chapter.25
「居たぞ! あそこだ!!」
「ちっ…」
「…おっと~? ちょっとヤな予感?」
「…だな」
「げっ」
バタバタと、複数の慌ただしく駆けてくる足音が聞こえてきた。
オークションはいつの間にか終わっていて、会場内の人も疎らだ。
「…うわ~。めんどくさそう…」
「…さっきのアレのせいか…?」
「…それも無きにしもあらずだが、どうだかな」
「え? 戦闘!?」
「「…いや待て煉夏」」
その気配を感じた八人が、各々反応を示した。
そして嬉しそうに声を上げる煉夏を、詩苑と椿が慌ててて止める。
「…まぁ、こうなることは最初からわかってたんだけど…」
「…面倒だな」
詩苑と椿が呟いた。
そして話は、数刻前に遡る……――。
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「…招待状なきゃ入れないってことは知ってたけど…」
「…さて。どうしましょうか」
扉の前には二人の警備員。彼らが守るその扉の向こうが、お目当てのオークション会場である。
「…うんよし! 船に戻ろう瑞華!」
「なにアホなこと抜かしてんのよ詩苑。そんなことするわけないでしょ?」
「…ですよね…」
「…それならどうする? 入りたいのなら強行突破しかないと思うが…」
「え!? 暴れていいの!?」
「…そういう意味じゃない、煉夏…」
やいやいと言い合うブルーローズ。
彼らは今、その扉から少し離れた柱の影に身を隠していた。
「ワーオ。椿ちゃん過激! でも、そんな君も…うお!?」
こんな状況にも関わらず、犂人の空気を読まない発言に、椿の鉄拳制裁がくだる。
しかし、それはものの見事に避けられた。
「ちっ…」
思わず椿の口からは悪態が漏れる。
「まぁまぁ皆さん落ち着いて…。ここは穏便に行きましょう」
「穏便ってどうやるのよ」
司の言葉に、瑞華が柳眉を寄せた。
「こうやるんです。…智彌、犂人、龍」
「…仕方ない」
「へーい」
「任せとけって」
司の呼び掛けに応じて、男三人が動く。
まず犂人が、なんの構えもなしに入り口の警備員に近づき話しかけた。
「…なぁ警備員さん。ちょっと聞きたいことあるんだけど…」
彼らはうろん気な視線を犂人に投げるも、親切に応える。
「…ん? 何だ? 手短にしろよ」
「あぁ、あのな…」
「! ぐあっ!」
「くっ、刺客か…っ、うぐっ」
犂人が警備員の気を引いている隙に、智彌と龍は素早い動きで警備員に迫り、彼らが反応する前に、智彌は手刀、龍は掌底を叩き込んだ。
「…悪いな」
「ちょっと寝ててくれ」
「さっすが、手際いいな~」
犂人が口笛を吹いた。
本来智彌は剣士なのだが、さすがにダンスパーティーに刀を持ち込むことは不可能なので、今は手にしていない。それでもその強さである。
智彌と龍の攻撃に、警備員二人は、仲間を呼ぶ間もなく昏倒した。
「…どこが穏便なのよ…」
「嫌だなぁ。犂人が穏便だったでしょう?」
「それなの…?」
瑞華の言葉に、にこりと読めない笑みを浮かべる司。
「おぉ! 龍くんすごーい!!」
「…確かに速いな…」
「…さすがというかなんというか、やっぱり強いんだな…」
ブルーローズの三人が、感嘆の声を上げた。
「椿っちゃーん、俺も誉めてッ」
「…なにもしてないだろう、お前は」
「やだな~。俺ってば頭脳派だから」
「…勝手に言ってればいい」
ハートを振り撒きながら言う犂人に、椿は付き合ってられないとため息を吐く。
「…これで邪魔者はいなくなりましたから、会場に入りましょうか」
「…不本意だけど」
にっこりと笑う司に、瑞華は苦々しく表情を歪めた。
そして八人は、連れ立って扉をくぐったのだ。
強行突破




