087_妹は性格に難がある
「お兄ちゃん、なんだかネットが燃えていますねえ。暖が取れて気分が良いですよ」
「お前性格最悪だな、後ネットはいつも燃えてるから本当にネットの炎上で暖が取れるなら世界が温暖化して南極も北極もとっくに溶けてるだろうな」
ネットが燃えるのはいつものこと、というか燃えていない時期の方が珍しいくらいだ。年がら年中どこかしらで燃えているので今更そんなことで気分がよくはならないだろう。
「お兄ちゃんは最高の食材を知らないんですか? 『他人の不幸』って極上の味がするんですよ」
「アニメかゲームに出てくる悪魔みたいな発言するな……前世で一体何をやったらそんな悪役みたいな台詞がナチュラルに出てくるようになるんだ?」
「私は至ってまともですよ! 人の不幸を喜ぶのは人間として普通の事なんです! この前新聞の営業が来たのでいい顔して契約した後、帰ったら即クーリングオフした時なんて最高の気分でしたよ」
「考え方だけが終わってると思ったんだが、お前思考の方も終わってないか?」
人の不幸を楽しむようなゲスい人間に育てた覚えは無いぞ、兄妹二人、兄として妹の規範で有ろうとしたはずなんだけどなあ……なんでそんなことを学習しちゃったんだろうか?
「お兄ちゃん、インターネットにはそういう人がたくさんいるんですよ、もっと広い世界に目を向けましょう!」
「おのれネットォ! 妹に妙な知識を教え込みやがッてぇ!」
「お兄ちゃん、ネットには人の本性が出るんです。だからきっとこれは皆の本音なんですよ。余り疑うもんじゃないです」
「頼むからネットに真実を求めるな……世界の闇が検索一発出てくるようなところにポンと置いてあるわけないだろ、どんだけいい加減な管理をされてる真実なんだよ、そんなもんありがたみもクソも無いだろ」
ネットで真実なんてそんなポンポン転がっててたまるか。衆目に晒されるところに見られてマズいものを置くはずがないだろうが……
「うぅ……私は騙されたんでしょうか?」
「確かに……まあ一応そうなんだが、騙される方にも対外問題があるような気がするぞ」
「ぐぬぅ……私の純情をもてあそんだんですね! ファイバーのケーブルぶった切ってやりましょうか」
「それはマジで迷惑だからやめろ。と言うか回線の敷設業者は悪いことしてないんだよ、それは八つ当たりだからやめとけ」
まったく、人に自由な力を与えたらロクなことをしない見本みたいなヤツだな。もう少し生き方について考えてほしいよ……
「じゃあお兄ちゃん、ネットにある真実まで到達出来る方法を教えていただけますか?」
「だからネットで真実を求めるのはやめような?」
俺の妹がそんな安易な考えをしているとは思わなかった。これからは妹の考え方もしっかり育てた方が良いな。なんというか……人の性善説を疑いたくなるような話だ。出来ることなら人が善であると信じたいと思うな。もう少しでいいから希望が欲しいと思う日だった。




