chapter.22
「…で? 何を企んでるワケ?」
「企むなんでひどいですね」
智彌と龍のお陰(?)で、八人の剣呑な雰囲気は大分払拭されていたが、やはり完全に拭われる訳ではない。
瑞華が司に疑いの眼を向けると、司はそれを軽くいなした。
「私たちは、あなた方とお友達になりたいだけです」
「…信用ならないわね」
「ふふ…。警戒心が強いですね」
「当たり前でしょ? 昨日あんなことがあったんだから、疑わないわけがないじゃない」
相も変わらず笑顔の司を腹立たしく思いながら瑞華は言う。
「昨日のあれは不可抗力ですよ。智彌も龍も、悪気があったわけではありません。…そうでしょう?」
「…そうだな。別に悪気があったわけではないかもしれないかもしれない」
「ややこしいなオイッ!」
司に水を向けられた智彌の答えに、詩苑が思わずつっこみを入れた。
「ただ、からかったら楽しそうだなーと思って」
「むぅ…。すっごい悩んでたのに!!」
智彌に続いて龍が答え、煉夏が不満そうに口を尖らす。
「…余計なこと言うなよ~龍。お前は女心がわかってないな~。俺なら一発で女の子をKOする口説き文 句の一つも…」
「…うるさい変態。」
それを見た犂人が、臆面もなく言い放ち、椿が虫酸が走るとでも言いたげに呟いた。
「…でもそれが本当だとしても、ここに来たのは私たちとオトモダチになりたいから、っていう理由だけじゃないんでしょ?」
「…さすがですね、瑞華さん」
瑞華の言葉に、細められている司の目が怪しく光る。
「はんっ。あたしがすごいことくらい、アンタに言われるまでもなくわかってるわ」
「…自信満々だ…」
「あぁ、アイツはああいうヤツだ」
「あの感じ、司チャンと互角くらいじゃね?」
「お腹真っ黒だからな」
「おっかな~」
「瑞華怒らせるとこっわいんだよ~」
自分の船のクルーたちがひそひそと話をしているのをガン無視して、船長たちの腹の探りあいは続く。
「瑞華さんのお察しの通り、私たちの狙いは、この屋敷で開催されるオークションです」
「…奇遇ね、あたしもよ」
「知っています」
「渡さないわよ」
「お互い様です」
ドス黒いオーラが渦を巻く。
~♪
その真っ黒い空気を打ち破るかのように、やがて屋敷内の照明が落とされ、音楽の曲調が変化した。
どうやら、本格的にダンスパーティーが始まったようだ。
それはつまり、オークションの開始をも意味するわけで。
「あたしのお宝は渡さない!!」
「いやだなぁ、私も渡すわけにはいかないんですよ」
「って、あ、オイ!!」
「…司チャンが燃えてる…」
「珍しいこともあるものだな」
「…行ってしまったぞ、瑞華」
「だなぁ…」
「アハッ。楽しそうだね~」
猛ダッシュで駆け出した船長組を、残された六人は多種多様な反応を見せながら見送っていた。




