chapter.1
空は快晴、波は穏やか、海は常と変わらずに碧い。
そんな広大な世界の下、海を往く一艘の小さな船は、今日も今日とて賑やかだった。
ドゴシャッ!
…なんとも形容しがたい、ド派手な、何かを破壊するような音が、青い空にこだまする。
甲板にイスとテーブルを出して読書をしていた、ロングの髪を低い位置で緩く結んでいる少女は、耳にしたその音にわずかに顔を上げ、眉根を寄せる。
しかし彼女はため息を一つつくと、何事もなかったかのように、再び視線を「考古学史」というタイトルのついている本に戻した。
同じころ、キッチンで鼻唄まじりに何かを作っている、緩いウェーブのかかったミディアムヘアの少女は、その視線を上げることはおろか、派手な破砕音を意に介した風もなく、もくもくと調理を続けている。
オーブンからは香ばしい香りがしてきていた。
そして、音の出所の船尾では。
「れーんーげぇ~!! なんでこんなことになってんの!? なにがどうなってこんなことになるわけ!?」
ミディアムショートの髪の少女が、対するポニーテールの少女に向かって怒鳴っていた。
「え~? ただ掃除を……」
「たかが掃除だけで、どうしてこんなになるのか聞いてるの!」
ミディアムショートの彼女が指差す先には、見事に大穴が開いた、船尾の壁があって。
その穴の先には、果ての見えない広大な海が広がっている。
「……さぁ?」
彼女が指差す先を見て、壊した張本人は心底分からないとでも言うように首を傾げていた。
「壊したのは煉夏でしょうが!?」
「詩苑ってばヒステリ~」
「誰のせいだと思ってる!?」
そして、詩苑と呼ばれた少女は、大きく息をついた。
「……はぁ。また仕事が増える……」
「がんばれっ」
「アンタも手伝うに決まってるでしょ!」
詩苑の肩を叩き、星マークつきで言うもう一人の少女、煉夏の首根っこをつかまえて、詩苑はすごむ。
「……ハイ、スミマセンデシタ。」
その剣幕に気圧されて、煉夏は素直にうなずいた。
場所は戻り、主甲板では。
「お待たせ~」
「……別に待ってないけどな」
キッチンから、大量のチーズケーキが乗った大皿を抱えて、至極楽しそうに少女が出てきた。
その彼女に、読書をしていた少女は、そんな言葉を投げ掛ける。
「椿ってばいけずぅ~」
「悪かったな、いけずで。つか、できたなら、早く後ろの二人呼んでやれよ、 瑞華」
本をテーブルの上に置いて、後ろ甲板を親指で示す椿。
「え~。めんどい。」
「おいっ」
椿の言葉に、一も二もなく不満を口にする少女、瑞華に、椿は思わずつっこんだ。
後ろ甲板からは、何かを言い争う詩苑と煉夏の声が聞こえ続けている。
「……仕方ない。呼んでやるか」
「……最初からそうしろよ」
椿が何かを言わなくても、始めから呼ぶ気だったのだろう。そんな瑞華の様子に、椿はため息混じりに呟いた。
「しーおんー! れんげー! おやつー!!」
『おやつ!?』
『反応はやっ!』
瑞華の呼び声に、いち早く反応した煉夏の声に続いて、詩苑のつっこみの声までも届く。
「……煉夏はやっぱり反応早いな」
「だって大食いだもん」
「……」
バタバタと慌ただしく駆けてくる足音を聞きつつ、椿と瑞華はのほほんと会話をしていた。
4人の、日常




