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blue rose  作者: 灑凪
33/35

chapter.32

「…あれ? 迷っ、た…?」

 廊下に一人立ち尽くし、詩苑は呟く。


 風呂を上がったあと、煉夏が、「ちょっと探検してくるね!!」と言って、詩苑の静止も聞かずに駆け出したのをみて、慌てて追いかけてきたのだ。

 しかし、ある程度分かっていたとは言え、思いの外煉夏が素早くて、彼女を見失ってしまい現在に至る。


「…うん、とりあえず帰ろう!」

 自分で自分に気合いをいれて踵を返した、そのとき。


「「あ。」」


 詩苑が後ろを振り返ると同時に、そこにあった扉が開いた。

 そこから出てきた人物と鉢合わせた詩苑の動きが、数秒止まる。


 どうやら詩苑が立ち尽くしていたのは、浴室の前だったらしい。

 タオルで髪を拭きつつ立っていたのは智彌だった。


 しかも、上半身裸で。


「…うわっと!? ごごごごご、ごめんなさい!!」


 きれいについている筋肉に一瞬見とれていた詩苑は、次の瞬間には我に返り、慌てて彼に背を向ける。



「いや、別に構わないんだが…」

 慌てふためく詩苑とは対照的に、智彌はあくまで冷静だ。


「じゃ、じゃあ、あたしはこれで…」

 若干動揺から立ち直れていない詩苑がその場を離れようとすると、その背に智彌が声をかけた。


「…そんな格好だと寒いだろう。部屋で熱い茶でもごちそうしよう」


「…へ?」

 恐らく、だぼだぼな服のせいで半ばまで肩が見えているからだろうが、なんの前置きもない智彌の言葉に、詩苑は虚をつかれる。

 恐る恐る智彌をみると、すでにジャージに着替えていた彼が微笑を見せた。


「う、うん…?」

 僅かに戸惑いを見せる詩苑の様子を肯定と受け取ったのか、智彌は満足気に頷く。


「え? ちょ…?」

「俺の部屋はこっちだ」

 そして、有無を言わさずに詩苑の前に立ち歩きだした。

 今さら断るのも気が引けて、結局詩苑は小さく息を吐く。


(…まぁほら、迷子になってたわけだから、ちょうどいいかなって思えば…)


 無理矢理に自分の中で苦しい言い訳を考えつつ、詩苑も彼の後を追って歩き出した。


ラッキースケベ(?)

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