chapter.16
「え!? 『ブルーローズ』のコたちに会ったの!?」
船の上に、素っ頓狂な声が響く。
『ブルーローズ』の船とはちょうど正反対の、島の裏手の崖の下に、一隻の船が停泊していた。
“死の象徴”は、ガイコツの周りを囲むように、燃え上がる炎が描かれているデザインである。
この海賊船の名は、『スカルグロウ』。死と不滅を司る海賊の名だ。
「あぁ、二人だけだが…」
最初の男の言葉に、智彌が応じた。
「あんなとこにぼーっと突っ立ってた智彌も悪ィんだぞ~?」
「…龍も余計なこと言っただろ」
「だって面白そうだったから」
智彌の言葉に、龍は悪びれもなく言う。
「いいな~、俺も会いたかったな~」
智彌の報告に、最初に素っ頓狂な声を上げたロン毛の男が、不満そうに口を尖らせた。
「まぁまぁ犂人、どうせすぐに会えますよ」
「でもさ~、ずりぃじゃん、司~」
犂人と呼ばれた彼は、宥めるように声をかけた、司と呼んだ金髪の男を振り返った。
司は小さく笑う。
「……それにしても、智彌も龍も、分かっててやったでしょう」
「……」
「…げ。バレてる…」
常に笑みを絶やさずに図星をつく司に、智彌は無言で、龍は気まずそうに答えた。
「後で会えるからと、さんざん言い置いていたでしょう」
「そうだそうだ~」
司は小さく息を吐く。その横で、犂人が司に賛同していた。
どうやら、自分が彼女たちに会えなかったことを若干根に持っているらしい。
「だってよ~、たまたま見たらいるんだもん。ちょっとからかいたくなるだろ? なあ、智彌?」
龍が智彌に同意を求めると、彼はしばらく悩んだあと口を開いた。
「…からかいたくなった訳じゃないが、興味本意だ」
「…同じことですよ、智彌」
司は再び息を吐く。
「まったく…。必要以上に警戒させないでお近づきになるつもりだったのに…」
「わぉ。司チャン策士」
「自負してます」
犂人が司の言葉に反応を示すと、彼は笑みを深めて自信満々に言った。
「怖ェなぁ、司」
「まったくだ」
「…そこの二人、聞こえてますよ」
にっこり。
「「スミマセンデシタ。」」
「あっはっは、怒られてやんの~」
龍と智彌がコソコソと言っていたことが、運悪く司の耳に届いたらしい。
笑顔の裏に見え隠れする黒いオーラに、二人は大人しく謝った。その横で、犂人が嬉しそうに茶々を入れている。
「なっ、余計なお世話だ! 犂人!」
「へっへーんだ。俺より先に子猫チャンたちに会った罰だ」
「それとこれとは関係ない」
「関係あるもんね~」
「…となると、ブルーローズもスカルグロウの正体を察していると考えるのが妥当でしょうね…」
ぎゃんぎゃんと、何やら不毛な言い争いをしている三人を尻目に、司は顎に手を当て、暫し黙考した。
「…まぁいいでしょう。私の計画に狂いはありませんし」
そうして笑う司のメガネの奥が、怪しく輝く。




