chapter.26
「…やーっぱ扉の前の警備員、ふん縛ってどっかに隠しとけばよかったかな」
「…どちらにしろ一緒だろう」
「そうそう。…それに、アイツらが追ってきた理由は別にあるみたいだし」
「観念しろ、スカルグロウ!!」
「隣にいるのはブルーローズだな! やはり通じていたか…!」
龍のぼやきに智彌と犂人が答えた。そして、そんな犂人の言葉を裏付けるように、やってきた警備員の一人が言う。
「…なんだか、変な誤解されていないか…?」
「しんっじられない!! そんなのただのとばっちりじゃない!!」
「…あたしの平和な生活が…」
「えっ!? 戦闘!?」
「…顔を輝かせるな、煉夏…」
状況を冷静に分析する椿と、文句を言う瑞華。嘆く詩苑と、なんだか検討違いのことを言う煉夏。
相変わらず、まとまりのない集団だ。
しかし、なんだかんだ言いながらも、攻撃を加えてくる相手には容赦はしない。周りを囲まれても尚、ブルーローズは余裕を失わなかった。
「ちっ。やっぱさっきの銃弾はコイツらだったか…」
タイを取っ払い、タキシードの襟元をゆるめた司が忌々しげに呟いた。
「あれ? やっぱそうだったの? 司チャン分かってたみたいだからなにもしなかったけど…っとォ」
「ああ。…くそ、めんどくせェな」
周りを囲まれながらも、警備員や海軍たちの攻撃を軽くあしらいつつ、司と犂人は会話をする。
少し離れたところでは、同じように智彌と龍が海軍の攻撃を捌いている。
そのようすには余裕さえ感じられた。
「司ァ! これきりがねェよ!!」
「…あとからあとから涌いてくるな」
しかし、余裕を残しているとはいえ、如何せん数が多い。
全部を相手にしていたら、それこそ面倒くさいことこの上ない。
「ちっ。仕方ねェな」
司はぼやき、懐からなにやら丸いの物体を取り出した。
それを、予備動作なしに床に向かって投げつける。
「うぉっ…」
「煙幕か!?」
ボンッ! という音とともに視界が白く染まり、その向こうから狼狽した海軍の声が聞こえてきた。
「智! 犂人! 龍! 面倒だから逃げんぞ!!」
「了解」
「オッケー」
「はいよ!」
司の声に、姿は見えないが、煙の向こうから三人の声が応える。
「くっ…! 逃がすか!!」
兵士の一人が叫び、視界の悪い中、司がいたと思われる空間を槍で横様に薙ぐ。しかし、それはただ空気をかき混ぜただけだった。
「くそ…! またしても逃げられたか…!!」
槍を振るった兵士が、忌々しげに吐き捨てる。
彼らの視界が晴れた先、そこにいたはずの存在は、跡形もなく消え去っていた。
逃げるが勝ち




