072_妹は配信がしたい
「お兄ちゃん、私、ライバーになりたいです!」
「ライバーって? 配信者のことか? なるのは自由だけど俺の名前と顔は絶対に出すなよ?」
そもそもガチ恋リスナーが出たら俺の名前が出た途端に大炎上しかねないので危機管理をしておかないとな。顔出しか、モデルを使ってトラッキングするのかは知らんがどちらにせよ下手に阿地の人気が出ると俺は巻き込まれそうなので先に言っておかないとな。
「お兄ちゃんとのカップルチャンネルを作りたいんですけど……嫌なんですか?」
「俺を巻き込むのが前提かよ!? 配信でもなんでも好きにすれば良いけど一人でやれ! 俺を巻き込むんじゃあない!」
油断もすきもありゃしない。しれっと俺が出てきたら炎上する絵面しか思いつかないので却下だ却下、そんなリスキーなことさせられるわけないだろ。
「だってせっかく人気者になるならお兄ちゃんも一緒になりたいじゃないですか!」
「俺は人気なんて要らん。恨みを買う方が多そうだろ」
「もっとリスナーになる人を信用してあげましょうよ……」
そんなものだと知っているのでやりたくないんだよ。わざわざ火中の栗を拾う物好きじゃないんでな。
勘弁してほしいよなあ……もう少し安全というものを考慮してほしいよ。
「じゃあそういったものが問題無いサイトで配信しますか?」
「そんなサイトがあるのかよ?」
「お兄ちゃんも知ってるでしょう? 黒地に白文字とオレンジの色が入った……」
「やめようか! ただでさえ燃えやすいんだからそんな危ないネタを出すんじゃないよ! まだ炎上した方が安全だろうが! どんだけ命知らずなんだよ!」
勘弁してくれ、このご時世に危ないネタをぶっ込んでくるなっての。というか全年齢で頼むよホントさあ、超えてはいけないラインを音速で飛び越えるような真似をするのは勘弁してほしいな。
「と言うか何で知って……いや、なんでもない、この話はやめにしよう。危ない話題だからな」
「まったく、レーティングというのは煩わしいものですねえ……」
なんのためのレーティングだよ、好き放題させるわけにはいかないから基準があるんだろうが……破るためにあるルールじゃないんだぞ?
それにしても我が妹はフリーダムすぎやしませんかね? 危なっかしいことこの上ないぞ、消される確率を考えろっての。
「世の中のルールなんて守ってたらキリが無いものもありますよ? 世の中には高額景品を入れたクレーンゲームがあるのを知りませんか? アレでさえアウトのリスクもあるんですよ? そんなものですよ」
「世の中の闇を曝かなくていいから、世の中には都合の良いグレーゾーンがあるのを理解しろ。ギリギリを攻めるならともかく、お前の発言はそんな考える予定なくアウトなんだよ」
「人を歩く十八禁みたいに言わないでくださいよ!」
「いや……別にそこまで言っちゃいないんだが……」
まったく、好きにすれば良いけど、ルールを思い切り飛び越えた発言はやめろよ、配信で言うと燃えそうなことを平気で言うと燃えるんだからな? それは理解しておいてほしいもんだ。
とまあそんな風に話は終わったのだが、翌日、配信サイトを見ていたところ、妙に声のいい一時間くらいで作ったモデルで配信したヤツがいたと話題になっていたので俺はそっとしばしそのサイトを開くまいと決めた。




