071_妹は妹モノが読みたい
「暇ですねえ……お兄ちゃん、なんかヒロインが妹のゲームかラノベで面白いの持ってませんか?」
「初手でピンポイントな癖を指定されても困るんだが……というかなんでゲームかラノベ指定なんだ?」
「一般向けの全年齢対応作品に兄妹モノってほとんど無いじゃないですか」
そうかな? そう言えば本を読んでてヒロインが妹の事ってラノベ以外でほぼ見ないな……そういうモノなのだろうか?
「にしても最近は異世界が主流だしな……異世界物で妹モノで良いか?」
「良いですとも! 妹なら異世界だってバッチリです。ああ、でも実妹モノにしてくださいね、都合良く義妹にしちゃうと私がイラつくので」
勝手だなあ……つーか異世界物にも妹ヒロインはあるが実妹モノは少ないんだよなぁ……原作がWEBだと結構実妹モノって規制ラインに引っかかることも多いし……
「探しとくよ、部屋の本に一冊くらいあると思う」
「よし、これで休みの間はお兄ちゃんの持っている実妹モノで楽しめますね! お兄ちゃんだって探せばあるんじゃないですか、妹モノが好きなんでしょう? ハッキリ言ってくれればいいのに!」
「いや、たくさんある本の中にヒロインが妹モノなのもあるってだけだからな? 妹がヒロインのモノを集めてるわけじゃないぞ」
「恥ずかしがらない! 妹が好きなのは何も恥じらうことではないんですよ!」
「倫理観のバグった会話をしてるとこっちの基準がおかしいのかと思えてくるのが怖いな……」
好き勝手言うなあ、ヒロインが妹ってだけで最近少ないんだからそんなたくさんは無いんだがな……何を渡せば満足なのやら。
部屋に帰って本棚を眺める。そこそこ古いラノベもあるのだがメインヒロインが妹のモノとなるとそこそこ減る。いや、ヒロインたちの一人に妹がいるのは珍しくないが、妹がメインヒロインだとぐっと減ってしまう。しかも妹様からは「実妹モノ」との注文付だ。どう探せば良いのやら……
とりあえず背表紙を見て妹と関係のありそうなものを出して読んでいく。いくつかはあるのだが、所謂「エタッた」作品もあるのだが、未完でも良いなら候補に入れておこう。
それから一通り妹モノを見繕って阿地の部屋に持っていき部屋をノックした。すると出てきた妹が俺の手にある本を見て不満そうな顔をした。
「むぅ……お兄ちゃんはそれだけしか実妹モノを持ってないんですか? もう少し両手で抱えられないくらい持っててくれても良いのに……」
「言っとくが全年齢対応で実妹モノってだけで一気に作品が減るんだからな? その事はしっかり覚えておけよ?」
そう都合良く妹モノがたくさんあるわけないだろう。妹ヒロインの黄金期は過ぎてるんだよ。
「まあいいでしょう、お兄ちゃんが盛っていた妹モノってだけで十分価値が有りますから。ありがとうございます」
そう言って部屋に俺の本を持って入っていった。どこまで妹にこだわるんだよと思いながら自分の部屋に戻った。
その晩のこと、何回か壁を殴る音がしたのだが、翌日になって『どうして妹モノが完結してないんですか! ちゃんと妹と結ばれてハッピーエンドになっているのを探してくださいよ!』と苦情を賜った。俺の感想は『知らんがな』の一言だった。




