081_妹とコレクター根性
「お兄ちゃん、ちょっと一緒にジャンクショップに行ってくれませんか?」
「珍しいな……PCのパーツでも買うのか?」
阿地はそんなにPCを使っていない気がしたのだが、実はヘビーユーザーだったりするのだろうか?
「いえ、そこはレトロゲーの品揃えが良いので妹が出てくる作品を大人買いしようかと」
すっげーくだらない理由だった。全力で断りたくなってしまう。なんでそんなことに付き合わなきゃいけないんだよ……
「なあ……アナログテレビ持ってんの?」
「当たり前でしょう? テレビがデジタル放送になって、旧世代のゲーム機を切り捨てた頃には妹ブームが盛り下がっていましたから、まったくなげかわしいことです!」
「それは別にいいんだが……お前自分の年齢はしっかり考えとけよ。中学生がデジタル放送に切り替わったときの話を見てきたように話さない方が良いぞ」
お前はそれでいいのかと聞きたいところだが、反論しても時間の無駄なので軽く外出の準備をして二人で外に出た。
当たり前のように手を繋いでくる阿地に、今が何月だと思っているのか小一時間問い詰めたい。暑いだろうが……じっとり汗が手のひらにまとわりついて気持ち悪い。それを我慢したまま電車に乗って程なく郊外のジャンクショップに着いた。
「さあお兄ちゃん! ゲームを探しますよ! 見つけたモノは片っ端から確保しておいてください!」
気合いの入りまくりな阿地に、そこまで妹ゲーに本気にならなくてもとは言えなかった。必死にゲームCDの入った棚を探し始めていた。俺はボチボチ探していくかとチラチラと棚に刺してあるゲームディスクを見ながら知識の限りで有名な作品を何枚かカゴに入れていく。
知識豊富な妹と違って、俺はそこまでサブキャラに妹が出てくる程度だと知識に無い。そういったものまで集めろと妹は言っていたが無茶を言うなと主張したい。
そうして集めていったゲームだが、テレビがゲーム機に非対応になったこともあり、格安でゲームを確保できた。もう何年前のゲームだろうというモノなので、今更買う人も少ない。
値段が安いのは理解できるのだが、こんなに勝ってプレイできるのだろうかと思う。ただまあ、アイツのことだから睡眠時間を削ってでもプレイするのだろう。
「お兄ちゃん、こっちは終わりましたがそちらはどうですか?」
「ああ、きっちり集めておいたよ」
俺のカゴを受け取って中身を確かめ頷いている。
「やはりお兄ちゃんに妹ゲーを探させるのは私の癖に刺さりますね」
「歪んでる……やることがこの上なく歪んでるよ……」
そうは言ってもカゴごとあっさり会計に持っていき、全額支払ったようだ。よく金が続くなと呆れつつ、お前はそれでいいのかと思いながら買物を済ませて帰途についた。
相変わらず帰り道でも手を繋いでいたのだが、やけに妹の手がじっとりとしている。そう言えば手のひらに汗をかくのは精神的に不安定なときだと聞いたことがあるが、コイツ、行きも帰りも、自分の歪んだ癖に兄を付き合わせることに興奮しているんじゃないだろうかと気が付くと少々怖くなった。




