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三月・1 学園天獄

 先月から実施された、例の「ガーディアン制度」だが、まぁまぁ上手く運用できている様だ。

 一度、下級生の一部から、


「初川先輩独占禁止法違反ではないか?」


との意見も上がったらしいが、そこは度会先生(かいちょう)が上手いこと収めてくれたらしい。


 ────裏で。


 何があったかは聞いてはいけない。Need not(知る必要の) to know.(ないことだ)



 ────さ、さて。


 怖い話になったが、ホワイトデーのお返しについての結末について。


 バレンタイン当日、家で改めて数え直してみたところ、合計43個のチョコがあった。

 なので返礼を考えるだけでも頭の痛い話だったが、これについてファンクラブの幹部連に相談したところ、満場一致で、


「「無視しなさい!」」


 と説教さ(おこら)れてしまった。ハイ、スミマセン……。

 特に玲華が彫刻刀をチラ見させてきた時など、オレは口角を片方吊り上げて、歪な笑顔を作ることしか出来なかった、こえぇ。


 そんなこんながあったWDだが、それでも一応幹部連にはクッキーを個別に渡した。

 高級品ではないが、一応個々人向けに真剣に悩んだ逸品の数々である。

 皆んな喜んでくれて良かったよ。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 By the way(ところで).


 この時期での中学校のイベントと言えば、『体験入学・半日入学会』がある。

 現小六生(こどもたち)がやってきて、中学の授業や部活動にお試しで参加したり、制服の業者が採寸や発注数を注文用紙に記載するのだ。


 オレと言えばまぁご想像の通り、いつものように授業補助を仰せつかったり、校舎案内も担当するなど、色んな場面で学校行事に貢献し(こきつかわれ)た。


 そして午後からは「陸上部を体験したい」という生徒を集め、各担当者が種目ごとに分かれて一緒に競技に参加するのだ。


 オレと松元は、もちろん走り高跳びと幅跳び担当である。


 ちなみに青野は当然軟式テニス。

 山口と涼木さんは別枠で、度会先生と一緒に合唱部を担当していた。


「では全員で軽くジョグとストレッチをしましょう!」


 今回、オレは松元リーダーの相棒(サブ)という形だ。

 授業補助だなんだで忙しかったオレを見た松元が、指導役を率先して買って出てくれたのだった。腕組み後方彼氏面とか言わない。

 本来は関先生ら体育教師がやるべき仕事なのだが、なんせ教師の数が足りないし、関先生も小鷹先生も、高跳びに関してはノータッチなのだった。まぁ致し方なしだな。


 校庭を一周した後、オレが松元と背中合わせになり、彼女の手首を掴んで行うペアストレッチをして見せると、


「「キャー♡」」


という声がどこかから上がった。しょうがないだろ、この種目の選手ってオレ達二人しかいないんだし。


 ピンポンパンポーン♪


「は、はーい。みんな真面目にやらないとケガしますよー!」


 松元さんが、今の件でちょっぴり気恥ずかしくなってしまった様子。やめたげてよぉ……。


 こんな調子で和気藹々、高跳び志望のお子ちゃま達への指導は続くのだった。

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