chapter.12
「…結構大きな街だね」
「だね~」
二人並んで街の入り口に立ち、詩苑が言う。
煉夏はあちこちキョロキョロしながら、そんな彼女の言葉に同意した。
街道の両脇には露天が列び、そこかしこから活気に満ちた声が聞こえている。
「詩苑~、おっきなお屋敷があるよ」
「あ、ホントだ」
街道をずっとのぼった先の小高い丘の上に、かなり大きくて豪華な邸宅が一軒建っていた。
所謂、領主の屋敷だろう。
「……なんか、金かかってそうだな…」
瑞華が喜びそう、と呟く詩苑に、煉夏もすかさずうなずく。
「さて、じゃあ資材屋探そうか」
「うんッ」
一通り街を観察したあと、二人は船の修理の材料を買うために、資材屋を求めて街に入っていった。
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「や~…、思ったより安く買えた」
思いの外安上がりだった資材に、細々した材料を抱えた詩苑はホクホクだ。
「面白そうな食材もあったよね~」
大きな板を担いだ煉夏も、同じくニコニコしながら言った。
「あ。」
「ん? どした~煉…げっ!?」
街道を下っている途中で、煉夏が突然足を止めた。 不審に思った詩苑が、その視線の先を追って硬直する。
「あたしたちの手配sもがっっっ!!」
興奮して、しかも嬉しそうに叫びそうになる煉夏の口を、詩苑は慌てて塞いだ。
二人の見つめる壁の掲示板には、いくつかの手配書が貼ってあった。
「マジか……」
忘れてはいけない。彼女らは腐っても“海賊”であると言うことを。
その掲示板には当然のごとく、彼女たちの手配書も存在していた。
「……これ、は、マズくないか…?」
詩苑が冷や汗を流すその横で、煉夏はといえば。
「きゃーっっ! スゴい!初めて見た!! ちゃんと二つ名まで書いてあるし!! 写真撮んなきゃ写真!!」
パシャッ
「撮れた♪」
……異常に興奮して、自分の手配書と記念撮影をしていた。
しかも、きっちりポーズまで決めている。
「ぎゃーっ!! あんた何やってんの!?」
そして詩苑が何より驚いたのは、煉夏の手に納まっている物体だ。
その手の中には、小さな箱のようなものがひとつ。
それは、この時代にはまだ、存在していないはずのモノ。
「ってなにそれどっからそんなもん手に入れた!?」
「瑞華の発明品。電話は電波局ないからできないけど、写真くらいなら撮れるよーって」
「なんつーもん作ってんだアイツは!! 世界観壊す気かっっ!!」
彼女は思わず叫ぶ。とは言っても、煉夏の手にあるその“携帯電話”が消えるわけもない。
……それに、世界観もなにも、もともと色々間違ってるしファンタジーだし。
「少しは繕えェェェェェッッ!!」
「…詩苑~? 誰に向かって話しかけてるの?」
「うがーッッ!!」
ツッコミどころが満載過ぎて、さすがの詩苑も捌ききれないようだ。
そんな彼女に、煉夏は訝しげに声をかけた。
…しかし、こっちにまでツッコミをいれるとは…。
「うっさい!!」
「しおーん?」
「…ナンデモナイ。」
詩苑は一気に一日分の体力を使ってしまった気がした。
ごめんなさい…




