↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
84/107

二月・6 Can You Hear What I'm Saying ?

 ────さて。


 あの破竹の勢い……、違うな。

 めくるめく……、だと官能小説になるな、アホかオレ。


 ええと。


 まぁなんだ、色々あったバルジの戦車戦(バレンタインデー)を(※多方面に迷惑をかけながら)乗り切ったオレだが。

 あの日、玲華にどちゃくそ説教を喰らった反動からか、今は完全に弥勒菩薩の様(もうどうにでもな~れ)な心持ちで日々を過ごしつつあった。


 別に投げやりって訳じゃ無い。

 放心とも違う。

 ただただ日々の出来事を()るが(まま)に受け入れ、ちょっぴりぐらいは前向きに過ごそうかなーと思い始めていたんだよ。

 そのつもりだったんだけどな?



 所が、である。



 数年ぶりに関東を襲ったドカ雪を窓越しに見ながら、効率の良すぎるダルマストーブに感謝をしつつ昼飯を食っていた時。


 ポーン♪

「生徒の呼び出しをします。2年A組の初川くん、2年A組の初川さん。至急音楽室まで来なさい。繰り返します───」


 校内放送で呼び出されるハメになった。


「トーちゃん、アチキらなんかやらかしたかなぁ?」

「何だろうな?」


 あの日の翌週。

 オレは度会先生以下、ファンクラブの幹部候補生(?)な青野、松元、山口、そして涼木さんにも深々と頭を下げ、ナントカ表面上は感謝の意を伝えられたので、一応は丸く収まったハズ……なんだが。


 ここで悩んでいても仕方ない。

 オレと玲華は大急ぎで食事を済ませ、音楽室に向かった。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「ゴメンね二人とも、食事中に」


 そして訪れた先では度会先生と、────何故か担任の神野先生の二人の教師が、ちょっぴり険しい顔で待っていた。

 そしてその後ろには……、おや、ゴルゴンちゃんじゃないの。今日はどしたの?


「いえ別に構いませんが、一体何のご用でしょうか?」

「まぁ座ってちょうだい二人とも」


 神野先生に言われ、オレと玲華は着席した。


「初川君、こっちの岬さんは知ってる?」


 あ、ゴルゴンちゃんの名前初めて聞いた。


「はぁ、まあ。自分の開催する勉強会に、毎回顔を出してくれてる子ですよね」


 ピンポンパンポーン♪


 イマ鳴ランデエェ。


「実は彼女が持ってきたこの雑誌なんだけど」


 そう言って神野先生が手渡してきた一冊はと言えば、カンカンだかランランだか知らんが、そんなタイトルの女性週刊誌だった。そしてその表紙には、


『絶対に返事の貰えるWD(ホワイトデー)にしたい!』


と言った、いかにも! な文字が躍っていた。


「はぁ、これが何か?」

「トーちゃん、アチキにも見せて?」


 玲華がパラパラとページをめくり始めるんだが、何故か全員が無言。すると。


「ん? んんー??」

「どした?」


 何かを見つけたらしい玲華だったが、次の瞬間。


「アッー!」


 今その声どうやって出した!?

 人類には不可能な発音だぞそれ!


「とととトーちゃん! これ!」

「一体何事だ……よ……?」


 おや?


 玲華が開いているのは、多分メイン特集のページ。

 この世のありとあらゆる幸せな爆発確定者(こいびとたち)を集めました! 的な写真が掲載されているその中の一枚に。


 玲華と一緒にベースギター(グレカーレちゃん)をお迎えに行った、あの十一月の駅で。

 オレに抱きついて喜色満面な玲華と。

 抱きつかれて困惑気味な風のオレが。


 トップにデカデカと飾られていた。


「な」

「な」

「「なんじゃこりゃー!」」



 二人の声が窓を震わせた。

 耳が悪いはずのベートーヴェンさんがギョッとしていた。

この年のVDヴァレンタインデーは土曜日でしたね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。