chapter.3
「いただきますっ」
元気よく手を合わせてそう言うと、煉夏は皿に取ったチーズケーキに手をつけ始める。
その様子は、ひどく嬉しそうで。ともすれば鼻唄まで聞こえてきそうだ。
「……煉夏って、ホントおいしそうに食べるよね~」
「そう?」
「「「うん」」」
瑞華の言葉をうけて、不思議そうに首を傾げる煉夏に、三人の声が見事にハモる。
「……だっておいしいんだもん」
そんな三人の様子に、煉夏はどこか不服そうに、だが素直にそう答えた。
「まぁ、作ってる方としてはうれしいからいいけどね」
「うん」
うなずくが早いか、煉夏は再びチーズケーキを食べ始める。
それを微笑ましそうに眺めてから、他の三人も各々にケーキを食べ始めた。
「……そう言えば椿。船の進路平気?」
ふと、詩苑が思い出したかのように椿に問うた。
「まぁ、天気もいいし、このまま行けば大丈夫だろ」
「……なんか適当っぽくね?」
「気のせいだ」
詩苑の言うとおりなのか、いささか適当にそう応えた椿だったが、本当に危険なときはこんな悠長に構えてなどいないことを知っている詩苑は、あえてそれ以上は何も言わなかった。
「……煉夏、口の周りすごいことになってる……」
「ふぇ?」
暫くして、五つ目のチーズケーキに手を伸ばし始めた煉夏。
勢いよくがっついているためか、口の周りが見事に食べカスまみれで、見かねた椿が半ば呆れて声をかける。煉夏は彼女に手渡された布巾を使って、慌てて口を拭った。
「ありがと椿」
「いや……」
口を拭き終わった煉夏が、笑顔で椿に礼を言う。
「……ほんと、なんつーか、無邪気だよねぇ……」
呆れ半分、感嘆半分で詩苑が言えば、瑞華と椿はうんうんとうなずき、当の本人は、またもや首を傾げた。
「煉夏はそのままでいいんだよ」
「そうそう、今のままがちょうどいい」
勝手にうなずいている三人に、煉夏は訳がわからないと言う顔をして、そして考えることを放棄したのか、再び食べることに没頭していった。
手のかかる末っ子




