077_妹とカロリーの消費方法
今日は珍しく平和な朝だった。呑気に一人、休日にサンドイッチを食べながらコーヒーを飲む至高の時間だった。
とはいえ、ずっと続くわけではなく、『廊下を歩いている音がしたので、今日も静かに暮らせないらしい』と覚悟はして食事をしていた。
「お兄ちゃん! 今日は一緒にデートでもしませんか?」
「朝起きて第一声がそれなのはどうかと思うぞ」
パンの味が多少塩っぱく感じたのは気のせいだろうか? こんな時に何を言ってるんだよ物好きだなあ。
「そうですね、お兄ちゃんが朝ご飯を作ってくれたんだからそれを食べてから決めましょうか」
そう言って阿地はサンドイッチを食べようとし、一口、口に含んだところで一緒に用意していたところで用意していた熱いコーヒーを一気飲みした。
「お兄ちゃん……辛いです……このサンドイッチ何が入ってるんですか?」
「ああ、そういやマスタードがなかったからからしを代用したんだった。からしダメなんだっけ?」
「もうちょっと妹の好みを覚えておいてくださいよ! 私はツーンとするから胃やつはダメなんですよ!」
からしくらい別にいいだろうとは思うのだが、阿地には随分と好みがあるらしい。マスタードとからしってそんな違ったっけかな?
「はあ、せっかくのお兄ちゃんの手料理なのに……しょうがないですね、今日の朝食はやめましょうか……」
そう言って妹はゼリードリンクを冷蔵庫から取りだして秒で飲んだ。本人曰く『これで昼まで持ちますね』だそうだ。燃費の良い体をしているらしい。俺はきっちり朝飯を食べないとバテるタイプなので羨ましいな。
「さてお兄ちゃん、せっかくお昼までのカロリーを取りましたし、今日はお休みです。ということでカロリーを消費することを二人でしませんか?」
「お前……具体的に何かとは言ってなければセーフだと思ってるだろ?」
「何とは言いませんが、男女がカロリーを消費する運動をしたいって言うだけのことがいけないんですか?」
ニヤニヤしながら言う阿地。どうも俺を困らせて楽しんでいるようにしか見えない。言わなきゃセーフってのはそのうち規制の根拠になるからチキンレースでしかないんだがな
「そうだな、ジョギングでもするか」
「そうそう、せ……え? ジョギング?」
「カロリー使いたいんだろ? 一緒に河川敷を走ろうじゃないか」
俺が居たって健康的な提案をすると……
「い……いやあ、やっぱりゼリー一本だとジョギングをするほどのカロリーはないですねえ。室内で出来ることにしませんか?」
「室内ねえ、体力がないと何も出来ないと知らんのか」
阿地は露骨に悔しがってから引き下がった。部屋に戻っていったので、平穏な一日が過ごせると思ったのだが……部屋に戻ってASMRでも聞くかとヘッドフォンを繋いだところで隣の部屋から超リアルASMRが聞こえてきて釈然としない感情を覚えたのだった。




