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blue rose  作者: 灑凪
26/35

chapter.25

「居たぞ! あそこだ!!」


「ちっ…」

「…おっと~? ちょっとヤな予感?」

「…だな」

「げっ」


 バタバタと、複数の慌ただしく駆けてくる足音が聞こえてきた。

 オークションはいつの間にか終わっていて、会場内の人も疎らだ。


「…うわ~。めんどくさそう…」

「…さっきのアレのせいか…?」

「…それも無きにしもあらずだが、どうだかな」

「え? 戦闘!?」

「「…いや待て煉夏」」


 その気配を感じた八人が、各々反応を示した。

 そして嬉しそうに声を上げる煉夏を、詩苑と椿が慌ててて止める。

「…まぁ、こうなることは最初からわかってたんだけど…」

「…面倒だな」

 詩苑と椿が呟いた。


 そして話は、数刻前に遡る……――。


 

++++++++++



「…招待状なきゃ入れないってことは知ってたけど…」

「…さて。どうしましょうか」


 扉の前には二人の警備員。彼らが守るその扉の向こうが、お目当てのオークション会場である。


「…うんよし! 船に戻ろう瑞華!」

「なにアホなこと抜かしてんのよ詩苑。そんなことするわけないでしょ?」

「…ですよね…」

「…それならどうする? 入りたいのなら強行突破しかないと思うが…」

「え!? 暴れていいの!?」

「…そういう意味じゃない、煉夏…」


 やいやいと言い合うブルーローズ。

 彼らは今、その扉から少し離れた柱の影に身を隠していた。


「ワーオ。椿ちゃん過激! でも、そんな君も…うお!?」

 こんな状況にも関わらず、犂人の空気を読まない発言に、椿の鉄拳制裁がくだる。

 しかし、それはものの見事に避けられた。

「ちっ…」

 思わず椿の口からは悪態が漏れる。


「まぁまぁ皆さん落ち着いて…。ここは穏便に行きましょう」

「穏便ってどうやるのよ」

 司の言葉に、瑞華が柳眉を寄せた。

「こうやるんです。…智彌、犂人、龍」


「…仕方ない」

「へーい」

「任せとけって」


 司の呼び掛けに応じて、男三人が動く。


 まず犂人が、なんの構えもなしに入り口の警備員に近づき話しかけた。

「…なぁ警備員さん。ちょっと聞きたいことあるんだけど…」

 彼らはうろん気な視線を犂人に投げるも、親切に応える。

「…ん? 何だ? 手短にしろよ」

「あぁ、あのな…」

「! ぐあっ!」

「くっ、刺客か…っ、うぐっ」


 犂人が警備員の気を引いている隙に、智彌と龍は素早い動きで警備員に迫り、彼らが反応する前に、智彌は手刀、龍は掌底を叩き込んだ。


「…悪いな」

「ちょっと寝ててくれ」

「さっすが、手際いいな~」


 犂人が口笛を吹いた。

 本来智彌は剣士なのだが、さすがにダンスパーティーに刀を持ち込むことは不可能なので、今は手にしていない。それでもその強さである。


 智彌と龍の攻撃に、警備員二人は、仲間を呼ぶ間もなく昏倒した。


「…どこが穏便なのよ…」

「嫌だなぁ。犂人が穏便だったでしょう?」

「それなの…?」


 瑞華の言葉に、にこりと読めない笑みを浮かべる司。


「おぉ! 龍くんすごーい!!」

「…確かに速いな…」

「…さすがというかなんというか、やっぱり強いんだな…」


 ブルーローズの三人が、感嘆の声を上げた。


「椿っちゃーん、俺も誉めてッ」

「…なにもしてないだろう、お前は」

「やだな~。俺ってば頭脳派だから」

「…勝手に言ってればいい」

 ハートを振り撒きながら言う犂人に、椿は付き合ってられないとため息を吐く。


「…これで邪魔者はいなくなりましたから、会場に入りましょうか」

「…不本意だけど」


 にっこりと笑う司に、瑞華は苦々しく表情を歪めた。

 そして八人は、連れ立って扉をくぐったのだ。


強行突破


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