009_妹、お金が尽きる
「お兄ちゃん、お金ないですかね?」
「どした? まーた怪しげな通販でもして金が無くなったのか?」
「は? お兄ちゃんはエスパーか何かですか!」
「お前は本当にしょーもないもん買って毎月金がないって言ってるな」
阿地は少々くだらないものを買いすぎではないだろうか? この前なんて千円でスマホを買ったと言って『限界スペックというヤツを試してみましょうか』なんて偉そうに言ってから、届いたのがモックだったと愚痴ってたじゃないか。
別に確認せずに買っておいてとやかく言う気もないが、よくまあ失敗するヤツだなって思うよ。それが一回きりだったらもう少し救いようもあったんだがな。定期的に同じような失敗をしているので擁護する気もない。
「何言ってるんですか、私はこれを買ったら上手く動かなかったと言うことを学んだんですよ!」
「偉人の名言風に言ってるが、買ったものが媚薬とか笑えないからな。お前バレてないと思ってるだろうが料理に混ぜて足りないからって俺の料理に大量に入れたろ?」
「な……何故それを!?」
「ゴミ箱に空っぽになったチューブが入っている時点でバレバレなんだよなあ……」
ちなみに俺が夕食の間に席を外したところ、普通のコンソメスープにとろみが付いていた。翌日にゴミを捨てようとするといかにも怪しげな空っぽのチューブがゴミ箱に入っていたのを見たときはあきれたものだ。まあ偽物だったおかげで何の被害もなかったわけだが。
「大丈夫です! 今度こそ有用なものを買いますから」
「はぁ……ほら、今回だけだかんな。あんまり無駄遣いするなよ」
阿地に一枚の金を握らせて話を打ち切った。俺が渡さなかったらどんな方法で金を調達するか分からないし、海外通販ならしばらく届くまで時間がかかる。その間は無駄遣いをしないのだから足止めくらいにはなるだろう。
「ありがとうございます! これでお兄ちゃんへのプレゼントが買えます」
「高いものでなくてもいいからな」
プレゼントね……出来ることなら俺に意志も少しくらい反映して欲しいが、阿地にそんなことを言っても馬の耳に念仏も良いところなので諦めている。
むしろ阿地の基準で高いものを選ばれると何が来るか分からない不安がある。出来るだけ無難なものを置くって欲しいと思うんだ。
ま、一枚の金でそれほどヤバイものが買えるわけでもないだろう。偽物だのパチモノだのにだって精巧に作るには金がかかるもんだ。不用意に大金を渡さなければ問題無いだろ。
しかしま、こうしてみるとアイツも結構金遣いがなあ……
そう愚痴りたくなる程度にはスマホで口座情報を見ると結構な額を妹に使っているのをよく理解した。
なお、後日、阿地からはスマホが送られてきた。ギリギリ動くものだったのだが、セットアップ済みだったので念のため漁ってみたところ、監視アプリが入っていたので初期化しておいた。当然のように愚痴ってこられたが、あのスペックでまともに使えるわけないだろと言ったらぐうの音も出ない様子で黙ってしまった。




