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blue rose  作者: 灑凪
25/35

chapter.24

「あっちゃ~」

「…入ったか…」

「入っちゃったな……」


 司の様子に驚くブルーローズを余所に、スカルグロウは落ち着いたものだった。


「…えっ、え…?」

「な、なんだ…?」

「…司さん、だよね…?」


 突然の豹変ぶりについていけず、呆然と呟く詩苑、椿、煉夏。そして、船長瑞華も叫ぶ。


「ちょっとアンタ誰ですかー!?」


「…あァ? 俺様が誰かって? んなの偉大な司様に決まってんだろうが。馬鹿かお前」

「んなっ!!」


 さっきまでの敬語で穏やかな物腰はどこへ行ったのか、一人称まで変わっている今の司は、先程までとはまったくの別人だった。


 外見は然程変わらない。ただ髪紐が無くなって、司の髪が解かれただけだ。

 たったのそれだけなのに。


「…まぁ、簡単に説明するとだな」

「司チャン、髪ほどくと別人になるの」

「そーいうこと」

「オイ、テメーら余計なこと言うんじゃねーよ」


 混乱しているブルーローズを憐れに思ったのか、スカルグロウがフォローを入れてくれた。


「ちょっと何それどーいうこと!? 何でそんなめんどくさいことになんの!?」

「うるせーな。ぎゃんぎゃん喚くな。…その口、塞いでやろうか?」

「は!? なにわけわかんないこと言ってんの!? 大体、アンタのせいでお宝落とし…!!」


 なおも言い募ろうとする瑞華に、ふいに司が動いた。


 ちゅっ。


「…黙れって言ってんのが分かんねェのか?」


「%※●□*☆@&!?」


 瞬間、声にならない叫びを上げて固まる瑞華。


「……はぁ…」

「ひゅ~。司チャン手が早いんだから~」

「うっわ~…」


 …司は、有言実行の男だった。

 言っても聞かない瑞華に痺れを切らしたのか、彼は自分の言葉通り、瑞華の口を塞いだのだ。


 …しかも、あろうことか自分の口で。


「~っっ!!」

 唇を奪われた瑞華は、口をぱくぱくとさせ、音を伴わない言葉を発する。


「…なんだ? まだ足りねェってか? 仕方ねェなァ、このじゃじゃ馬は」

「……はっ! いい! いい!! 寄るな触るな近づくなッッ!!!」


 ニヤリ、と人の悪い笑みを浮かべ、再び近づこうとする司に、我に返った瑞華は慌てて首を左右にぶんぶんと振った。

 その顔は、我らが船長にしては珍しく、林檎のように真っ赤だ。

 司はそれを愉しそうに眺めていた。


「…はっ、はぢめて口で口塞ぐ人見た…」

「……ホントにやるヤツなんていたのか……」

「うわ~! 瑞華と司さんちゅーしてたよ!!」


 なんとも言えない空気の中、女たちは若干見当違いのことを考えていた。


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