↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
86/108

二月・8 気まぐれロマンティック

 ────翌日。


「あ、おはよう初川」


 席に着いて鞄を机にかけた途端、青野が近寄ってきた。


「おはよう青野。今朝は部活が無くて助かったな」

「テニスコートぐちゃぐちゃだったもんね」


 その代わり、放課後の屋内自主練が地獄と化すんだけどもな。


「で、今日はアタシが担当ね」

「えっ?」

「えっ? 聞いてないの?」

「何を?」

「初川さん、聞いてないってよ?」

「あ、本人に伝えるの忘れてたー」


 待て待て、昨日のイヤな予感が猛烈に現実味を帯び始めたぞ……。


「今日からトーちゃんには『ガーディアン』が付くことに決まりました」


 英国の大手新聞社の名前が一瞬アタマをよぎったが、よぎっただけだった。

 そして玲華さんや、お前はいつから広報担当官(スポークスマン)に転属したんだ。質疑応答一切ナシで、決定事項だけ読み上げるなよ。


「インパクトあったじゃろー?」

「どういう事なのか詳しく」


 昨日、玲華と山口そして涼木さんの三人で話し合い、その場で浮かんだ『解決策』が会員全員の了承を得、今日の朝イチで度会先生に提出され無事承諾、今朝から施行された────と、いうことらしい。


 要するに『ファンクラブ幹部による魔除け』である。

 休み時間に教室外へ出る時は付き添いが必ず一人。

 不定期開催な放課後の勉強会の時には、オレの両隣に最優先で座ったりするのだそうだ。鉄壁すぎる。


「月曜から金曜日の平日は、二年生の誰か手空きの人が担当するのね」

「土曜日はフリーで良いってことか?」

「それはミホちゃんが可哀想でしょー」

「アー、ウン、ソウデスネ」


 土曜日に半日授業があった時代である。そうか、土曜日は涼木さんね。

 まぁなんだ、彼女らが懸命に考えてくれて出した結論なのだから、最初(はな)から難癖付けるより、先ずは試してみようじゃないか。


 こうして新法施行第一日目が始まった。

 公布は今朝だったけどな!



 お花を摘みに行く時には青野が廊下へ出てくれ、お互い用が済んだらお手洗いの前で待ち合わせ、それから一緒に教室へ戻るという次第。

 うーん、神田川。この分なら、明日からも不安なく過ごせるだろう。

 決して少なくない手間をかけさせてしまうのだけは、ちょっとばかり心苦しいが。


 どうやら他の会員からの苦情も無く、こんな具合で初日は無事終えることが出来た。

 WDには個々人に何かお返しを用意せねばなるまいて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。