chapter.14
船に戻った詩苑たちは、まず瑞華に手配書のことを報告した。
「ふむ…。とうとううちらもお尋ね者か…」
瑞華が感慨深げに言う。
「…どうする? 瑞華」
隣で話を聞いていた椿が瑞華に尋ねた。
すると、彼女はキョトンとした表情を浮かべる。
そして。
「どうするって、何が?」
「「……ん?」」
心底分からないと首を傾げる瑞華に、詩苑と椿の動きが一瞬止まった。
「い、いやほら、もうちょっと同業者襲うの自粛するとか、大っぴらに動かないようにするとか、なんか……あるだろ??」
詩苑がおずおずと尋ねる。
「何言ってんの詩苑。むしろ逆に好都合じゃん」
「な、なにが…?」
あっさりと言ってのける瑞華に、詩苑は嫌な予感がしつつも問うた。
「だって、向こうから来てくれれば、お宝奪うの楽でしょ?」
「……あ~…。ソウダネ。」
彼女の爆弾発言に、詩苑は片言で答える。
椿は既に遠い目をしていた。
「でしょ~?」
かく言う瑞華はニコニコと笑う。
「……うん、なんか、聞いたあたしがバカだったかも……」
アハハ、と、詩苑は乾いた笑い声を上げた。
「あ、で。それとは別に、手配書のとこで男の人に会ったんだけど…」
「え!? 恋の予感!?」
「いや、違うから。」
次いで先程出会った二人組の話をしようとした詩苑に、瑞華は目を輝かせて見当違いのことを言う。
詩苑はそれにすかさずつっこんで、一部始終を話し始めた。
「…なるほど…それはちょっと気になるね」
「でしょ?」
「…なんだか怪しいな…」
「やっぱ椿もそう思う?」
話し終えたあとの瑞華と椿の反応は、概ね詩苑の推察と同じだった。
あの龍とか言う男、煉夏のことをただ手配書を見て覚えていただけとは到底思えない。
一緒にいた智彌と言う男にしても、去り際のセリフからして、こちらのことを知っていると考えるのが妥当だろう。
「…しかも、たぶんあの人たち、強いよ」
そんじょそこらの雑魚海賊とは、明らかに気配が違っていた。何をするでもなく、普通に立っているだけだったのに、隙というものが感じられなかったのだ。
「ね、煉夏。 …て、煉夏?」
詩苑が話をしている間中、一言も発することのなかった煉夏に同意を求めようとすると、煉夏は何かを一生懸命に考えているようだった。
「う~ん…」
「……煉夏ちゃ~ん?」
「…煉夏が考え事なんて珍しい。明日は台風かしら」
「…瑞華、それは言い過ぎだ。せめて雨とか…」
彼女のそんな様子に、三者三様の反応を示すクルーたち。
「お~い、れーんーげー?」
「ん~……。……あっ!!」
「! おぉう、びっくりした」
詩苑が煉夏の顔の前で手をひらひらと振っていると、煉夏が突然大声を上げた。
「どうしたんだ? 煉夏」
椿の問いに、煉夏は満面の笑みを浮かべる。
「思い出した! さっき会ったあの人たち、手配書に載ってた!!」
「「「なんだって!?」」」
意外な事実に、煉夏をのぞく三人は、声を揃えて驚きの声を上げた。




