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blue rose  作者: 灑凪
22/35

chapter.21

「……で?」

「……ふ、くく…っ」

「…………あんたたち、は……ッ?」

「……く、ふふふふふ……ッッ」


「……」

「……」


「……ふ……ッ」

「……ちょ、煉夏……っっ」

「……ブハッ!! もう無理もう我慢できないあははははははははっっ!!!!」

「れ、煉夏!! 人がせっかく我慢してたのになんてこと……ッ! フハッ! ちょ、無理! あたしも無理!! はははははははっっ!!」


「笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」

「…くっ…。屈辱だ…ッ」



 あまりにも似合わない智彌と龍のその格好を見て、腹を抱えて大爆笑する煉夏と詩苑。そんな二人に、龍は真っ赤になって怒鳴り、智彌も拳をぶるぶると震わせていた。



「ちょっと詩苑! 煉夏! 私の努力無駄にしないでくれる!?」

 せっかく我慢してたのに! と叫ぶ瑞華も、もう堪えきれないとでも言うように笑い出す。

「…確かに、これはちょっと…」

 その隣で椿が、理性を総動員して平静を装い、静かに呟いた。しかし、その口元に若干の痙攣が見えるのは否めない。


「ふっ……。作戦成功、ですね」

「ざまぁみろーだ」

 司と犂人が、大爆笑されている二人を見てほくそ笑む。

 どうやら彼らを女装させたのは、最初からこれが狙いだったようだ。


「くそ…ッ」

「…屈辱だ……」

 笑われた当の本人たちは、絶望的な表情を浮かべて小さく悪態をついていた。


 

+++++



「…コホンッ。…とんだ姿を見られてしまったな」

「いや……、こっちこそ、笑ってごめん」

「…別に平気だ」


 一頻り爆笑していた詩苑の笑いが収まってから、智彌は軽く咳払いをして口を開く。

 気まずそうに言う智彌に、詩苑も申し訳なさそうな笑みを浮かべた。

 そしてお互いに、改めて自己紹介する。

「…智彌だ」

「あたしは詩苑。よろしく、智彌サン?」

「別に呼び捨てで構わない」

「じゃあ、そうさせてもらうよ」


 ちなみにこのときはすでに、智彌と龍の衣服は普通の男物の服になっていた。

 どうやら二人は、ひらっひらのフリル付きのドレスの下に、自分たちの普段着を着込んでいたらしい。

 化粧も落として、完全に男の姿に戻っていた。



「最後は俺らか……。まぁ、知ってるとは思うけど……」

 龍が口を開く。そしてニッと笑った。

「俺の名前は龍。よろしくな!」

「うん、…ぶふっ……。煉夏だよ、よろしく! …くくっ」

「…お前、いい加減笑うのヤメロ」

「ぐふっ…ご、ごめんなさい…」


 まだ若干笑いを収めきれていない煉夏を見て、龍は深くため息を吐く。

「ごめんねー? この娘(コ)一回ツボにハマると中々抜け出せなくて…」

 煉夏のお目付け役の詩苑が、その様子を見て煉夏の代わりに謝った。

「…まぁ、いいけどさ…」

  彼は、諦めたように呟く。


「ご、ごめ…ッッ」

「……大丈夫だから、気にすんな」

 必死で笑いを収めようとしている煉夏の姿に、龍は“仕方ないな”とでも言うように小さく笑みを浮かべ、そして次に、煉夏の頭をぽんっ、と軽く叩いた。


「……ッッ」

「? 顔赤くしてどしたー?」

「…なんでもないッッ」


 自分に相対する煉夏の頬が染まったのを見て、龍は小さく首をかしげる。


(…あれは惚れた、か?)

 詩苑がそれを見て、こっそり小さく息を吐いた。



天然タラシとちょろい女子

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