護のために、『ブルーローズ』の弾を入れ替えた。
4人の強さ




