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blue rose  作者: 灑凪
21/35

chapter.20

  最初に声を上げたのは煉夏だった。


 持ち前の好奇心で、あちらこちらをキョロキョロと見ていたら、異様にデカイ二人の女性を見つけたのだ。

 (うわー、あの人たち身長たかーい。いいなぁ……)

 煉夏も女としては身長が高い方だが、彼女曰く、『もう少し欲しかった』のだそうだ。

 そのため、自分より高い身長を持つ女性を見ると、どうしても観察してしまう。


 今回もその例に漏れず、じっとその『女性たち』を観察していたら、ふと違和感を覚えた。


 (…ん? あの人たちどこかで…)


「……煉夏?」

 難しい顔でなにやら考え込んでいる煉夏を発見した詩苑が、声をかけても反応がない彼女を訝って、その視線の先を追う。

 そして、詩苑もそれを目にした。

 (……うわー。あの人たち身長……)

『高い』、と思うと同時に、詩苑は目を見開く。

 その瞬間に煉夏が叫んだのだ。


 二人の『女』は、あからさまに嫌そうな表情を浮かべる。



「え!? なになになに!?」

 瑞華が煉夏の叫びを聞いて、慌てたようすでその視線の先を追った。

「…あいつらは……」

 その横で、椿も目を細める。どうやら椿は、一瞬にして『女たち』の正体を見破ったようだ。



「ヤベッ! 逃げんぞ智彌!」

「同感だ!」


 この、なんとも言えない屈辱的な格好を、多少なりとも知っている人間に見せるのは死んでも嫌だと、龍と智彌は煉夏と詩苑に気付かれた瞬間に、速攻でその場を離れようとする。


「まぁ待ちなさい」

「そうそう。これからがお楽しみじゃん」


 しかし、それは叶わなかった。

 司と犂人に首根っこを捕まれ、智彌と龍は動けなくなる。


「……」

「はーなーせ~」

 まだ逃走を諦めていない二人がバタバタと暴れるも、ホールドする腕はまったく外れる気配がない。


 そうこうしているうちに、ブルーローズがスカルグロウに近づいてきた。

 もちろん、警戒心剥き出しで、だ。


「……はじめまして、ですね。『ブルーローズ』」

 司がにっこりと笑う。

「私が『スカルグロウ』で船長をやらせていただいています、司と申します。以後、お見知りおきを」

「……ハジメマシテ。ブルーローズの船長、瑞華よ」

 険を含んだ口調と表情で、瑞華が言う。

「昨日はうちのコたちがお世話になったようで」

「いえいえとんでもない。私はなにもしていませんよ」

 一気に剣呑になった空気を感じ取ったのか、八人の周りにいた人々が一斉に離れていく。


「やっと会えたね。俺は犂人、よろしくハニー」

 犂人が椿に向かって、いつのまにかその手にあった真っ赤な薔薇を、ウィンクと共に彼女に差し出す。

 瞬間、椿の背筋に悪寒が走った。

「……椿、だ。寄るな」

 どうやら椿にとって、この男は生理的に受け付けない人種らしい。

 犂人は、引き気味に言う椿の様子を欠片も気にせず、さらに椿に近づく。

「つれないなー。ま、それはそれで良いけどね」

 落としがいがあるし。と微笑む犂人に、椿は全力でその場を逃げ出したくなった。



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